禁止論者は新聞を読んでない
2009年11月9日
NORML 副事務局長ポール・アルメンターノ
何はともあれ禁止派というものは首尾一貫している。結果如何にかかわらず彼らは自分たちの主張に固執し、その要求が疑わしかろうがお構いなしだ。
典型的な例だが、ネット版CBS新聞上で行われた、最近リタイアしたオレンジ郡監督委員でカルフォルニア州裁判官ジム・グレイ(多くの人は最近、公衆衛生についての特別委員会で彼が証言しているのを見ているだろう)と禁止派の暴利商人デービッド・エバンス(彼はニュージャージーにおける医療用マリファナの法的改善についてNORMLのクリス・ゴールドステインとの議論の中で嘘をついたと言われている)の議論がある。
想定内ではあるが、この議論の初めでエバンスはオランダの麻薬取扱指針(ここでは18歳以上の市民に少量の大麻を合法的に販売することを認めている)をアメリカの大麻禁止継続に好意的な意見であると引用している。彼によると、オランダの麻薬使用は自由化の後2倍以上に膨れ上がり、政府をして2004年に失敗の公式な発表に至ったことになっている。
う~ん、どうやら彼は先週付けの新聞をわざと避けて読んでいないか、金曜日に発行されたロイター・ワイヤー・サービスで広く喧伝された報告を見たに違いない。
オランダはヨーロッパでカナビス系薬物の使用者が最も少ない国の一つ
ロイター
オランダはよく知られている薬物に対する寛容があるにもかかわらず、ヨーロッパにおいてマリファナや大麻の使用者が最も少ない国の一つである、と火曜日に発表された地域研究により分かった。オランダでは大人の内5,4%が大麻を使用しているが、ヨーロッパの平均は6,8%であると、ヨーロッパ・ドラッグ監視センター(EMCDDA)による最新のデータを用いた年報告によって明らかにされた。
オランダにおけるソフト・ドラッグに対する方針は、ヨーロッパで最も自由化されたものの一つだが、コーヒーショップでのマリファナの販売を許可し、オランダ人はこの状態で何十年もうまくやってきたし、所持量にしても5グラム(0.18オンス)以下なのだ。
驚くことはないが、エバンスはまた昨年発行された世界保健機関(WHO)の報告も引用し損なっている。
アメリカは非合法な薬物使用において世界の先陣を切っている
CBSニュース
厳しい薬物規制法にもかかわらず、新調査ではアメリカは世界で非合法な薬物使用において最も高いレベルにあるとその報告には書かれている。
WHOの17カ国における薬物の合法・非合法の調査は、オランダやそれよりも法的規制の緩和な国々も含むが、アメリカのコカインやマリファナの使用量が最も高いレベルにあることを示している。
例えば、アメリカは生涯においてコカインを用いる量の比較において、最も接近しているニュージーランドよりも4倍である(16%に対して4%)。マリファナの使用は世界中で幅広く報告されているが、ニュージーランドの41,9%に対して 、アメリカにおいても42,4%と高い水準にある。
比較してみると、アメリカよりも自由な薬物方針を持つニュージーランドにおいても、国民の1,9%がコカインを使用し、19,8%がマリファナを使用しているだけである。
WHOの報告はさらに続けられ、アメリカよりも厳しい刑事罰を伴わない対策をとっているニュージーランドのほうが特に若い人々の間では低い使用率だということが述べられ、明らかに薬物の所持及び使用制限の厳しい方針それ自体が、薬物の非合法な使用の率に関係していると述べられている。
しかしエバンスは、単にオランダについての嘘をつくだけでは物足らず、議論の別の所では、イギリス政府が2004年に一時的に分類基準を下げて以降、大麻使用の急上昇を経験していると、誤った情報を仄めかしている。(エバンスは、今はより致死性の高い大麻があるからだと主張するが、議会は2008年でこの大麻の非犯罪化を中止している)真実はちょうど真逆だったわけである。
再分類化により若年者のカンナビス系薬物の使用減る
ガーディアン
2004年に行った物議を醸した再分類化以来、若年者層の大麻使用が顕著に減少していると、本日発行の最新のイギリス犯罪白書において明らかになった。
調査によると、先年は16~24歳の人口で25%の大麻使用が認められたが、法制度の変革を成して、2006年7月には21%にまで減少したことが示されている。
この議論の第2部として、エバンス氏のウソを読むことに耐えられるなら、明日ここにアクセスして下さい。
Source: NORML Blog
Prohibitionists Don’t Read The Papers
November 9th, 2009 By: Paul Armentano, NORML Deputy Director
14 Nov 2009
翻訳とコメント by K-Seiji
太陽と北風みたいな話ではあるが、皮肉にも厳しく規制すればするほど非合法な薬物使用が広まってしまうという調査が明らかにされている。これは一つには使用者が論理的に「非合法な使用者」に色分けされてしまうためでもあろうが、特にマリファナの使用者が世界規模で一定数存在していることを考えると、ここに現れているのは背景として、カンナビス系薬物の需要がかなり生活に根付いているということなのかもしれない。要するに、法的規制(リスク)に左右されない部分においては嗜好であるとは言い難く、医療的な需要が高いのではないかと思うわけである(さらなる調査が待たれるが)。これが静的な見解だとすると、規制には積極的な面もあって、薬物(特に国家間で認識の異なる薬物)においては、規制によって取り引きがアンダーグラウンド化し、ある種の価値さえ付与してしまうために、使用を促してしまうのではないかとも思った。様々な可能性を考えて、より適切な法制度を構築してほしいものである。
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