亜細亜「産業大麻先駆者」交流会に参加して

投稿日時 2009-12-27 | カテゴリ: 資料

11月18日(木)から21日(土)の間、中国北京市で開催された「アジア産業大麻パイオニア交流会」に参加した方の報告と、黒竜江新聞に掲載された記事の訳文、国際産業大麻振興財団理事長・総裁でNPO法人アジア環境保全センター会長の郭大植氏による、中国の大麻産業の現状についての論文を3回に分けて公開します。日本の大麻を巡る状況が、ドラッグとは無関係の産業分野でもいかに立ち遅れてしまっているかを痛感するのと同時に、郭氏が言うように『産業大麻は21世紀に入って人類に最も愛され親しまれる作物として生まれ変わり、多くの人々に夢と希望を与える平和産業として定着し、ますます発展することを確信』できる内容です。





亜細亜「産業大麻先駆者」交流会に参加して
(アジア産業大麻パイオニア交流会報告)


2009年11月18日、初冬の北京国際空港に降り立った。NPO法人アジア環境保全センター創立10周年を記念して11月19日-20日にかけて、北京のコンベンションホテル会議場で行なわれる「亜細亜産業大麻先駆者交流会」に参加するためである。
今回の交流会は1部発表会、2部歓迎レセップション、3部は参観で構成され日本、韓国、ロシア、中国より70余名が参加して行なわれた。ハイライトは、何と言っても「中国軍用漢麻研究センター」からの主題発表と、2日目の研究センターの参観である。中国では大麻の事を漢麻と呼んでいる。中国政府の支援の下で解放軍総後勤部の戦略的な研究機関として「軍用漢麻材料研究センター」は6年前に設立された組織である。大麻を素材にした軍事用品(軍服・防弾用品・運搬用ケースなど)の開発・研究を行っている他、主な研究開発は中国において産業大麻の紡績を始め産業面においても実用化させることを目的としている。

第1日目(11月19日)
交流会の主管団体である北京産業大麻研究会の鄭 成吉会長の力強い開会挨拶に続き、主催者であるNPO法人アジア環境保全センターの郭 大植会長の主催者挨拶が行なわれた。郭会長は挨拶の中で産業大麻の現状と意義を強調しアジアの産業大麻の発展のため共同の努力を参加者に呼びかけた。来賓の挨拶では中国の著名な社会活動家であり、詩人である世界文化交流協会中国本部の金哲総裁、世界環境基金会の副主席で中国国際交流会の李賢徳副会長、韓国江原道東海市の未来企画団 鄭東永団長、中国唐山市国際貿易促進会の孫博華代表らによる祝辞が行なわれた。

引き続き発表会では基調講演として軍用漢麻材料研究センターのハオ新敏博士による研究発表が行なわれた。ハオ博士はまだ40代の現役大佐で発表の際は制服の軍服姿で行い、会場ではひと際目立っていた。ハオ博士の研究は、これまで伺った産業大麻に関する話の中では具体性があり、大麻の性質についてもかなり詳細に語られた。

続いて、韓国代表の韓中大学の周東植博士よる発表。韓中大学のある江原道東海市は、世界的な産業大麻の都市化を目指しているが近年韓国では産業大麻の研究や産業化の方針が政府的レベルに取り上げられ、韓中大学産業協力団はその期待も背負って数ヶ年計画で産業の実用化に向けて熱心に取り組んでいる大学である。日本からは、料理研究家の東 理恵さんが、ヘンプ・ナッツの栄養面を中心に発表した。2009年秋に入って、北京市の西南地域においてでヘンプ・ダックが飼育されており、来年からは北京の名物であるペキン・ダッグが更に進化したペキンヘンプ・ダッグとして我々の食卓に現れるようになった。休憩を挟んで、引き続き中国ヤンガーグループ海外主任の王さんによる大麻紡績の発表、韓国ヘンプリ・コリアの李さんによるヘンプ化粧品の説明などがあった。また、韓中産業協力団と中国の三つの団体、企業との業務提携に関する協定式も会場で執り行なわれた。

19日の午後のレセプションは「レストラン海棠花」のメインルームで行なわれた。歌と踊りのアンサンブルの朝鮮歌舞団の公演は素晴らしい。何よりも驚いたのは数十名の人が一つの円卓を囲んで繰り広げられる華麗な宴であった。参加者一同和気あいあいと充分に堪能出来た見事な歓迎パーティであった。

