『なぜ市民が大麻を』についての再々々質問にNHKから逃げの回答

投稿日時 2009-11-17 | カテゴリ: 追跡!AtoZ:なぜ市民が大麻を

『なぜ市民が大麻を』についての質問に対する回答が10日にNHKから届いた。が、あいかわらず回答になっていないどころか、自分たちの偏向や作為的な番組作りを棚に上げて、もう回答しないという回答だった。私の再々々質問は次の1点だった。


1.大麻の危険性について
NHKが紹介した大麻の危険性、『学習能力の低下、人格喪失、知覚の変化、記憶への影響』といった健康被害が、大麻の検挙者数と比例して、あるいは関連して、増加しているデータを教えて下さい。
あるいはそのような裏付けは取らなかったのですか?


番組を制作した江刺ディレクターへの電話取材でも、文書による質問の回答を見ても、NHKは『法律で禁止されている大麻に安易に手を出す市民が増えているという事実』を懸念し、『なぜ市民が大麻を』栽培したり使用したりするのかを『追跡』したとのことだ。そして、大麻の危険性である『学習能力の低下、人格喪失、知覚の変化、記憶への影響』が十分に理解されていないことが、大麻に手を出す市民の増加につながっているのではないか、また、若者が将来に希望を持てないといった社会的な背景も一因しているのではないかと、実に驚くほど安直なステレオタイプな危惧を伝えている。

では、大麻の検挙者数が増加しているのであれば、NHKが指摘する大麻の危険性、『学習能力の低下、人格喪失、知覚の変化、記憶への影響』といった問題を抱える大麻使用者も増加しているのだろうか。大麻の検挙者数の増加でもっとも懸念されるべきは、そのような危険性による健康被害だろう。そのような危険性で健康被害を受けることが事実でなければ、そもそも検挙することに何の意味があろう。
この番組は『追跡!AtoZ』というシリーズである。当然、検挙者数の増加という事実『A』から出発し、大麻の危険性で被害を受けている者の増加という『Z』までを調査したのだろう。それが質問の趣旨だった。
以下、NHKの回答だ。

平成21年11月10日

大麻取締法変革センター
代表 白坂和彦様

NHK報道局
社会部副部長 海老原 史
社会番組部チーフプロデューサー 矢野達史

拝復
11月2日にお送りいただいた、「再々々質問」に対して、お返事させて頂きます。

WHOの97年の報告書が指摘している「大麻の危険性」は、大麻の検挙者数の増減とは関係のない重要な事実と認識しております。再三再四申し上げておりますように、以上が私たちの「大麻の危険性」についての見解です。

なお先日、番組担当ディレクターとの電話での会話を録音し、その一部分を作為的に編集したものをホームページに掲載されましたが、WHOの報告書が今年3月の国連麻薬委員会で評価されたため番組で紹介したと説明したにもかかわらず、その主要部分を削除し、周辺部分のみを抜き出したものを掲載する行為には、強い不信感を抱かざるを得ません。
今回をもって、最後の回答とさせていただきます。

敬具


当方のサイトをご覧頂き、江刺ディレクターとの対話の録音を聞いて頂いたようでありがたい限りだが、人気ブログランキングはちゃんとクリックしてくれただろうか。

江刺ディレクターとの対話はほぼ1時間20分に及ぶものだったが、その内容は『NHK「なぜ市民が大麻を」を制作したディレクターとの対話』として掲載し、江刺ディレクターの説明として私は次のように明記した。

『国際的に共有された知見があればと思っていたんですけど、拠って立てるものとなれば、古いと言われるかもしれませんけど、今年3月に国連麻薬委員会というのがあったんですけれども、そこの前文で、唯一の国際的に評価したのとしてあったもので、そういうことであれば、これを使うしかないのかなというのが今回の判断なんですけれども。』

この長時間の対話のポイントをトークイベントで紹介するために、私は約8分30秒に編集した。NHKは『WHOの報告書が今年3月の国連麻薬委員会で評価された』ことが『主要部分』だと言う。しかし、当方にとっての主要部分は、番組を制作したディレクターが、『(大麻の有害性についての)研究が不十分であるということは私も聞いております』とか、『私もずっと薬物とか、大麻の問題をやってる人間じゃないもので、いろいろと一次資料とか、情報に当たろうとしたんでけれども、結局いまの状況は、これが(大麻の有害性だと)と確実に言えるものがなかなか見つからないと言いますか、見あたらない』と言っている点だ。
NHkは、大麻の有害性について、『確実に言えるものがなかなかない』と認めているのだ。

何を『主要部分』と考えるか、NHKに指図される覚えはない。

むしろ、WHO97報告では急性の影響として書かれている大麻の「危険性」を、急性的な影響だとも説明せず、あたかも大麻がもたらす恒常的な危険性であるかのように報道し、大麻による検挙者数の増加に伴って、そのような危険性で健康被害を受けている者も増えているのかという、より「主要」な問題点について全く検証せず、質問に回答すらできず、もう回答しないという、NHKの報道姿勢こそが「作為的」であり、「強い不信感を抱かざるを得ません」。

NHKは、『追跡!AtoZ』という誇大広告のような冠は捨て、『追跡ごっこ!AtoC』くらいに変えたらどうか。





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