中国の産業大麻は現代の万里の長城を築いている

投稿日時 2009-12-27 | カテゴリ: 資料

国際産業大麻振興財団理事長・総裁で、NPO法人アジア環境保全センター会長の郭大植氏による、中国の大麻産業の現状についての論文です。




「中国の産業大麻は現代の万里の長城を築いている」

始めに
21世紀、人類最大の課題の一つである環境の保全と持続的産業の発展のため各国の人々は様々な努力を傾けている。そのような流れの中で環境に優しく持続的産業の振興に役立つ作物として産業大麻が注目を浴びている。現在の日本や韓国では「大麻=マリファナ=麻薬=危ない植物」という認識が一般化されている。それは、大麻の花穂や葉にTHC(テトラヒドロカンナビノール)という化合物が含まれその成分が向精神作用をもたらすからである。産業用大麻とは、このTHCの成分が殆どない種類で、向精神作用の効果のない品種の事である。産業用大麻にはTHCの代わりにCBD(カンナビジオール)という成分が多く含まれている。そのため、タバコのようにして吸い込んでも雲に乗っているような「フワーット」した気分にはならない。
現在の世界的な趨勢として産業用大麻として栽培が認可されているのは、THCの成分が0,3%未満に固定された品種になっている。

近年、先進国サミットや国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)での主なテーマは異常気象の問題や温室効果ガスの削減の問題である。そればかりか地球環境を取り巻く温暖化・オゾン層の破壊、砂漠化、生物多様化の危機、黄砂、海洋汚染、酸性雨、水不足などの問題も山積している。これらの全地球的危機状態の解決のためにはもはやある一国の個別的な課題ではなく国境を越えた全世界的な問題として取り組むことを求められている。主な原因とされるCO2の削減問題への取り組みは各国の民間レベルから地域や国家レベルでの相互協力が必要である。今年12月の始めから2週間にわたってデンマークのコペンハーゲンで行なわれたCOP15での温室効果ガスの排出量を早期に減少に転じる案は2大排出国である米国と中国の攻防の末、異例のトップ交渉で合意に到った。いよいよCO2減少への国際的な取り組みは整い始めた。

フランス、イタリア、ドイツなどヨーロッパ諸国で進めているCO2削減のための対策として取り上げているのは森林栽培であるが、とりわけ、1年生草木で成長力が強い産業大麻への取り組みである。では、大麻はどのような特性を持っているのか?これまで長年の調査と研究によれば

1、環境負担が少なく、栽培管理がし易い作物である。
(1)綿花や他の作物に比べて農薬や化学肥料を大量に必要としない。
(2)成育期間が短い(約100日で2~5m)
(3)土壌改良の効果があり成長過程においてCO2を吸収する。
(4)荒れて痩せた土地でも栽培が可能である。

2、産業文化的側面から見て利用価値が高く競争力の強い作物である。
(1)世界的範囲において気候や気温に関係なく栽培が可能である。
(2)長期間が短いため他の材木に比べ競争力がある。
(3)大麻の表皮の部分(繊維構造)には抗菌性がある。
(4)製紙-オガラのパルプで新聞紙、ダンボール、などの生産が可能である。
(5)天然繊維、レーヨン-木材パルプに代わり、靭皮を使って生産できる。
(6)建材-用途に合ったパルプの開発によりオガラボードや各種の建材の開発。
(7)燃料-オガラの炭、大麻油を活用した石油に替わる代替エネルギーとして。
(8)大麻プラスチック-土に戻せる環境プラスチックの生産。
(9)自動車内素材-靭皮を使ってガラス繊維に代る素材の生産。
(10)食品-大麻の種子はバランスの取れた優良健康食品である。
(11)大麻油-食用、工業用などで活用。
(12)化粧品-肌用、ヘア用など各種の化粧品の生産。
(13)医療用-大麻の成分を利用した鎮痛剤を始め各種の医療材の開発。
(14)伝統文化-我々アジア人には数千年の大麻と共に生活した歴史を持っており大麻に関するアジア共通の伝説、地名、名前などがある。

単一作物としてこれだけの優れた特性を持つという事はまさに驚きであり,人間が自然から頂く最高の頂きものと言える。

※中国の産業大麻の現況
中国は大麻の栽培面積、生産量において世界1である。少し古いデータであるが1998年に発表されたFAO(国際食糧農業機関〕によると全世界の大麻繊維の生産高は約7万トンでその内、中国の生産高は27,000トン、全世界の生産高の約半分程である。最近、中国では大麻のことを統一的に漢麻と呼んでいるが、各地方によって呼び名も様々である。例えば、雲南省では雲麻、河南省では魁麻、安徽省では火麻、黒龍江省では寒麻などである。広い中国であるが栽培地域も広範囲に渡っている。主な生産地としては、雲南省、四川省、甘粛省、安徽省、吉林省、黒龍江省などである。
中国では日本の大麻取締法や韓国の大麻管理法のような大麻を規制する法律は無くとくに産業用大麻については国家的支援の下で大々的な栽培を行なっている。
元来、アジアには大麻をマリファナとして吸引する習慣はなく、身近な生活の一部として存在していたが規制が加わったのは第2次大戦以降、アメリカの石油資本と国家戦略との利害の一致によるものといわれている。よく観察すれば、アメリカの支配や干渉を受けている国では大麻=麻薬=危険な植物の図式が出来上がって厳しい規制をうけているがルーマニア、ハンガリーなど大麻産業が盛んなかつての旧社会主義圏、中国、北朝鮮など自主的な路線を歩む国々では国家的な政策として大麻産業が行なわれているのが特徴である。

