NHK「追跡!A to Z:なぜ市民が大麻を」への再質問に文書回答

投稿日時 2009-10-22 | カテゴリ: 追跡!AtoZ:なぜ市民が大麻を

NHKから『「追跡!A to Z:なぜ市民が大麻を~違法薬物ネットワークを追う~」についての再質問』に対する文書回答が届きました。


平成21年10月19日

大麻取締法変革センター
代表 白坂和彦様

NHK報道局
社会部副部長 海老原 史
社会番組部チーフプロデューサー 矢野達史

拝復
10月15日にお送りいただいた、NHKのテレビ番組「追跡!AtoZ」についての再質問書を拝読いたしました。番組担当者よりお返事をさせていただきます。

まず、番組の制作主旨は前回申し上げました通り、日本国内で法律で禁止されている違法薬物・大麻の検挙者数が増加していることを懸念し、その背景にある日本社会の課題を探ろうというものです。違法薬物である大麻の使用者を検挙すること自体を「日本社会の課題」とは考えておりません。
大麻の危険性の研究については、白坂様がご指摘の研究結果も含めて取材・調査しておりますが、1997年のWHO報告書は、ことし(2009年)3月に開かれた国連の麻薬委員会の決議の前文で、「大麻について唯一の国際的評価をしたもの」と明記されたものです。よって現段階における最も公平な科学的知見として紹介しました。危険性を指摘した部分を紹介したのは、前回申し上げました通り、若者たちが安易に違法薬物・大麻に手を出す背景に、その危険性を十分に理解していないことがあると考えたためです。
以上の主旨で今回の番組を制作したものであり、その立場は当初から変わっておりません。
以上、ご理解を賜りすまよう、よろしくお願い申し上げます。

敬具


NHKは日本政府が提起して採択された決議を持ち出して、1997年のWHO報告書が「大麻について唯一の国際的評価をしたもの」で、だから「現段階における最も公平な科学的知見」だとしていますが、これは論理的に矛盾しています。「再質問」でも指摘した通り、NHKがこのWHO97報告から抽出した大麻の急性的な影響としての「危険性」は、「Blockらの1992年の研究」として記述されているものです。それ以降、これも「再質問」で指摘した通り、「Blockらの1992年の研究」を否定する研究が、多数の研究機関によって報告されているのです。NHKはそれらの報告を公平ではないとでも言うのでしょうか。

また、NHKが持ち出した「決議」には、「国連薬物犯罪事務所が、WHOの薬物中毒専門家委員会と大麻がもたらす健康上のリスクに関する情報を共有することを要請し、またその際、枠外予算の利用を前提とした、専門家委員会による大麻に関する報告書の更新に期待」するとも書かれているのです。つまりは、1997年のWHO報告がデータとして古いので、それを更新する必要があるということです。

そもそも、この番組を制作した江刺ディレクターは、私の取材に対して次のように言っています。

97年のWHOの報告書なんですけども、さきほど申し上げましたように、私もずっと薬物とか、大麻の問題をやってる人間じゃないもので、いろいろと一次資料とか、情報に当たろうとしたんですけれども、結局いまの状況は、確実に言えるものがなかなか見つからないと言いますか、見当たらないんだなというのが、リサーチの範囲なんですけれども。

江刺ディレクターは私のしっっっっつこい長時間の問いかけに、丁寧で率直な対応をして頂き、その点については大変に感謝しています。
上に引用した箇所、録音を編集して近日中に公開するのでちょっと待っててね。

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