ランド機関のレポートに関するメディアの報道が「リーファーマッドネス」を鼓舞している
ポール アルメンターノ(Paul Armentano)
[出典:Ventura County Star(訳注:新聞)]
2010年8月7日 カリフォルニア州
メディアで取り上げられた、ランド機関(訳注:シンクタンク)によるカリフォルニア州における大麻の規制管理についての最近のレポートの内容は以下のようなものだった:「大麻合法化により大麻の価格が下落し、大麻消費の増大を招く。」実際のランド機関による結論は、もっとニュースバリューのないようなものであったが。
ランド機関の調査を精読してみると、大麻の合法化により大麻の小売価格と消費量がどれほど大きく変動するのか、著者らもはっきりとわかっていない。11月に住民投票に掛けられる大麻に関する発議である、条例案19号の可決により生じる最も可能性の高い答えは、「それほど大きく変動しない」である。
条例案19号により何が変わるのか明確にしておこう。まず即時的な影響は、客観的に見て使用者と社会の両方に対してアルコールよりも害の少ない薬物の個人使用により、カリフォルニア州の成人を逮捕し訴追するという慣行が終わることだ。
このことにより、裁判所の負担が減り、何百万ドルもの税金を節約でき、法執行機関がもっと重大な犯罪に焦点を合わせてリソースをつぎ込めるようになる。
条例案19号の長期的な影響は、大麻の商業栽培と流通を犯罪組織の手から認可を受けた管理下の企業家たちの手へと移すための政策を模索する機会を地域社会に与えることだろう。
このことにより、新たな雇用と歳入が生まれる。もしアルコールに害がなければ、社会として課税したり規制したりはしない。課税や規制がなされているのは、酒は一時的に気分や行動を変化させ、そのためにそれ相応の規制を受けるべきだということを社会が認めているからだ。
この同じ原理を大麻にも適用しない理由はない。理にかなった規制と年齢制限を伴った合法化は、未成年の大麻へのアクセスを制限し、公衆安全を向上させるだろう。
ランド機関が予測したように、大麻の生産と販売の合法的なマーケットの到来により、小売価格は下落するだろうか。答えはイエスだが、それほど大きなものではなさそうだ。結局のところ、カリフォルニア州において大麻は十年以上にわたり医療用途で合法的に販売されてきたが、この合法性によっても小売価格は多少下落した程度だった。
加えて、条例案19号が可決された後でも、生産者と販売者は連邦政府による訴追の危険にはさらされることになる。当面はこの「リスク代」が大麻の市場価格を人為的に上げ続けることになるだろう。
そして、消費税や売上税、保険や従業員福利厚生などの小規模ビジネスの企業責任にかかわる追加の諸経費など、合法化に伴い付加的なコストが生じる。このことも大麻価格を高く維持する要因となるだろう。
ランド機関による大麻消費の急増に対する懸念も、うわべだけのものに思われる。現在、事実上すでに、カリフォルニア州で大麻を入手したり使用したい人は、誰でもそれができる状況にある。そして、現在大麻を使用しない成人が、大麻の禁止に関わる制限条項のいくつかが解除されたり大麻価格が変動したからというだけの理由で、大麻を使用するようになるとはとても思えない。
しかも結局のところ、アルコールとは異なり、大麻には致死的な過剰摂取を引き起こす効力はなく、健康な細胞や臓器に対して相対的に毒性がなく、大麻使用は一般的に暴力的、攻撃的あるいは無鉄砲な行動に結びつかない、ということに留意すべきだ。それならば、どうして成人が大麻を人目のない自宅で使用することを、そんなに憂慮しなければならないのだろうか?
しかし何よりも、ランド機関の推測に関するあら探しで大局を見失ってはいけない。カリフォルニア州議会は、連邦政府が禁止法を制定する24年も前の1913年に大麻の所持と使用を犯罪化した。
しかし連邦政府の報告によれば、現在カリフォルニア州では、年間で約10人に1人の人達が合計で120万ポンド(訳注:約540トン)もの大麻を消費するのだ。自明のとおり、大麻はすっかり定着している。
この現実に目を向け、このマーケットを規制や課税を受けていない犯罪組織の手に委ねるのを止め、認可を受けた企業の手に譲り渡そう。条例案19号はその第一歩となる。
Source: NORML NEWS
MEDIA'S COVERAGE OF REPORT SPURS 'REEFER MADNESS'
by Paul Armentano, (Source:Ventura County Star)
07 Aug 2010
翻訳 by とら
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