カリフォルニア州大麻合法化住民投票(Prop19)ガイド

投稿日時 2010-11-03 | カテゴリ: 海外情報

現地時間11月2日投票のカリフォルニア州大麻合法化住民投票について、州務長官名で発行された公式投票ガイドから要点と法案全文を引用します。

この文書は「カリフォルニア州総選挙公式投票者ガイド(California Statewide General Election Official Voter Information Guide)」のサイトから日本語版PDFをダウンロードできます。


住民投票事項19
連邦法ではなくカリフォルニア州法においてマリファナを合法化する。地方自治体に商業的な製造・流通・販売に対する規制および課税を許可する。州民発案による法令。
正式な表題と概要 司法長官により作成

連邦法ではなくカリフォルニア州法においてマリファナを合法化する。地方自治体に商業的な製造・流通・販売に対する規制および課税を許可する。州民発案による法令。

  • 21歳以上の者に私用マリファナの所持・栽培・運搬を許可する。
  • 地方自治体に商業的な製造・流通・21歳以上の者へのマリファナ販売に対する規制および課税を許可する。
  • 学校敷地内でのマリファナ所持、公共の場での使用、または未成年者のいる場所でのマリファナ吸引を禁止する。
  • 運転能力低下状態での車両運転の禁止を継続する。
  • 雇用主がマリファナ使用について対処できる権限を、職務遂行能力が実際に低下している状況のみに限定する。
  • 州議会アナリストによる州および地方自治体の財政への基本的な影響についての予測概要:

  • 本法案による財政的影響は、(1) 連邦政府による連邦マリファナ法の執行継続の範囲、および (2) 州政府・地方自治体が種々のマリファナ関係の活動について許可・規制・課税をするかどうかの決定によって、大きく左右される可能性がある。
  • 州政府・地方自治体は、特定のマリファナ犯罪者に対する投獄・監督費用を年間数千万ドル節約できる可能性がある。
  • 州政府・地方自治体は、年間何億ドルもの税・料金収入を増加できる可能性がある。
  • 州議会アナリストによる分析
    背景
    連邦法。連邦法はマリファナを違法薬物として分類しており、その使用に関連する様々な活動に対し刑罰を科している。これらの法律は、個別、または州・地方自治体の法執行機関と協力して、活動することがある連邦機関によって執行されている。

    州法および住民投票事項215。カリフォルニア州の現行法では通常、マリファナの所有、育成、または流通は違法となっている。マリファナ関連の活動に対する刑罰は違法行為の内容によって異なる。たとえば、一オンス未満のマリファナ所有は罰金が科せられる軽犯罪であるが、マリファナの販売は重罪であり、禁固刑となり得る。

    1996年11月、投票者は住民投票事項215を承認し、カリフォルニア州で医療目的でのマリファナの育成・所持が合法化された。しかし、2005年、合衆国最高裁判所は、連邦当局が医療目的でマリファナを育成・使用するカリフォルニア州の患者および供給業者を従来通り起訴できるという判決を下した。この権限にも関わらず、2009年3月、合衆国司法省は、現政権が州の医療マリファナ法を順守する行為においてマリファナ使用患者および供給業者を起訴しないと発表した。

    法案
    本法案は、(1) 21歳以上の者による限定量の私用マリファナの所持・育成を合法化し、(2)特定の条件でマリファナ関連の様々な商業活動を許可するよう、州法を改正する。州法へのこれらの改正に関わらず、これらのマリファナ関連の活動は、連邦法では従来通り禁じられる。
    これらの連邦法による禁止行為は連邦機関によって従来通り法執行可能となる。それらをどの程度連邦政府が執行し続けるかは不明である。現在、医療目的以外のマリファナ関連の商業活動を許可している州は他にない。

    州による私用マリファナの所持・育成の合法化
    本法案では、21歳以上の者は通常、(1) 一オンスまでのマリファナの所持・加工・共用・運搬、(2) 民家または個人の土地一件につき25平方フィートまでの面積の私有地におけるマリファナの栽培、(3) 当該地域で栽培した収穫済みおよび生きたマリファナ株の所持、(4) 上記活動に関連する品目または機器の所持が可能となる。マリファナの所持・栽培は個人消費のためのみのものであり、他人への販売はできず、マリファナの消費は住居またはその他の「公共でない場所」でのみ許可される。(例外は、下記の説明のように、認可商業施設でマリファナが販売・消費可能となることである。) 州・地方自治体は、この量より多くのマリファナの所持・栽培を許可することもできる。

