さゆりさんからのメール

投稿日時 2006-10-01 | カテゴリ: 祐美さん(大麻密輸の冤罪)

突然、妹が拘留されたと刑事さんから連絡があったのは、7月下旬でした。
その日の午後に妹のマンションの家宅捜索をするとのことで、私は立会い人として初めて刑事さんにお会いしました。
彼女の部屋に入った時は涙が止まらず、泣くことしかできませんでした。

「○時○分ガサ入ります」

と言った刑事さんの言葉で、“これは現実なんだ”ということが理解できました。
この言葉がいかに事務的で無機質な言葉か、言われた人間にしか分からないと思います。立ち会う人間にとって無神経すぎます。
数時間前に初めて妹が拘留されていることを知らされて、まだ物事を呑みこめていないのに・・・知らない人間が妹の部屋へ入って、物を探してるなんて。
証拠となるものはすべて押収され、どうしてこんなことになってしまったのか、という疑問だけが私に残されました。

しばらくは接見禁止だったため、差し入れを持っていくことしかできませんでした。
初めて妹と接見した日のことは私のなかで生涯忘れられない出来事だと思います。
そこはドラマで見るような光景でした。
アクリル板があって、とてもシンプルな部屋でした。
彼女の姿は今でも目に焼きついています。
彼女の姿を見た瞬間、今までこらえていた感情があふれだしてしまい、大泣きしてしまいました。
しばらくして彼女から届いた手紙にもその日のことが書かれていて、接見禁止がとれて私はすぐに会いに行ったので、まさかすぐに会いにきてくれるとは彼女は想像していなかったようでした。
アクリル板越しに話をしましたが、30分はとても短い時間です。

妹は、彼氏のビジネスを手伝うとのことで、海外を往復していたのですが、今回帰国の際、大麻所持の現行犯として逮捕されました。
現地で「これを預かっていてほしい」と言われ、缶を持って帰国したようです。大麻の量は、かなりあったみたいです。(THC注:営利目的の大麻6kg密輸入で起訴)

妹は取り調べが終わり、起訴されました。起訴状には氏名不詳者らと共謀のうえ、営利の目的で・・・と書かれていました。

初めて接見した時も、妹は今回こんなことになってしまって申し訳ないと言って、自分の心配より、家族の心配をしていて、自分の今置かれている状況を受け止めていました。
妹は自分の意見をきちんと言うことができる人間だし、故意に大麻を持ち込んだわけではないのです。弁護士に供述調書も見せてもらいましたが、取り調べでもそのように話しています。だから、逮捕されたとき、一番驚いたのは彼女自身だと思います。
妹は巻き込まれてしまって、被害者は妹です。
どんな思いで留置所にいるのかと思うと、涙ばかりが出てきます。

弁護士も頼み、初公判は10月初旬です。しかし、妹には不利なことばかりです。
彼女が中身を知っていたらそんなの持ってくるわけないじゃん!!!と声を大にして言います!
何も知らないで持ってきてしまったのに、それで実刑になって何年も出てこれないなんておかしい。
彼女のように「運び屋」にされてしまった人間がこの世の中にどれだけいるのでしょう。
彼女たちは何も悪くないのに、自由を奪われて拘束されるなんて・・・
私達家族は本当に無力です。弁護士を雇うことしかできません。
事件のことは刑事と弁護士に聞くしかないわけですが、担当の刑事さんに電話したところ、ものすごい剣幕で怒られたのです。土日が休みということで断わりをいれた上で、「今、お話をしても大丈夫でしょうか」とお伺いしたにもかかわらず、口論になり、

「あんた事件に関係ないでしょ!」

と言われ、私も感情的になってしまい、

「彼女は私の妹です!私が彼女を守らないで、誰が彼女のことを守るのですか!」

と言ってしまいました。最後には、

「今、家族と買い物に来ていて、あなたが少しだけというから話したのに」

という始末です。刑事さんも家族が大事なように、私も妹は大切な妹であり、家族なのです。大切な妹の将来を守ってあげられるのは、私達家族しかいないのです。

妹のケースは妹の彼氏が事件の鍵を握っているわけで、そのことを深く追求し、物事を見極め、本当の犯人を捕まえるのが警察の仕事のはず・・・なのですが、事件のことは何も言えないの一点張りで、(何も話さないのは当たり前ですが)海外にいる彼氏のことを本当に調べているのでしょうか?

「彼氏にかかわらないで下さい。今度はあなたが巻き込まれて事件になると私が上司に怒られますから・・・」

と言われて以来、その人とは話していません。
家宅捜索の時からこの刑事さんはこういう態度でした。私の家庭事情は複雑で、本人も希望していることもあり、今回のことは両親に知らせないで欲しいと言いました。しかし、

「今はこういう時代だから、後でご両親に知れて、怒鳴りこまれても困るし、私も家族がいる身で、子供もあなた達と同じくらいでさぁ」

と言うのです。
結局、刑事という肩書きを持っているだけで、市民のために仕事をしてくれないのです。本当に我が身がかわいく、自分のことしか考えていないのです。

刑事さん達の日常では、大麻取締法で逮捕される人間を扱うことは当たり前のことかもしれません。妹のこともたくさんいる人間の一人にしかすぎず、事務的に事件を処理しているのかもしれませんが、もっと真剣に物事の本質を見極めて下さい。

法に守られているように錯覚しているだけで、何も守られていないと深く思いました。

今の私には、妹が大麻を大量に所持していた、逮捕されて拘留されているという現実があるだけです。
どうしたらいいか本当に分からず、妹を一刻も早く救いたい気持ちしかなく、彼女を助けられるなら、どんなことでもしたい。

もう少しで裁判が始まり、彼女の人生が他人に決められようとしています。
彼女のためにどんなことをしてでも、私は彼女を守りたい。

さゆりさん(仮名)の妹は、営利目的の大麻6kgを密輸入しようとした疑いで成田で逮捕され、起訴された。そして今、初公判を目前に控えている。
さゆりさんによれば、妹は大麻など吸ったこともないし、関わったこともなく、純粋に彼氏の貿易の仕事を手伝っていただけで、もし大麻だと知っていたら持ち帰るはずがない。
妹は、取り調べでも、彼に頼まれたので自分は何も知らなかったと供述しているそうだ。
妹に荷物を預けて自分は帰国しなかった彼氏に騙され、運び屋をやらされてしまった可能性が極めて高い。その後も彼氏は日本に戻っていない。
だが、妹は氏名不詳者と共謀のうえ、大麻6kgを営利の目的で密輸入しようとしたとして起訴された。
起訴されてからさゆりさんが依頼した弁護士は、実刑判決の可能性が高いと言っているそうだ。

こんなことがあっていいのだろうか。
継続してレポートする。






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