アメリカ連邦政府発表、刑事裁判の結果としての大麻「依存治療」入院例が増加

投稿日時 2010-06-09 | カテゴリ: NORML News

アメリカ連邦政府発表、刑事裁判の結果としての大麻「依存治療」入院例が増加
2010年5月27日 - アメリカ合衆国メリーランド州ロックビル

メリーランド州ロックビル: アメリカ保健社会福祉省、薬物濫用・精神衛生管理庁(略称 SAMHSA)による最新の報告によると、大麻についての薬物治療プログラムのために入院する者は、10人中およそ6人が刑事司法制度によって委託されている。

2008年には大麻が「濫用している主要な薬物」であるとして治療プログラムに送られた者は、その57パーセントが刑事司法制度により委託されていた。青年についてはその半数(48パーセント)が刑事司法制度を通して委託されていた。
対照的に、2008年に薬物治療プログラムのために入院したケースのうち、刑事裁判での指示によるものは全体の 37 パーセントに過ぎなかった。

「自ら治療を受けた者の中では、大麻を主要な依存薬物としての入院件数はその他の薬物の場合よりも少なかった」と報告書では述べられている。具体的には、大麻依存の治療のため自ら入院したケース(これには友人や家族の勧めによるものも含む)は、大麻依存治療例の全体の15パーセントでしかなかった。
この割合はアルコールやコカインの依存症のため自ら治療を受ける場合の半数以下であり、ヘロイン依存の治療の場合(56パーセント)と比べれば凡そ1/4 の割合である。

この報告によれば、大麻依存治療プログラムにより治療を受けた人数の割合は1998 年以来およそ 25パーセント増加しており、この増加分は刑事司法制度により要請された割合の増加に比例している。以前連邦政府が行った調査では、刑事司法制度によらない大麻依存治療の割合は1990年代の半ばから減少していた。

今回の報告について NORML副事務局長ポール・アルメンターノは次のように述べた。
「このような入院治療の比率の上昇は、大麻の使用そのものが原因となっているのではない事が統計から明らかにされている。大麻の禁止こそがその主な原因だ。治療を受けた人々の殆どは、「依存」という言葉の本当の意味においては全く「依存」していない。むしろ彼らは不幸にも大麻のために逮捕され、リハビリ治療か牢獄かのどちらかを選ぶように強制された、普通のアメリカ人である。」

2009年に SAMHSAが作成した統計によれば、2007 年に大麻依存治療を受けた約28万 8千人のうち、およそ37パーセントの者は入院前30日間に大麻を一度も使用していなかった。16パーセントの者は同期間に3回かそれ以下の回数だけ大麻を使用していた。

より詳しい情報については、NORML副事務局長ポール・アルメンターノ(paul@norml.org) にお問い合わせ下さい。調査報告の全文は "Treatment Episode Data Set (TEDS) 1998-2008: National Admissions to Substance Abuse Treatment Services(治療例データ 1998-2008: アメリカ薬物依存治療サービスでの入院治療)" として以下の URL に掲載されています:

http://wwwdasis.samhsa.gov/teds08/teds2k8natweb.pdf

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Source: NORML NEWS

May 12th, 2010 By: Paul Armentano, NORML Deputy Director

翻訳とコメント by PHO
本来は病気でないものを病気だと言い張って「治療」の対象にする事は、近代国家が特定の集団を(控え目に言えば)冷遇する際に用いられる一つの類型となっているようで、これは国際的な人権意識の高まりから生じてきたものと思われる。ここから次の段階に進めば逮捕、投獄があり、その次には処刑がある。

例えば西洋社会では19世紀頃から同性愛は「病理」であり「治療」の対象とされた(http://d.hatena.ne.jp/annojo/20051003/p1)。カリフォルニアにおいてもつい最近まで同性愛の「治療法」に対して助成金が出されており(http://geiro.org/2010/04/30/calinotsupport/)、去年八月にはアメリカ心理学会が警告を発している

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2629318/4441495)。一方ウガンダでは反同性愛法なる法案が審議されており、当初は同性愛行為に対し死刑や終身刑を以って罰する事が提案されていた
http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20091211/p3)。イスラム国家においては特に厳しい弾圧の対象であって、五年前にはイランで同性愛の少年二人が絞首刑を受けている(http://gayjapannews.com/news/news161.htm)。

これほど明らさまな弾圧でなくても、例えば我が国では AD/HD(注意欠陥/多動性障害)やアスペルガー症候群などの発達障害が病気と見做され治療の対象とされているが、これらが本当に治療されるべき病気なのか、それとも平均的で健全な人間像から逸脱しているために病気のレッテルを貼られているだけなのかという点については議論の余地がある。なにも私は「白内障は個人の個性であって、白内障患者のレッテルを貼る事で少数派を弾圧しているのだ」などと言うつもりはない。白内障は言うまでもなく眼の病気だ。しかし、人格障害の治療、発達障害の治療、依存症の治療などと言われた時には、それが本当に病気として扱われるべきなのかどうかに注意する必要がある。





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