    州・地方自治体の法執行機関は、本法案を順守する者からマリファナを没収または処分することはできない。さらに、本法案は、本法案が許可する行為を行う者が刑罰・罰金・差別を受けることはないと規定している。ただし、本法案は、雇用主が、被雇用者の職務能力を損なうマリファナ消費について対処できる現行の権利を保持すると明記している。

    本法案は、私用マリファナの所持・栽培に関していくつかの制限事項を示している。たとえば、未成年者のいる場所でのマリファナの喫煙は許可されていない。さらに、本法案は、薬物の影響下での運転を禁じる、または小中高校の敷地内でのマリファナ所持を禁じる現行法を改正するものではない。さらに、18.20歳と知りながらその者にマリファナを提供した21歳以上の者は、違法行為一件につき郡拘置所での最高 6ヶ月の禁固刑、1,000ドルまでの罰金が科せられる可能性がある。(本法案は、18歳未満の未成年者にマリファナを提供する成人に対し刑罰を科す現行の刑法を改正するものではない。)

    マリファナ関連の商業活動の許可
    本法案は、マリファナ関連の様々な商業活動の許可・規制・課税を地方自治体に許可する。下記の説明のように、当該活動の許可・規制・課税を州にも許可する。 規制。本法案は、マリファナの栽培・加工・流通・運搬・小売を含む、マリファナ関連の商業活動について条例・規制の採用を地方自治体に認めている。たとえば、地方自治体は、21歳以上の者にマリファナを販売できる商業施設に許可証を発行できる。地方自治体は、当該民間組織の場所・規模・営業時間・看板・陳列について規制できる。個人は、ある場所に存在するマリファナ認可商業施設から別の場所に存在する認可商業施設にマリファナを運搬でき、この場合、それらの場所の中間地域でマリファナの商業生産および販売が許可されているかは関係しない。ただし、本法案はカリフォルニア州と別の州または郡との間のマリファナ運搬は許可してい ない。商業施設で他人へのマリファナ販売を許可された者が、21歳未満の者に過失でマリファナを提供した場合、マリファナ認可商業施設の所有・運営・雇用・援助・入店を一年間禁じられる。地方自治体は、マリファナ認可商業施設の営業時間を制限する地方自治体の条例違反など、マリファナ関連の特定違法行為に別途の刑罰または民事制裁金を科すことも可能である。

    地方自治体がこの規制を採用するかに関係なく、州は、州全域において、マリファナの商業生産を規制できる。州はまた、布地や紙などの製造に使用できるマリファナ植物の一種であるヘンプ麻の生産を許可できる。

    課税。本法案は、マリファナ認可商業施設が、その他の類似事業に現在課せられている適用可能な全ての連邦・州・地方自治体の税金および料金を支払うことを義務付ける。さらに、本法案は、地方自治体がマリファナ関連の認可された活動に新しい一般税、消費税、または譲渡税の他、給付評価料・料金を課すことを許可している。当該税金は、地方自治体が収益を上げ、マリファナ規制の関連費用を相殺することを目的とする。さらに、州は同様の税金を課すことができる。

    財政的影響
    本法案の条項の多くは、州・地方自治体が、マリファナに対する規制および課税に 関連する特定の処置を講じることを許可しているが、義務付けてはいない。したがって、州・地方自治体が実際にそのような処置をどの程度講じるかは不確かである。たとえば、いくつの地方自治体がマリファナ栽培または販売を行う商業施設に許可証を発行したり、または当該売上額に消費税を課したりするかは不明である。

    さらに、2009年3月、連邦政府は、住民投票事項215を順守する行為を行った医療マリファナ使用患者および供給業者を起訴しないと発表したが、非医療マリファナに関連する活動の禁止行為に対し法執行し続けている。これは、連邦政府が本法案で許可される活動に対し個人を起訴できることを意味する。連邦政府がマリファナに対する禁止行為に対し法を執行し続ける限り、これは州法の本法案で許可される活動を妨げる作用を持つ。したがって、本法案の歳出入への影響はかなり不確かである。

    州・地方自治体の歳出への影響
    州・地方自治体の矯正費用削減。本法案は、州刑務所・郡拘置所に投獄されるマリファナ犯罪者の数のみならず、郡での保護観察または州での仮釈放監視下に置かれる人数を削減することによって、州・地方自治体に節約をもたらす可能性がある。これらの節約額は年間数千万ドルにも達することがある。マリファナ犯罪者に必要となる拘置所のベッドを、スペース不足のために早期釈放されているその他の犯罪者に使用される範囲において、郡拘置所の節約が縮減される。

