第52会期国連麻薬委員会に日本政府が提出して採択された決議の日本語訳

投稿日時 2009-10-20 | カテゴリ: 外務省との対話

第52会期国連麻薬委員会に日本政府が提出して採択された決議「不正目的のための大麻種子の使用に関するあらゆる側面の探求(Exploration of all aspects related to the use of cannabis seeds for illicit purposes)」のTHC訳を掲載します。
この決議については、外務省のサイトで次のように紹介されています。

2.評価
(4)通常会合では、我が国から大麻種子に関する決議案を提出し、「不正目的のための大麻種子の使用に関するあらゆる側面の探求(Exploration of all aspects related to the use of cannabis seeds for illicit purposes)」に関する決議として、そのコンセンサス採択に貢献しました。これによって、我が国で問題となっている、不正栽培に使用される大麻種子の問題について国際的な検討を促すことに成功しました。

日本政府が国連に提出して採択された決議であれば、日本国民に日本語で報告すべきだと思いますが、外務省のご担当によれば、国連組織で採択された決議を全て日本語で公表しているわけではなく、日本政府が提出した決議についてもそれは同様だとのこと。また、この決議を英語で起案した厚労省監視指導・麻薬対策課の安田課長補佐も、このような決議を公表するのは外務省の管掌業務であり、英語で作文した決議を日本語にすると、微妙なニュアンスが違ってしまうとのことでした。
この翻訳は、国際的な薬物政策に詳しいTakuさんにお願いしたものです。原文は以下の国連麻薬委員会のサイトにPDFが公開されています。

UNODC Fifty-second session
Regular Segment Vienna, Austria, 16 - 20 March 2009
DRAFT RESOLUTIONS
E/CN.7/2009/L.11/Rev.1 Exploration of all aspects of cannabis seeds for illicit purposes


Commission on Narcotic Drugs
Fifty-second session
Vienna, 11-20 March 2009
Agenda item 7
国際麻薬統制条約の実施

アゼルバイジャンと日本:修正草案決議

 


大麻種子の非合法な使用に関連する全ての局面の調査



 麻薬委員会は、

1961年の麻薬に関する単一条約[1]、1972年の議定書[2]による修正、1971年の向精神薬に関する条約[3]と1988年の麻薬と向精神薬の非合法取引に関する国連条約[4]を参照し、

第20回国連特別総会で採択された非合法薬物の撲滅と代替的発展に関する国際協力の行動計画[5]を考慮し、

2004年12月20日の59/160総会決議を参照し、

国際麻薬統制委員会が2008年の報告[6]で着目した、大麻種子を含む薬物の密輸を目的とした郵便および宅配便の使用問題に注目し、

大麻が世界中で最も広く生産、密輸、乱用されている非合法麻薬の一つであることを強調し、

多数の加盟国が大麻草の供給の増加、特に屋内栽培されているもの、またいくつかの大麻草品種のTHC含有量の平均的増加を報告していることに注目し、

WHOによる大麻の唯一の国際的アセスメントである1997年出版の『大麻:健康的見地と調査課題』[7]に報告されている大麻の健康に対する影響を重視し、

危険行動へと導く(特に若者の間における)大麻の乱用と、その健康および社会的影響、特にTHC含有量が高い大麻草種の乱用を深く憂慮し、

また同様に大麻の密輸と乱用を深く憂慮し、

いくつかの地域で大麻がアヘンの非合法収穫に取って代わられている傾向があることを考慮し、

違法に栽培された大麻草から得られた種子の密輸に留意し、大麻の密輸および乱用を撃退するための国際協力の第一義的重要性を強調し、

現在の決議の焦点が、大麻草の違法な栽培のための種子の使用であることに注目し、

大麻種子が国際麻薬統制条約によって統制されていない貿易可能な物品であることを認識し、

1.全加盟国に、1961年の麻薬単一条約[8]に則り、大麻草の非合法な栽培に対して厳しい処置をとることを強く要請し、

2.国連薬物犯罪事務所が、WHOの薬物中毒専門家委員会と大麻がもたらす健康上のリスクに関する情報を共有することを要請し、またその際、枠外予算の利用を前提とした、専門家委員会による大麻に関する報告書の更新に期待し、

3.国際麻薬統制委員会が、国際麻薬統制条約の下におけるその権限において、また必要に応じて他の適切な国際組織と協力し、加盟国からインターネットによる販売を含む大麻種子の取締り情報を収集し、加盟国とその情報を共有し、加盟国および他の資金提供者に、国連のルールと手続きに合致するこれらの目的のために枠外予算への貢献を勧めることを要請し、

4.国連薬物犯罪事務所が、大麻種子に関するグローバルな調査を市場調査を手始めに実施すること、またその調査結果を第53回委員会に報告すること、また加盟国および他の資金提供者に、国連のルールと手続きに合致するこれらの目的のために枠外予算への貢献を勧めることを要請し、

5.全加盟国に非合法な目的のための大麻種子の取引を許可しないよう検討することを強く要請し、

6.国連薬物犯罪事務所の事務局長に対して当決議の実施について第53会期において報告するよう要請するものである。

1 United Nations, Treaty Series, vol. 520, No. 7515.
2 Ibid., vol. 976, No. 14152.
3 Ibid., vol. 1019, No. 14956.
4 Ibid., vol. 1582, No. 27627.
5 General Assembly resolution S-20/4 E.
6 Report of the International Narcotics Control Board for 2008 (United Nations publication,Sales No. E.09.XI.1).
7 World Health Organization, Cannabis: a Health Perspective and Research Agenda (WHO/MSA/PSA/97.4) (Geneva, 1997).
8 United Nations, Treaty Series, vol. 520, No. 7515.


この決議原文を国連麻薬委員会のサイトに公開されたPDFで読んだ時、私は率直に言って、今さら種の規制強化かよ、日本国内では大問題に仕立てているけど、こんなマヌケな話が国際的なテーマになるのかよ、と、思ったのでありました。が、この決議案を起案した厚労省麻薬対策課安田課長補佐にその感想を率直にぶつけてみたところ、大麻種子については問題視して憂慮している国が日本以外にもあるし、またこの決議には、WHO97大麻報告のアップデートを求める文言も入っているのだと強調されていました。WHO97大麻報告に関しては、現在、日本政府が大麻有害情報の根拠として依拠しています。

数年前までは、医学的理由も示せない(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターのデタラメな情報が、大麻有害論の根拠として、検察が法廷に証拠として提出するほど罷り通っていたのですが、さすがにダメセンの天下りの渡りの無根拠な情報では話にならないと悟ったのか、最近はダメセンの情報がマスコミで使われることもなくなってきたようで、NHKもWHO97を援用するようになっています。

それにしても、すでにWHO97のデータは陳腐化しており、情報として古いものになっています。そのことを指摘すると、安田氏は、だからこそ国際的に共有できる情報として、WHOによる情報のアップデートを求めたのであり、この問題は、今後も働きかけを行っていくと言明されました。また、情報が古いままではいつまでたっても不毛な議論が延々と続くだけだとも仰っており、ダメセンの大麻情報を修正する必要もお認めになっています。
つまり、私たちが明らかにしてきたことは、次のように言えるでしょう。

日本政府は何を根拠に大麻を懲役刑という厳罰で取り締っているのか。それを説明する明確な理由の不在が、大麻取締法を所管する厚労省でも問題として顕在化している。

近いうちに書き起こしと取材録音を公開したいと思います。

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