NHK「大麻の怖さ知っていますか?」への質問書に制作担当者から回答

投稿日時 2009-11-12 | カテゴリ: 大麻の怖さ知っていますか?

NHKが6月に放送し、今も中高生向けの教材番組として動画が公開されている「大麻の怖さ知っていますか?」の内容について、10月20日に質問書をファックスで送付したが、その回答が11月2日付であった。
まるで、できるだけ答えたくないかのような回答を読むと、やはりNHKは大麻の医学的事実などまったく検証せず、初めから「ダメ。ゼッタイ。」という姿勢で都合のよい情報を集め、恣意的な編集を行って報道しているとしか思えない。
以下、回答を転記する。()内の部分は分かりやすくするため質問内容を当方で付記した。

平成21年11月2日

大麻取締法変革センター
代表 白坂和彦殿

NHKエデュケーショナル
10min.ボックス担当

前略
このたびは、10min.ボックスをご覧いただきありがとうございました。FAXの質問にお答えさせていただきます。

質問1
(大麻を「吸い続けるうちに、やめられなく依存症や、大麻精神病に陥る危険があります」とナレーションがありますが、大麻の「やめられなくなる依存症」と「大麻精神病」の論拠・出典を教えて下さい。)

この番組は中高生向け教育番組です。番組制作で参考にした文献等の問い合わせをいただきますが、ご自身で調べられるようお願いしており、問い合わせに対する個別の対応はしておりません。悪しからずご容赦ください。

質問2・3
(日本ダルクアウェイクニングハウスの紹介で、薬物依存から回復する目的で、約30名が入所しているとナレーションがありますが、この施設の施設長に確認したところ、大麻だけで依存症になって入所している人は一人もおらず、処方薬などで依存症になった人が多いとのことでした。 番組制作担当者はこの番組を制作するにあたり、当該施設には大麻だけで依存症になった人がいない事実を知っていましたか?)

(上述施設の入所者として登場する「入所して2年4か月のダイスケさん(23歳に)、2度の逮捕と精神病院への入院を経てここに来ました」とナレーションがありますが、このダイスケさんは大麻だけで精神病院に入院したのではないそうです。その事実を番組制作担当者は知っていましたか?)

取材を通じ把握しています。

質問4
(「ラットに大麻を与えた実験」が紹介されていますが、この実験はどこの研究機関が行ったものですか?)

字幕スーパーで紹介しました。

質問5
(「ラットに大麻を与えた」とのことですが、与えたのは化学合成されたTHC単体ではなく、植物の大麻そのものですか?)

取材を通じて「大麻」であることを確認しています。

質問6
(「普段はおとなしいラットが、仲間を噛み殺すほど攻撃的になることがあります」とのことですが、攻撃されているのはマウスではありませんか?)

「マウス」です。

質問7
(国立精神・神経センター薬物依存研究部長の和田清氏が、『大麻はタバコよりは害が少ないんだという方がいたり、あるいはそういう報道がされることがあるんですが、何をもってそういうことを言うのか、その根拠というものは、実は私たちから見ますといっさい分かりません。どこにもその根拠がありません。』と説明されています。
しかし、大麻はタバコより害が少ないという研究報告は、2006年にイギリス下院科学技術特別委員会でも科学者たちの答申として示されており、1999年の全米科学アカデミー医学研究所の報告でも、使用人口比における大麻の依存性(9%)は、タバコ(32%)やアルコール(15%)と比べても低いとあります。
このイギリスや米国の科学者たちによる研究報告を番組制作担当者はご存知でしたか?)

原典にはあたっていませんが、取材過程で把握しています。

以上です。


「質問1」については、「この番組は中高生向け教育番組です」と、なにやら子ども相手なら科学的事実などどーでもいいかのような前置きをしている。「番組制作で参考にした文献等の問い合わせをいただきますが、ご自身で調べられるようお願いしており、問い合わせに対する個別の対応はしておりません。悪しからずご容赦ください。」とはどういうことだろう。私は、NHKがどのようなデータに基づいて、大麻には「依存性」や「大麻精神病」の危険があると断定したのかを問うているのであって、参考文献を教えてくれと頼んでいるのではない。おそらくNHKは医学的事実など確認せず、テキトーにダメセンあたりからコピペして情報を転用したのではないだろうか。

「質問2と3」は、まとめて回答しているが、つまり、NHKは、この番組に登場した日本ダルクアウェイクニングハウスには、大麻だけで薬物依存になった人がいないこと、2度の逮捕と精神病院への入院を経てこの施設に入所することになったダイスケさんは、大麻だけで精神病院に入院したのではないことを知りながら、あたかもそれが「大麻の怖さ」であるかのように報道している。これは事実を捻じ曲げた捏造に等しい行為ではないのか。

「質問4」は、大麻を与えたラットの実験はどこの研究期間が行ったものかを訊ねたものだが、回答は「字幕スーパーで紹介しました」とある。で、再度動画を見て見たら、この実験を撮影したのは「福岡大学 藤原道弘教授」が撮影したものだと確かにスーパーが入っていた。
この福岡大学の藤原という人は、2003年に西日本新聞の取材に対して、「大麻を長期間使用した場合」、「幻覚や妄想が起きたり、蛍光灯や靴などを食べる大麻精神障害や学習障害、記憶障害、何もやる気がしない無動機症候群などに陥る。」とコメントしている。

●参照:福岡県議との対話

「質問5」は、このラットの実験で、「大麻を与えた」と放送しているのは、合成THCではないのかという疑問を持ったからだが、回答は「大麻であることを確認している」とのことだ。

「質問6」。この実験では、ラットに大麻を与えたら、「普段はおとなしいラットが、仲間を噛み殺すほど攻撃的になる」とのこと。しかし、攻撃しているのは大きなラットだけど、攻撃されているのはラットではなく、小さなマウスで、それは別に異常行動ではなく、なんの不思議もない捕食行動、つまり、大麻を与えてマンチーになったので、ラットは目の前のマウスを餌として食ったのではないか。中高生向けの、子ども騙しということだろうか。

●参照:大麻でラット凶暴化?についての検証

「質問7」は、何度質問しても無視する国立精神・神経センターの和田氏が、この番組で、「大麻はタバコよりは害が少ないんだという方がいたり、あるいはそういう報道がされることがあるんですが、何をもってそういうことを言うのか、その根拠というものは、実は私たちから見ますといっさい分かりません。どこにもその根拠がありません。」と、武田邦彦教授の爪の垢でも煎じて飲ませたいことを言っている点について聞いた。
海外の研究報告を見れば、大麻にはアルコールやタバコほどの害がないことは明白だからだ。

質問では、1999年の全米科学アカデミー医学研究所(IOM)の報告と、2006年のイギリス下院科学技術特別委員会の報告を示したが、NHKはその存在を取材過程で知っていたという。だったら和田氏が「そのような根拠がありません」と言っているのは明白なウソだということをNHKは知っていたことになる。NHKは知っていながらウソを放送したことになる。
再度NHKに質問書を送付し、福岡大学の藤原氏にも取材し、その後にBPOに問題提起できるかを検討したい。





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