日系アメリカ人のカリフォルニア医療大麻手記

投稿日時 2009-12-04 | カテゴリ: 読者からの投稿

アメリカで生まれ育った日系アメリカ人の男性から、カリフォルニアで医療大麻を使っていたという手記を頂いた。現在24歳の彼は、日本語を習い始めてまだ6年とのこと。日本の大学に進学するため来日し、現在は日本で仕事をしているそうだ。カリフォルニアで医療大麻がどのように扱われているか、その現実の一端を知ることができるだろう。


アメリカ医療大麻手記-元患者として-
by Dum Spiro Spero

子供の頃から頭痛持ちで、ほぼ毎日が「我慢」の日々でした。親も頭痛持ちなので、「こればかしはしょうがない」と思っていました。本当にひどいときは市販で売られてる頭痛薬(アメリカで商品名 Wyeth社のAdvil 薬剤成分はイブプロフェイン)を飲んで辛さを緩和していました。だが、やっぱり即効性がなく、薬が効き始めるまで1時間くらいかかり「まだか。。。まだか。。。」と思うばかりで悩んでいるうちに頭痛がひどくなっているじゃないかと思うくらいでした。薬が効いて頭痛の痛みが楽になったと思ったら、薬の効き目が抜け、またちょっと頭が痛くなっていました。

13歳のころ、毎日のように頭痛がして、嘔吐がしたくなるような目眩、脳の中心に感じる血管膨張と伸縮ズキンズキン、光と音に過剰反応する頭痛が4日続き、市販の薬ではどうしょうもないような頭痛が続き、親と一緒に医者にいきました。症状から脳に異常があるのではないかと。。。CTスキャン、X線検査、血液検査等、様々な検査をしましたが 脳には異常がなく、医者に「偏頭痛とストレスでしょう」と言われ、ヴァイコディン(Vicodin)という強めな痛み止めを処方されました。

ヴァイコディンはかなり効きました。薬を飲んだ後、痛みが完全になくなりました。でも、やはり強い薬には副作用がつき物です。薬が効き始めると、痛みがなくなるのですが、目眩がより激しくなったりして 食欲がなくなったりしました。当時はテニスをやっていて、試合前に薬を飲むと機能できなるので、避けていたのですが、やっぱり走ったりすると、足が地面についた衝撃で頭の中に響き、試合に集中ができず連敗していました。

ヴァイコディンを取り始めてから半年後、体が薬にたいして耐性が出てきて、以前より効果が得られる時間が大分短くなりました。医者にも相談しました。そこで、医者に精神科に紹介され、抗うつ剤を処方されました。抗うつ剤も1年くらい続けましたが、それも耐性ができました。私はもう薬に頼らない治療法を探し、カイロプラクティックにたどり着きました。

カイロプラクティックに通っている間は大分頭痛が楽になりました。それでも時々頭痛が出てきましたが、以前よりは全然症状がマイルドで、耐えられないほどではなかったです。それでも、カイロプラクティックにも欠点がありました。それは値段でした。アメリカでは保健外治療であり、1回で約$125(13000円相当)で週2回で月$1000前後でした。

16歳くらいからカイロも薬剤治療もやめ、ひたすら我慢していました。もちろん、頭痛で学校を休んだ日もありました。自分なりに、カイロで覚えたストレッチや食事に気を配り自分なりに最善を尽くしました。

高校を卒業する前に、アメリカで医療大麻の真実をしりました。私は市役所や州の政府機関から情報を取り寄せたり、ネットで情報を集め 「これだ!」と思いました。あまり自慢できない話ですが、アメリカだと違法大麻も相当出回っており、高校生ならば絶対1回は手を出しいるほどありました。高校生のときに、興味半分試しました。その後、少量友達から入手し、家1人で吸っていたことも多少ありましたが、頭痛がなくなり、食欲が増し、目眩も緩和されていました。

でも、やっぱり違法なものに手を出すのも怖いです。品質管理がされておらず、大麻の強度や、用途に合わせて選ぶこともできません。

そこで、18歳になったあと、医療大麻治療をサポートしている医者を探し、検査の予約をしました。そこで、カリフォルニア州に医者免許を認められている医者と話をしました。そのとき、自分の過去の医療記録を出し、医者に「あなたは医療大麻をお勧めします」と言われました。

カリフォルニア州の法律では、医者から医療大麻を受け取ることが出来ず、医者もどのように大麻を入手するのかも教えられないという法律があるそうです。医者は医者で、医療大麻は別の機関が管理、販売(カナビス・クラブ)をしなければいけないそうです。私は医者に診断料、書類発行手数料込みの$200を支払い、その日に「医療大麻の患者カード」(Medical Marijuana Patient Identification Card)と医者の医療大麻の推薦書 (Doctors Medical Marijuana Recommendation Letter) を貰いました。(両方とも1年間有効で、1年に1回はまた医者のところに行って、検査してもらい、必要だったらまたカードと推薦書を発行してもらうことになります)その足で、自分に一番近いカナビス・クラブへ向かいました。