産業大麻を注目した中国
大麻産業の長い歴史を持つ中国は21世紀に入って間もない2003年から政府の強力な支援の下で本格的で一貫した産業大麻の研究と開発に取り組んでいる。3年間の準備期間を経て2006年3月18日に設立したのが「軍用漢麻材料研究センター」である。設立趣旨は「大麻の総合的利用のため加工技術及び応用研究に重点をおいて大麻の靭皮、オガラ、種子、花、葉、根の総合的研究を行い、大麻の産業化、新型の大麻の材料及び関連製品の事業を推進する」。同時に、中国解放軍の後勤部の技術の保障の下で資源の綜合利用と国民経済の建設に邁進すると謳っている。

中国の産業大麻をリードする張建春将軍
現在、同研究センターの責任者は張建春である。彼は1958年、山西省の出身で中国解放軍の専門技術少将の階級を持つ将軍である。現在、解放軍3天王である総政治部、総参謀部と総後勤部の中で総後勤部の軍需装備研究所の副所長兼最高技術者、また、軍用漢麻材料研究センターの主任を勤めている。四川大学、北京化工大学及び東華大学の博士課程の教授を務めており、高分子材料と特殊防護服装の研究・開発の第1人者である。
その功績により彼は総後勤部より科学技術分野の最高金星の称号を受賞、他にも政府や軍機関より数多く受賞されている。同センターは張主任の他、約20名の研究者が日夜大麻の研究・開発に従事しておりこれまですでに10項目が政府検定に合格し、張主任を先頭に発明特許18本、出版著作3本、発表論文は約100編に上る。これらの成果に基づいて軍の装備を改良し、一部は生活用品として市場にも進出している。

官・軍・学・民一体で大麻産業化が進む
近年、中国の産業大麻は目覚しい発展を続けているがその中でも山東省のある製紙工場では大麻のオガラと靭皮を利用したパルプの生産に取り組んでおり現在日本のある大手繊維会社と韓国の関連機関との合作が進められている。
え また、雲南省のシサンバンナの工業団地には資本金2億5千万元(約35億円)を投資して大麻の栽培から生産、加工、研究、開発、運輸などに到るまで一貫した業務を行なわれる企業が創立された。同社は年産5,000トン規模の大麻繊維を生産・加工を目指しており第1期生産規模としては大麻繊維2,000トンである。同公司は解放軍総後勤部軍需装備研究所と軍用漢麻材料研究センターの全面的な支援の下で同研究機関の研究成果を用いており、独自で開発した生産設備を利用して大々的な生産と市場開拓に乗り出している。また、寧波市にあるヤンガーグループは大麻紡績加工会社で従業員56,000人を擁しており軍用漢麻材料研究センターとの技術提携の下で生産された大麻紡績品は解放軍に納品し一部は市場に出荷している。

中国政府と軍の指導者は大麻(漢麻)の綜合利用のための研究事業を重視しており、胡錦濤国家主席は2006年5月、回良玉副総理は2007年1月、それぞれ大麻産業建設基地を訪ね大麻産業の現場を視察している。2020年までの目標は全国の栽培地を1,000万ムー(1ム-は666㎡=200坪、従って20億坪)と決めており農民の新規雇用を数百万創出の予定である。主な産地は雲南省(300万ム-)黒龍江省(100万ム-)安徽省(100万ムー)その他、四川省、山西省、内蒙古、甘粛省など広範な地域が含まれている。

開放・改革政策が定着している中、民間人の社会参与度もますます高まり活発化している。2008年9月には北京産業大麻研究会(会長、鄭成吉)が結成され同年11月、韓国の江原道東海市の韓中大学で行なわれた第2回アジア大麻産業国際会議(日本NPO法人アジア環境保全センター主催)に5名が参加した。同研究会は30余命の会員を中心に産業大麻の実用化を目指しており、軍用漢麻材料研究センターを始め韓国の産業大麻産学協力団や日本の関連団体とも連携し活発な活動を行っている、今年の9月からはアヒル(ダッグ)養殖場と連携しヘンプ・ナッツ入りの飼料を用いたヘンプ・ダッグを完成している。今、北京の一部では「ペキンヘンプ・ダッグ」と命名され味も良く栄養価も優れたヘルシな食品として高い評判を得ている。北京ヘンプ・ダッグの企業化はグルメな人には新たな朗報になるであろう。

北京産業大麻研究会は今年の11月北京で行なわれた「アジア産業大麻パイオニア交流会」(主催:NPO法人アジア環境保全センター)を主管し民間団体として初めて外国の団体との国際的な会合の合作に成功を収めている。中国の南部地域である広西省の巴馬県は世界5大長寿村の一つであるがイギリスの研究チームの長年の研究によれば、この村の長寿の原因の一つに大麻の種子を用いた食習慣が取り上げている。最近同地では大麻油を始め大麻食品が産業化し日常的に訪れる観光客も年々増えている。

中国朝鮮族の著名な企業家である李成一は近年大麻産業に目覚め、広州での化粧品事業を初めこれまでの事業体を整理して、その資産10億余元(約140億円)を大麻産業に投入し始めている。吉林省白城市出身の彼は白城市人民政府の全面的な支援と合作の下ですでに50万ムーの土地を確保して産業大麻の綜合基地の建設を進めている。 これまであまり知られてなかった中国の産業大麻の巨大な全貌が徐々にではあるがその姿を現している。大麻とは親環境的で持続可能な産業であり、特に我々アジアの人々には長い歴史と文化の中で使い親しまれて来た優れた特性を持つ類まれな作物である。

産業大麻は21世紀に入って人類に最も愛され親しまれる作物として生まれ変わり、多くの人々に夢と希望を与える平和産業として定着し、ますます発展することを確信している。

2009年12月16日
郭 大植
NPO法人アジア環境保全センター会長
国際産業大麻振興財団理事長・総裁





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