知性の防衛においてワシントンポストのコラムニストは愚かに見える
2009年10月22日 NORML常任理事アレン・ピエール
「医療大麻は我々の知性への侮辱である」と題された、コラムニスト、チャールズ・レーンの知的に怠慢で侮辱的なコラム(すなわち、レーン氏はエンジェル・ライヒの病状をあざけり、ありもしない嫌疑をかけてNORMLの調査を引用した)を掲載した後、どれだけ多くの投書がワシントンポストの編者に届いたかは想像に難くない。
以下はNORML役員のポール・クーンによる編者への投書である。・・・あなたもここからレーン氏の知性の"擁護"(と思いやりの欠如)に割って入ることができる。
[ポール・アルメンターノ更新:ポール・クーンのワシントンポストへの投書は、NORML代表者によって書かれた単なる1通の投書である。例えばカリフォルニアNORMLも他の複数の投書と同様に、別個の投書で反応を示した。その結果ワシントンポストは、気乗りしない感じの"釈明"を付け加えた。
釈明:エンジェル・ライヒが訴訟で言及した一つ一つの病状は生死にかかわるものだと主張したと、旧バージョンの投稿で述べた。彼女は私に、一つの病状‐食べ物を胃に納めておくことが出来ないため生じる慢性的な体重減少‐のみが生死にかかわる物だと主張したと説明するよう求めた。私は快諾する。彼女はまもなく神経鞘腫すなわち良性の脳腫瘍を治療するための手術を受ける。]
医療大麻は我々の知性への侮辱である
司法省は"医療大麻"を許可する州法に従って、大麻を喫煙したり売ったりする人の訴追を差し控えると言っている。司法長官のエリック・ホルダーは「連邦資金を深刻な病気の患者や介護人の訴追に使うのは優先事項ではない。」と述べている。騒ぎをとことん楽しもう!つまり、治療を始めさせよう。
連邦政府は取るに足らない麻薬中毒者に多くの時間を費やしてはいないと思うので、最近の世論調査によって44%の一般市民から支持を得た、大麻の合法化については決心がつかない。レクリエーショナルユース(遊びでの使用)は賢いこととは思えない‐もし12歳の息子がこれを読んでいたら、これはお前のことを言っているんだ!‐しかし大麻は他のドラッグ(例えばアルコール)より害が少なく、根絶するのは不可能だ。一方で、よりハードなドラッグへのゲートウェイ(入り口)になるのではないかと心配だ。それで私は非犯罪化について開かれた議論を行うべきではないかと思う。
しかし議論は現実の非犯罪化についての現実的なものである必要があり、言い方は悪いが、"医療大麻"のお涙頂戴によって曇りのあるものではいけない。大麻を"深刻な病気"に対処するために"介護人"から入手しているという考え方‐ただハイになるために、自分で育てたり"ディスペンサリー(訳注:医療大麻の販売所)"に集まるというのとは対照的に‐に対して司法長官の医療大麻の許可が与えられる限りは、司法省の動きは建設的ではない。
末期がん患者や痛みに苦しむエイズ患者などのように、大麻がありがたい救いになる人が居るということは否定しない。ホルダー長官が発表するずっと前から、司法省が通常そのようなケースに目をつぶってきたように、彼らには喫煙させればよいと私は思う。しかしもしあなたが、喫煙によって摂取された大麻には擁護者が主張するような多様な治療的使用がある、という科学的証拠があると信じるなら‐うーん、私ならあなたに袋いっぱいのオレガノを売りたいがね。
通常、薬は市場に出回る前に食品医薬品局(FDA)による厳格な試験をパスする必要がある。これには、国民が効果がなかったり有害である製品に金を費やさないように、というきちんとした理由がある。しかしながらカリフォルニアや他の場所では、ガマの油は‐いや失礼、"医療大麻"は‐別のルートを通って市場に出る:住民投票だ。ディスペンサリーで販売される大麻は、他の調合薬が満たさなければならない純度制御を何も受けていない。実際のところ、新しい司法省の方針はグレーな大麻市場を本質的に承認し、品質と効き目に関しては深刻な病気であると言われている人々をディーラー、つまり介護人の慈悲心に任せている。
他にどんな薬物を私達はこのように扱えばよいのだろうか。コカイン?レアトリル(訳注:FDAに承認されなかった制癌剤)? オバマ大統領はFDAにタバコのニコチン含有量を管理する権限を与える法案にちょうどサインをしたところではなかっただろうか。そして彼は「"科学"はあるべき正しい場所に戻す」と約束したように私は思ったが。