カナビス・クラブに到着し、入り口に警備員が立っていました。その人に自分のカードと医者からの推薦書を見せた後、店の中に案内されました。入ったところ、窓口に女性がいて、その方に自分のカードと診断書を渡し、待機室で待ちました。私が待機している間、女性はカードと推薦書が本当に医者から発行されたかをチェックするそうです。数分後(恐らく5分―10分くらい)女性に呼ばれ、奥の部屋へ案内されました。そこに大麻のバッズが入っているガラスの瓶が15-20種類くらい置いてありました。その他にも、大麻が入っているクッキーやバターなど、大麻が含まれている商品がいっぱいありました。

そこで女性がカウンターの裏に入り、「今、どのような症状ですか?」と効かれ、自分は「頭痛がひどくて、目眩とか嘔吐がするんです」と説明しました。そこで、女性は大麻には主に3種類に分けられるといいました。サティバ、インディカ、ハイブリッド。サティバ系の大麻は気分がよくなり、テンションが上がるタイプ。インディカはリラックス系で、痛みや目眩などに効く。ハイブリッドはサティバとインディカの掛け合わせで、両方の効果が得られると説明を受けました。

女性は様々なバッズの瓶を取り出し、一個、一個の説明をしました。「このバッズは嘔吐とか目眩のすごく効きますよ」、「このバッズは頭痛とかに良いですけど、ちょっと初心者には強すぎるかもしれません。でも、寝る前とかには少量吸引すれば、気持ちよく寝れますよ」と各種の特徴を説明しました。瓶からバッズを取り出し、虫眼鏡の下で見たり、匂いを嗅ぐことも出来ました。私は女性が進めたバッズを2種類、1/8 オンス(約3.8グラム)を買いました。合計で$100前後だったと思います。(値段はそこまではっきり覚えていませんが、確か1/8オンスで$50で、そこに消費税が含まれた値段だったと思います)。それを持ち帰りました。

次の日、朝から頭痛がちょっとしたので、大麻をジョイントにし、吸ってみました。量は恐らく0.2g - 0.3gくらいです。半分吸い終わったころには、効き目が感じられました。気分的には、楽になり、ソファの上にぐったりして座り、体が100%リラックス気分でした。頭痛がなくなり、食欲が出て、とても快適でした。3時間くらいで効果がなくなりましたが、体がものすごくリラックスしていたせいか、効果が切れた後でも頭痛がなくなっていました。

そこから週1回から2回ほど使うようになり、頭痛の状態が大分よくなっていました。その当時、日本の大学への進学を希望していたので、出願書を毎日書いていて、日本語を勉強していました。(当時、日本語が全く話せませんでした)

めでたく、東京の某私立大学へ入学ができ、日本に来ることができました。合計で医療大麻を5ヶ月ほど使っていました。毎日薬漬けしてたときを考えれば、相当気分が楽でした。

日本に来てから6年経っていますが、大学を卒業し、某メーカーへ就職しました。頭痛はまだ結構あります。日本でも医者に行って、診てもらいましたが、やはり薬漬けになります。それを懸念して、薬を拒み、今はひたすら我慢の日々です。仕事で本当に頭が痛いときは市販で販売されている鎮痛剤を飲んでいます。

日本に帰国してから、大麻に関して聞いている誤解を自分の経験からすると。。。

「大麻を吸引すると無気力人間になる」 → 私は大麻を吸いながら大学へ受験し、入学しました。

「大麻を吸うと、他の麻薬に手を出すようになる」 → 大麻吸っている間、1回も他の麻薬に手を出したいと思いませんでした。むしろ、タバコも止め(アメリカではタバコは18歳から)、お酒にも興味がなくなりました。今でもお酒をほとんど飲まず、仕事や家族行事で付き合い程度しか飲んでいません。

「大麻には医療効果がない」 → 自分を含め、大麻が医療的使用を認められている全世界の患者の意見を聞けば解るが、効果はあります。アメリカやヨーロッパで発表されている医学文献を読めば、一目瞭然。

私は医療大麻を日本でも許されるべきであると考えています。現に、リタリンやモルヒネなど、覚せい剤とヘロインと全く似た成分で合法的に処方されています。リタリンやモルヒネなどは依存性が強く、OD(オーバードーズ)する可能性が極めて高いことがデータに出ています。だが、大麻は「危険だ」などと見なし、研究や実験もせず、大麻以上に危ない薬剤を処方し続けている日本の現状は理解不能です。むしろ、政府が日本の国民の健康や未来を真面目に考えているのかどうかがわかりません。





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