植松黎著 『毒草を食べてみた』(文春新書)から特に共感できる部分を引用し紹介します。
この新書では、44種におよぶ毒草の成分や各植物に由来する伝統、関連する事件や取材時の出来事が列挙されてます。
「第5話フクジュソウ」からの引用
A子さんは(中略)単純計算すれば、たったの40.5ミリグラムで亡くなったことになる。
これほど致死的な毒であるにもかかわらず、薬草の本の中には無責任にも心臓薬として紹介したり、民法のテレビ局の中には「食用の山菜」として放映するところまであらわれた。平成10年4月15日、主婦向けの番組で「山菜の宝庫・高尾山」と名うち、視聴者に食べられる山菜としてフクジュソウの写真を映し出したのだった。
A子さんの事件が全国紙で大きく取り上げられてからまだ六年しかたっていない。また、NHKで、バイケイソウ(毒草)を山菜と誤報して騒がれたのはつい五年前(平成六年5月14日)のことだった。幸い賢い視聴者が番組の直後にフクジュソウの毒を指摘したらしく、局は夕方のニュースなどで番組の訂正をした。しかし、「事前の調査ミス。植物の知識が少なく確認に手間どった」というコメントは、ことの重大さを認識しているとは思えないものだった。
また、彼らの過ちは、フクジュソウが山菜か否かよりも、「知識が少ない」まま内容も確認せずに放送したことだった。彼らは、現場(高尾山・東京八王子市)へ行って取材することもしなかった。もし、高尾山で関係者の話を聞くという報道の基本さえ守っていれば、自生してもいないフクジュソウを「山菜の宝庫・高尾山」としてとりあげるような失態をおかすこともなかっただろう。また番組関係者で、フクジュソウを食べたものは誰もいないのに、視聴者には「食べられる山菜」とすすめる“やらせ”もおこらなかったのではないか。
もし第二のA子さん事件が起こっていたら…、私はこのニュースを聞いたとき、心底から恐ろしかった。局では「確認に手間どった」というが、確認できるまで放映しないのが報道機関の責任ではないか。少なくとも視聴者はそう信じている。
「第10話アサ」からの引用
また、シヴァ神崇拝のシッダ医学や、アーユルヴェーダ(長寿のための知恵)という世界最古の医学では、大麻は治療薬のひとつだった。最近、WHO(世界保健機構)でも、世界のこうした土着療法を見直す動きが出てきている。
(中略)
日本のアサは、インド産にくらべるとTHCの含有量が低いから「気持ちいい」レベルにまではいかないのかもしれない。それでも日本人の大麻嫌いは徹底していて、改良に改良を重ね、近頃栽培されているのはTHCをほとんど含まない種類しかない。
ちなみにヨーロッパはどうかといえば、アサがこの上なく魅惑的な快楽をもたらす植物だと知ったのは、ほとんどの人にとってマルコポーロの『東方見聞録』(十三世紀)が最初だった。「山の老人」といわれる暗殺団の首領が大麻の魔力で若者たちをあやつったという物語で、のちに、アサシン(暗殺)の語源となるほど有名 になった。それはヨーロッパ人にセンセーションをまきおこしたが、そのときはインドやイスラム諸国のように大麻がひろがることはなかった。
しかし現在では、ヨーロッパの街角で喫煙者を見つけるのはわけないし、オランダのカフェでは誰でも自由に買える。そして、なにかといえば大麻が問題になるアメリカでは、愛好者の嗜好品として定着しているだけでなく、医療としての利用もひろがってきている。カリフォルニア州では大麻を医療に活用できる法案が通った。
1997年のWHOの調査では、「大麻は酒やタバコより安全」という結果が出た。しかし、その研究報告書は公表されなかった。数ヶ月後、握りつぶしが暴露されると、「公衆衛生の観点から意味がない研究だったことと、大麻の害を少なく見せようという偏向した内容だった」とのコメントを発表した。しかし、実は、大麻合法化キャンペーンに利用されるのを恐れたのではないか、との指摘もある。
「第15話コカ」からの引用
(ペルーを)案内してくれたサン・アントニオ大学の薬草学の教授・ウロナガ博士は、もっと珍しいコカを見せてあげようと、二枚の葉っぱが軸のほうで合体した、いわば二つ葉コカをさし出した。
「これは四つ葉のクローバーより稀でとてつもない幸運を招くから、お守りに持っていなさい」としきりにすすめてくれた。しかし、お守りであっても、日本での所持は許されない。
ペルーが誇る薬草学の世界的権威・カルビシス博士によれば、標本でさえ持ち帰れない日本は、「大いに遅れている国」なのだ。
ペルーの権威に遅れていると言われてしまうニッポンの現実。大麻先進国にしてやろう!
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