アルコールは「ヘロインやクラックコカインよりも有害」

投稿日時 2010-11-09 | カテゴリ: NORML News

by 健康担当編集者サラ ボズリー(ソース:ガーディアン〈訳注:英国の新聞〉)

英国
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解任された政府薬物担当顧問のデイビッド ナットが、ランセットに研究結果を発表し、ドラッグのクラス分けの議論が再燃

本日発表された権威ある研究によれば、アルコールは、2位のヘロインと3位のクラックコカインに大差をつけて、英国で最も危険なドラッグである。そしてこの研究により、ドラッグのクラス分け体系の廃止の要求と飲酒に反対する組織的キャンペーンが再燃することが予想される。

解任された政府薬物担当顧問のデイビッド ナットと、薬物に関する第三者科学委員会から離脱したメンバーにより導かれた研究結果によれば、もたらす害に基づきドラッグのクラス分けがされたとすれば、アルコールはヘロインやクラックコカインと共にクラスAに分類される。

権威あるランセット医学ジャーナルにより今日発表された研究論文は、政府に合法および非合法ドラッグの相対的な害に関する難しい問題について、課題を課すものとなるだろう。この問題は、労働党にとってはすでに政治的ダメージとなった。

ナットは昨年、自身が議長を務める公式の薬物乱用諮問委員会の勧告を、閣僚が拒否したことに対して異議を申し立てたために、当時の内務大臣アラン ジョンソンにより解任された。委員会は、他のドラッグと比較して害が少ないために、大麻がクラスCのまま、エクスタシーがクラスAから降格されるべきであると勧告した。ナットは、科学的根拠が政治的理由により却下されたと主張した。

今回の研究論文は、同じくランセットに発表され、合法的に手に入るアルコールやタバコは大麻やLSDよりも危険であると主張し議論を巻き起こした、ナットらによる2007年の研究をアップデートしたものである。

2007年の研究論文では、アルコールは全体で5番目に危険とランク付けされていた。また、2007年の研究論文では、ドラッグのクラス分け体系の総見直しを求めていたが、ドラッグをランク分けする基準と微分加重を用いていないことについて批判を受けていた。

今回の研究では、2007年の批判に対処するためにより複雑な分析を採用した。今回の研究では、「死から精神機能へのダメージや人間関係の損失にいたるまでの」ドラッグが個人にもたらす害9項目と、他者への害7項目について検討した。害のスコアは最大が100、最低が0である。

アルコールのスコア総計は72で、対してヘロインは55、クラックコカインは54であった。ユーザー個人にとって最も危険なドラッグはヘロイン、クラックコカイン、結晶メタンフェタミンの順であった。他者への害が大きいのはアルコール、ヘロイン、クラックコカインの順であった。

ナットはガーディアンに対し、ドラッグのクラス分け体系は抜本的な変更の必要があると語った。「ドラッグ乱用防止法はもはや賞味期限切れで、改正の必要がある。」「今回の新たな研究結果を踏まえ、どのようにドラッグを取り扱うのか考え直す必要がある。」と彼は述べた。

調査された他のドラッグの害のスコアの総計は以下のようになっている:結晶メタンフェタミン(33)、コカイン(27)、タバコ(26)、アンフェタミン/スピード(23)、大麻(20)、GHB(18)、ベンゾジアゼピン系薬(15)、ケタミン(15)、メタドン(13)、ブタンガス(10)、カート(9)、エクスタシー(9)、アナボリックステロイド(9)、LSD(7)、ブプレノルフィン(6)、マジックマッシュルーム(5)。

著者らは「今回の研究結果は、以前の英国とオランダにおける研究の結果を支持し、現在のドラッグのクラス分け体系が実際の害とは殆ど関係ないということを追認するものだ。今回の研究結果はまた、アルコールの害に積極的に照準を合わせることは、公衆衛生戦略上、有効かつ必要な措置であるとした、以前の専門家による報告書の結論と合致するものだ。」と述べている。

ナットはランセットに対し、新しいクラス分け体系は「減らそうとする害が『自身に対してか、他者に対してか』によってきまる」と語った。また彼は、「もし害の総計をとるならば、アルコール、ヘロイン、クラックコカインは他よりも明確に害が大きい。それゆえ、スコアが40以上のドラッグがクラスA、20~39がクラスB、10~19がクラスC、10以下がクラスDというようになるかもしれない。」とも付け加えた。そうなると、タバコはコカインと共にクラスBに分類される。大麻もクラスCではなく、ぎりぎりクラスBとなる。エクスタシーとLSDは最低のカテゴリーのドラッグのクラスDとなる。