    裁判所・法執行機関の費用削減。本法案は、州・地方自治体にとって、マリファナ関連の犯罪に対する法執行および法定制度での関連犯罪訴訟の取り扱い費用の削減につながる。しかし、州・地方自治体がその他の法執行および法廷での活動にそれらの資金を向ける可能性がある。州・地方自治体のプロジェクトへのその他の財政的影響。本法案はまた、その他の州・地方自治体の様々なプログラムに財政的影響 を与える。たとえば、本法案は、マリファナ消費の増加に伴い、公的資金による薬物乱用治療およびその他の医療サービスを求める人口を未知的に増やす可能性がある。本法案は、麻薬裁判所など、州・地方自治体から資金提供を受ける刑事犯罪者向け薬物治療プログラムにも影響を与える。さらに、本法案は、医療目的でマリファナを合法的に購入・消費できる州法下での適格者を確認する患者台帳である、州の医療マリファナプログラム(Medical Marijuana Program) の経費とそれを相殺 する収益との両方を減らす可能性がある。

    州・地方自治体の歳入への影響
    州・地方自治体は、本法案で認められるマリファナ関連の活動に対する税金・評価料・料金の追加収益を受ける可能性がある。マリファナの商業生産および販売がカリフォルニア州内で行われる場合、州・地方自治体は、下記の方法で様々な所から収益を得る。

  • 既存の税金。マリファナ生産販売事業は他の事業と同じ税金の対象となる。 たとえば、州・地方自治体はマリファナ販売から売上税収を得る。同様に、純利益のあるマリファナ関連事業は州に所得税を納める。当該事業活動が他州からの消費をもたらす範囲において、本法案は、州内の課税対象となる経済活動の純増加をもたらす。
  • マリファナに対する新しい税金と料金。上記の通り、地方自治体は、マリファナ関連の活動に対する税金・料金・評価料が許されている。同様に、州はこれらの種類の活動に税金および料金を課すことができる。(これらの源からの新しい収入は、マリファナ関連の活動に対する許可証発行および課税に係わる規制・法執行費用の増加によって一部相殺される。)
  • 前述のように、連邦政府の法執行についての決定と、州・地方自治体によるマリファナの規制・課税の実施の有無との両方が、本法案の影響を左右する。マリファナ関連の活動の一部の合法化が、どのように全体的な使用量および価格に影響を与えるかも明らかではなく、その影響度はこれらの活動からの州または地方自治体の歳入への影響を左右する可能性がある。そのようなわけで、追加歳入の規模は推定が困難である。ただし、商業的マリファナ産業が州で発展する程度において、州・地方自治体は最終的に追加歳入として年間数億ドルを得ると推定される。


    ★住民投票事項19の賛成論拠★
    住民投票事項19: 常識的なマリファナ規制
    今日、功を奏していないマリファナ(「大麻」としても知られる)禁止法の執行に、何億ドルもの税金を費やしている。
    現在、密売人はIDを必要としないため、子供にとってマリファナは酒類よりも入手しやすい。
    禁止は国際麻薬カルテルが取り仕切る凶悪な犯罪市場を生んでいる。
    警察は、何千件もの凶悪犯罪は未解決のままにしているのに、非暴力的なマリファナ消費者を標的にして、何百万ドルの税金を浪費している。
    そして、カリフォルニア州内では毎年140億ドルのマリファナ売上があるが、負債にあえぐ我州はそれから何も得ていない。
    マリファナ禁止は失敗している。
    酒類のようにマリファナを規制・課税する常識的な方法が我々には必要だ。
    住民投票事項19はマリファナを規制するため慎重に起草された。住民投票事項19では、21歳以上の成人のみが自宅または認可商業施設で消費するために、一オンスまでのマリファナを所持できる。
    医療マリファナ患者の権利は維持される。
    酒類を規制・課税できるのであれば、マリファナも規制・課税できる。
    厳格な安全規制をマリファナに課そう住民投票事項19は、薬物の影響下での運転に対する厳格な処罰、未成年者へのマリファナ供与に対する処罰の強化、ならびに公共・学校の敷地内および未成年者の周囲でのマリファナ喫煙禁止を支持している。<
    住民投票事項19は、薬物のない職場を維持する雇用主の権利を守ることによって職場の安全性を維持する。
    取り締まることを警察の最優先事項にさせる
    FBIによると、2008年、61,000以上のカリフォルニア州民は、マリファナ所持の軽犯罪で逮捕されたが、60,000件の凶悪犯罪は未解決のままであった。非暴力的なマリファナ消費者の逮捕を終わらせることによって、警察は、年間何億ドルもの税金を節約し、凶悪犯罪という真の脅威に集中できる。

