大麻の喫煙が自動車の運転に及ぼす影響は殆ど無いとの研究結果
2010年5月27日 - アメリカ合衆国コネティカット州ハートフォード
コネティカット州ハートフォード: 三月に "Journal of Psychoactive Drugs(向精神薬ジャーナル)" にて発表された臨床試験データによれば、自動車運転シミュレータを用いた一連の試験に先立って大麻を喫煙した被験者らは、その直後に喫煙した場合と事実上同等な精神運動機能を示した(訳注: 行動速度や反応時間などに関する機能のこと)。
コネティカット州ハートフォード病院およびアイオワ州カーバー大学医学部の研究者らは、85名のボランティアを対象に自動車運転シミュレーションに関する二重盲検プラセボ対照試験を行った。この試験では被験者らが自動車事故リスクに関する様々な事象に対して反応する様子が評価された。例えば交差点へ不正に侵入してきた車を避けたり、信号の変わり目で停止すべきか進行すべきかを判断したり、緊急車両の存在に反応したり、車道に入ってきた犬を避けたり、助手席に座る者の声に注意を逸らされる事なく安全運転を維持する事などである。被験者らはこれらのテストをまず大麻を摂取せずに受けた後、紙巻き大麻を一本喫煙し、30分経過してから再びテストを受けた。その紙巻き大麻には2.9%のTHC が含まれていたか、もしくは(プラセボとして)THCが全く含まれていなかった。
研究者らの報告によれば、ボランティアらは大麻を喫煙した場合、そして喫煙しなかった場合やプラセボの煙草を喫煙した場合とで、事実上同等な成績を示した。「基本的運転テストおよび衝突回避シナリオについて、(大麻の喫煙の有無では)結果に違いが表れなかった」と彼らは報告した。
「実際に大麻を喫煙した被験者らは、運転中に気を散らされた場合についてのテストの際、プラセボの煙草を受け取った者よりもより速度を落として運転した。」研究者らはこのように指摘しており、そして被験者らがこの問題に対応するために速度を落とした事は、彼らが(気を散らせる助手という)障害に気付いて対処しようとしていた事を意味するのではないかとの仮説を立てている。
2008 年にジャーナル "Accident, Analysis and Prevention (事故、原因調査および防止)" にて発表された自動車運転シミュレータの試験結果では、大麻の投与を受けた被験者らは概して運転速度を落とす傾向にあった事が示されている。この記事で著者は「運転の平均速度はTHCとアルコールに共通して最も影響を受け易い点であったが、その影響の方向は全く逆であった」と述べている。
「THCの入った煙草を喫煙した運転者は、その用量に応じて運転速度を落とす傾向にあった。その一方でアルコールを飲用した者は対照的に著しく速い速度で運転した。」
大麻の影響下にある運転者の自動車事故リスクについて過去に行われた調査では、大麻の影響(典型的には運転者の血中THC濃度によって測られる)と自動車事故リスクの関係は、その使用量に応じて正の相関を持っていたと報告されている。しかしながらそれらの調査においても、大麻のために上昇したとされる事故リスクは、違法運転とならない量のアルコールを摂取した場合のリスクよりも一貫して低い水準にある事が示されている。一方、大麻とアルコールを同時に摂取した場合はいずれか一方のみを摂取した場合よりも事故リスクが高かった事を示す調査結果も存在する。
精神運動機能に対する大麻の影響について NORMLが発行している白書、"Cannabis and Driving: A Scientific and Rational Review (大麻と自動車運転: 科学的および論理的な調査)" はhttp://norml.org/index.cfm?Group_ID=7459にて公開されている。
より詳しい情報については、NORML 副事務局長ポール・アルメンターノpaul@norml.orgにお問い合わせ下さい。調査報告の全文は "Sex differences in the effects of marijuana on simulated driving performance (自動車運転シミュレーションにおいての大麻の影響に見られる性差)" の表題で "Journal of Psychoactive Drugs" に掲載されます。
Source: NORML NEWS
Marijuana Smoking Associated With Minimal Changes In Driving Performance, Study Finds
May 27, 2010 - Hartford, CT, USA
翻訳 by PHO
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