ナットは、クラス分けが不必要だと主張しているのではなく、「クラス分け体系は絶対に必要である。ヘロインやクラックコカインのように、個人にとって非常に有害なドラッグは規制する必要がある。」と述べている。しかしナットは、英国はポルトガルやオランダから学ぶべきことがあると考え、「ポルトガルとオランダは、犯罪化を緩和するという、革新的な政策を行っている」と述べている。これらの国の議員は、今日にもロンドンで薬物科学と薬物政策に関する合意形成のためのサミットに出席し、その場で今回の研究結果が示されるだろう。

英国の改革派は、連立政権は労働党よりも、証拠に基づいたアプローチでドラッグのクラス分けと対処を行うと期待している。自由民主党はナットの解任に際し、ナットを支持した。また、イートンカレッジ在学中に15歳で大麻を吸い問題になった経歴のある保守党党首デイビッド キャメロンは、下院議員として内務特別委員会に在籍していた間、ドラッグ乱用防止法が機能していなかったことを認めた。(訳注:労働党→自由民主党+保守党に今年政権交代した。)

ナットは、アルコール依存症者と崩壊家族へのコストと共にアルコールによる経済的コストが非常に高いことを指摘し、アルコールの害を減らすためのより一層の取り組みを求めた。アルコールに対する課税は「全く不適当」で、「例えば度数の高いシードルに対してワインの5分の1の税率が課されている。アルコールの低価格と、バカルディブリーザー(訳注:日本で言うところのチューハイ)が若者に対して行っているような宣伝活動に特に焦点を合わせて取り組みを行うべきだ。」とナットは述べた。

アルコールコンサーン(訳注:アルコール問題に取り組む団体)のドン シェンカー会長は以下のように述べている。「今回の研究結果と新たに得られたクラス分けは、アルコールにより広がる害にずっと高い優先順位を付けるべきだったのに、歴代の政府が誤って非合法ドラッグに注意を集中してきたということを示している。ドラッグ乱用者はアルコール乱用者よりもいまだ10倍も依存に対する支援を受けられる可能性があり、繰り返される入院とアルコール関連犯罪により何十億ポンドもの税金が費やされている。政府が低価格と高消費と個人や社会に結果として生じる害との間の関連性を認めることを怠ったために、アルコール乱用は近年増悪してしまった。」

「政府は既に起こっているアルコール依存の増加に対処するため、早急にアルコールをもっと手の届きにくい価格とし、予防と治療サービスに資金を投じるよう約束すべきだ。」

内務省は昨晩、「我々はまだ報告書を読んでいない。現政府はちょうどアルコールに関する協議を終えたところで、近月中に薬物に関する計画を発表する予定だ。」と述べた。

保健省の広報担当者は、「英国では、ほとんどの国民が週1回かそれ以下の頻度で飲酒しています。女性で一日2~3単位、男性で一日3~4単位の飲酒なら、健康を害する可能性は低いでしょう。政府は、分別を持って飲酒する人に不利益のないようアルコール乱用を防止する決意です。」と述べた。アムステルダム公衆衛生・環境国立研究所とアムステルダム依存症研究所の二人の専門家は、ランセットの論評解説で、今回の研究がドラッグの複合的使用について検討していないことを指摘している。ドラッグの複合的使用により、コカインや大麻とアルコールの組み合わせのように、一部のドラッグはずっと危険なものになりうるが、彼らはこのトピックは想定外のことであると認識している。

彼らは、ドラッグの娯楽使用のパターンは変化するため、調査は5年あるいは10年毎に繰り返すべきであると付け加えている。

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Source: NORML NEWS
ALCOHOL 'MORE HARMFUL THAN HEROIN OR CRACK'
by Sarah Boseley, Health editor, (Source:Guardian)
01 Nov 2010

翻訳とコメント by とら
ヘロインやクラックコカインよりと聞くとにわかには信じがたいですが、アルコールが合法・非合法ドラッグ全体の中で非常に危険なものであり、大麻よりもずっと危険であることは間違いないでしょう。オトーサンが仕事から帰って晩酌するのを大麻の一服に変えるだけで、国民の健康に大きなプラスとなると思うんですがね。





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