第2日目(11月20日)
午前中はヘンプ・ダッグの飼育場を参観した後、夕刻、軍用漢麻材料研究センターを参観する(このセンターは軍の施設のため外国人の参観は制限されている)。この日は、当センターの副所長であり、数々の研究論文の著者である張 建張少将より特別講演をして頂いた。(彼は中国の大麻研究の第1人者でありその功績により「科学技術のゴールドスター賞」を受賞している現役の将軍である。当日は制服の将軍服姿で我々を歓待してくれた)研究資料を前にして、およそ1時間20分に渡り、中国語で説明して頂いた。その内容は、通訳を担当していた人が、途中で聞き入ってしまい思わず仕事を忘れてしまうほど(笑)と言えばわかって頂けるであろうか…。中国語が分れば良いが残念であった。しかし、大麻の靱皮の剥ぎ方による強度の違いなど、研究内容の細やかさに感心すると共に、大麻をパウダー状にしたもの(味はありませんでした)など、今までの考えよりも、もっと大きな可能性があるかも知れないと思わせられた。

張副所長の説明で後になって分った事だが,現在の中国国内での大麻の栽培面積は役40万ムー(1ムーは666㎡=200坪)で主に雲南省を中心に栽培を行なっており、2020年までには1,000万ムー(20億坪)まで拡張する目標を持っている。主な耕作地として雲南省300万ムー黒龍江省が100万ムー安徽省は80万ムーなどで具体的な目標数値を出している。政策的には12万ムーを1単位として栽培、収穫、加工、販売を行ない約1億元(約14億円)の利益を想定している。また、面白い事に中国では大麻の名称が各地方によって呼び名が異なっている。寒麻、雲麻、魁麻、火麻などと呼ばれており、標準的名称としては漢麻を使っている。また、雲南省のもので高いのは7メトル、黒龍江省のものでは4メトルのもあり、日本や韓国のものが2~3メトルである事を考えると如何に大きいか想像が出来る。

私が受けた印象として現在の中国では産業用として大麻利用は紡績に力を入れており、主な納入先は人民解放軍である。寧波市にあるヤンガー国際グループは従業員56,000人で大麻の紡績工場としてはおそらく世界1の規模であろう。また、雲南省のシーサンバンナには多目的の大麻工場を設立し2006年には胡錦濤主席が現地訪問している。中国は正に国を挙げて大麻産業に取り組んでいる。隣国の韓国も大麻管理法がありマリファナとしての取締りは厳しいものの産業大麻に関しては政府機関である知識経済部が調査研究費として3億7千万ウォンの支援を行なっており、また新成長動力事業として江原道が1億、東海市が2億、韓中大学が2億、企業が5,000万ウォン、総計5億5千万ウォン(約4,000万円)を集めて産学協力団を構成して取り組んでいる。これらの隣国の状況を考えるとわが日本国の産業大麻に関する政策は実に寒々しい限りである。

私は環境問題から大麻と出会いすでに10余年になるが今回の中国の軍用漢麻材料研究センターを参観してこれまでの大麻観がすっかり変わったと言えるほど新鮮で衝撃的であった。第1、今まで主観的で、観念的であった産業大麻に対する展望が今回の交流会と参観を通してより明確になった。第2は産業大麻の企業化はもはや必需であるという確信であった。正に産業大麻は人類の未来を豊にし、環境保全の要であることを一層確信したのである。張副所長からは、著書を含め大麻関連の本3冊を記念品として贈呈して頂いた。参加者全員に行き渡り中には張将軍直筆のサインを頂くなど大喜びであった。

中国の産業大麻の研究と発展は凄まじく、他を圧倒する中国人パワーは今回の参加者にもあり、交流会を機に産業大麻を学んだ参加者の中にはすでに企業化に取り組みたいと申し出る性急な人も複数あった。中国の巨大な土地で法的制限をそれほど受けることなく栽培される大麻が、中国の市場は勿論、世界に進出していくことは間違いありません。日本で足踏みしている間に、中国の産業大麻の巨大なパワーは世界市場を席巻していく事でしょう。今こそ、アジアの産業大麻の先駆者達が、共に手を携え広い大地を舞台に青空に向って舞い上がる時ではないでしょうか?今回の産業大麻先駆者交流会は、大麻の産業化が私達の考えを遥かに越えて大きく羽ばたいていくことを実感した楽しく有意義な歴史的な交流会でした。 

NPO法人アジア環境保全センター会員 大須賀恵美 2009/11/30





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