カリフォルニア州法の下では、大麻を手に入れるのに処方箋すら必要ない(合衆国麻薬取締局が誰に処方箋スタンプを与えるか管理していて、非合法ドラッグを処方するのにスタンプを使う医者は多くないのだから、明らかに問題だろう)。必要なのは医師からの"書面または口頭での推薦"だけである。
数年前、エンジェル・ライヒというカリフォルニア州の女性が、医療大麻に関して最高裁まで争った。彼女は大麻の医学的有効性とは関係なく法律問題では敗訴した。その過程で彼女は"生死に関わる"脊柱彎曲症、顎関節機能不全、歯ぎしり、子宮内膜症、頭痛、子宮筋腫、神経鞘腫を患っていると主張した。ラテン語の病名(訳注:前出の病名の多くは難解なラテン語)は何人かの判事をだましたかもしれないが、医師達はこれらの疾患の一つ一つは、一般的で生死に関わらない標準的な治療が可能なものであると見抜いた。ライヒはバイコディンからメタドンにいたるまで、彼女が試してみて満足いかなかったたくさんの効き目のある薬を挙げた。私は医者ではないが、私は彼女が心気症、またはもしかしたら大麻依存について医師の診察を考えるべきではないかと思った。
これは単一の事例ではない。ユーザーの絶望的な健康状態を強調すると予想される、"医療大麻"支持団体のNORMLの調査によれば、カリフォルニア州の大麻ユーザーのたった22%がエイズ関連疾患を患っている。残りの多くは" 慢性疼痛"や" 気分障害"といった主観的な疾患を患っている。
ライヒの医師はバークリーの有名な医師で大麻擁護活動家のフランク・ルシード(Frank Lucido)である。彼は"医療大麻"についての鑑定人としても収入を得ており、彼のウェブサイトは彼が「2003年に大麻評価の実施についてカリフォルニア州医療業務委員会(Medical Practices Board of California)によって精査され、完全に潔白が証明された。」と豪語している。このケースには16歳の少年の注意欠陥障害(ADD)を治療するために彼が大麻を推薦した件も含まれるが、先に述べたように彼は完全に潔白が証明されたのだ。
この件に関する、生命倫理学雑誌であるヘイスティングスセンターレポートの(購読料が必要となるような)優れた記事で、法律家で麻酔専門医のピーター・コーヘン(Peter J. Cohen)は、"医療大麻"団体は、この万能薬と言われる物についてFDAの試験と承認を要求することに著しく受け身であると指摘した。その代わりに彼らは、彼らの主張を人々に訴える。コーヘンが論じたように、これは健康政策を作り上げるためなどではない:「"医療大麻"は、大衆の意志によって医療使用が合法化されるよりはむしろ、薬物療法に提案されている全ての薬同様に、科学的精査を受けるべきだ。」と彼は述べている。"医療大麻"運動は私達の社会にとって脅威ではないかもしれないが、私達の知性への侮辱である。
返信:Charles Laneの医療大麻に関するコラム
編者様
ワシントンポストで読んだばかげたコラムの殆どの中で、エンジェル・ライヒに心気症のペテン師というレッテルを貼っている論評は、最も侮辱的な論評でした。次の木曜日に彼女はスタンフォード病院で脳外科手術を受けます。
最も理解に苦しむのは、大麻を一部の患者には"ありがたい救い"であると認めながら、同時に"知性への侮辱"であるとしている点です。
最も誤解に基づいているのは、政府が大麻に関する研究を禁止しているのに、何故大麻がFDAに承認されていないのかを問うている点です。
私の亡妻が癌と戦っていた時、最良の合法の薬剤が効かなくなった後、大麻は彼女の痛みを和らげました。私はLane氏の支離滅裂な言葉よりも、自分の目を信じます。
敬具
ポール・コーヘン(Paul H. Kuhn)
テネシー州ナッシュビル
Source: NORML BLOG
In Defense of Intelligence, Washington Post Columnist Looks Like A Fool
October 22nd, 2009 By: Allen St. Pierre, NORML Executive Director
翻訳とコメント by とら
大衆の意志の前では役所の承認なんて取るに足らないものだろうに。それが民主主義でしょう。大麻に絶対に反対だという考えも理解はできるけれど、大麻を必要としている人、使用したい人の権利を認めてあげればいいのに。たとえ合法化されても、使用したくない人には使用しない権利があるんだから。
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