    警察、保安官、および裁判官は住民投票事項19を支持している。
    麻薬カルテルとの戦いに役立とう
    マリファナ禁止は国境を越えて悪質な麻薬カルテルを生み出している。2008年だけでも、イラクとアフガニスタンで戦死した米国兵全てを合せた人数より多い、6,290人のメキシコ市民がカルテルによって殺害された。
    麻薬カルテルの収入の60パーセントは米国の違法マリファナ市場から来ている。
    マリファナを規制することによって、住民投票事項19はカルテルへの資金源を断ち切るのに役立つ。
    重要事項に資金を提供するために何十億ドルの収益を創出する
    カリフォルニア州は歴史的な赤字に直面しており、州政府が予算を均衡化しない場合、州民にとっての増税および料金値上げにつながり、不可欠なサービスが一層削減されることになりかねない。と同時に、カリフォルニア州内では毎年140億ドルのマリファナ取引があるが、その取引に対する税金からの収入は一切得ていない。
    住民投票事項19は州および地方自治体にマリファナへの課税を可能にするため、不可欠なサービスを守ることができる。
    州の税金徴収機関である査定平準局は、マリファナへの課税により14億ドルの年間収益を創出し、雇用・医療・公共安全・公園・道路・輸送などに資金を提供できるであろうと述べている。
    カリフォルニア州のマリファナ法を改正しよう
    マリファナを不法にしていても、それに手を出すことを1億人のアメリカ人に止めさせている訳ではない。しかし、我々はそれを規制し、子供達にとって入手しにくくし、カルテルを弱体化させ、凶悪犯罪に警察の人員を集中させ、収益と節約で何十億ドルをも創出できる。
    我々にはマリファナ規制のための常識的な方法が必要である。
    住民投票事項19に賛成票を投じよう。
    www.taxcannabis.org
    JOSEPH D. McNAMARA、サンホゼ警察長(退役)
    JAMES P. GRAY、オレンジ郡上位裁判所裁判官(退役)
    STEPHEN DOWNING、副警察長(退役)
    Los Angeles Police Department

    ★住民投票事項19の賛成論拠に対する反論★
    カリフォルニア州の公共安全のリーダーとして、我々は、住民投票事項19が欠点のある公共政策であり、道路・職場・地域社会の安全を危うくするであろうということに同感である。この住民投票事項に投票する前に、2、3分時間を割いてそれを読んでもらいたい。

    発議者は、「住民投票事項19が薬物の影響下での運転に厳格な処罰を維持する」と主張している。その主張は嘘である。実際、住民投票事項19は、運転席に座わる直前までマリファナを使用する「権利」をドライバーに与えるが、飲酒運転とは異なり、住民投票事項19は、何が「薬物の影響下での運転」に相当するかを判定するテストや客観的な基準をハイウェイパトロール官に規定していない。だから、飲酒運転に反対する母親たち(Mothers Against Drunk Driving: MADD)は住民投票事項19に強く反対する。

    発議者は、住民投票事項19が、「薬物のない職場を維持する雇用主の権利を守る」と主張している。これも嘘である。カリフォルニア州商工会議所(California Chamber of Commerce)によると、事実は、住民投票事項19によって、被雇用者が職場でマリファナを所持する特別な権利が生じること、またカリフォルニア州の企業は連邦の薬物のない職場環境基準を満たしたり、または連邦契約の適格企業ではないことを意味することである。カリフォルニア州消防士協会(California State Firefighters Association)は、この起草上の間違い一つだけでも、カリフォルニア州民は何千もの職を失うことになると警告している。

    また、発議者の述べていることとは反対に、警察・保安官・麻薬裁判所裁判官を代表する州全域の組織は全て、住民投票事項19に「反対」票を投じるよう要請している。住民投票事項19が通過すると、我々の地域社会・道路・職場の安全が深刻に危うくなる。
    STEVE COOLEY、地方検事
    ロサンゼルス郡
    KAMALA HARRIS、地方検事
    サンフランシスコ郡
    KEVIN NIDA、会長
    California State Firefighters Association





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