[水曜日(訳者注釈:法案投票日)午後の速報!]
2010年11月3日 NORML副事務局長 ポール・アルメンターノ(Paul Armentano)
カリフォルニアの投票では、46.3%対53.7%(98%の投票区が報告済み)でプロポジション19は否決された。プロポジション19は、成人が個人使用目的で定量の大麻を所持することを合法化し、地方自治体に大麻の商業生産と小売流通の規制を許可する提案だ。カリフォルニア州民の46%を超える(340万人もの)投票者がプロポジション19に賛成したことは、州単位の(訳者注釈:医療を含む)大麻合法化の動きにおいて、記録的な最高比率の住民支持となった。
この投票についてのコメントで、NORMLの副理事長ポール・アルメンターノは、大麻の合法化はもはや仮定の話でなく、時間の問題だと述べた。
アルメンターノ氏は言う。「社会的な変化というものは一夜ではなし得ません。今回の場合、私たちは、合衆国で70年、カリフォルニア州でおよそ100年続いてきた刑事政策の撤回を主張しています。私たちは、その法体系を引き継いで、その長期に渡る失策を維持することに偏向しているだけなのです。しかし、今回の勝算に関わらず、私たちには勢いがあって、警察職員から、市民権団体、労働組合、聖職者、公衆衛生の専門家に至るまで、支持者の同盟もこれまでにないほど強力です。このキャンペーンは、ほんの2、3ヶ月という短期間のうちに、世論を国家レベルで前進させ、ここカリフォルニアでは、 大麻所持者という非常に多くの軽犯罪者の逮捕や起訴を終わらせるという、歴史的な法律制定の契約にまで導いたのです」
アルメンターノ氏は続ける。「このキャンペーンでは、反対派さえも現行の大麻禁止法が失敗であることを認めました。というわけで、今問題なのは、大麻を合法化して規制すべきかということではなく、如何に合法化して規制すべきかということなのです」
「近い将来、州議会議事堂や無記名投票制度などで、プロポジション19と同様の法案が可決される州が多く現れることでしょう。ここカリフォルニアでは、2011年の州議会でもう一度話し合いが、そして2012年には投票がおなわれることは間違いありません」とアルメンターノ氏は締めくくった。
今回の法案の支持者は、2012年に同様のキャンペーンを行う計画を公表している。
アリゾナ州では、州公認の患者が、免許取得済みの施設から合法的に医療大麻を入手できるようにするアリゾナ州医療大麻提案(プロポジション203)の住民投票がおこなわれ、開票状況は、僅差で反対が優勢になっている。(米国西海岸時間)9時現在まだ接戦だが、プロポジション203は、7,000票未満の差、49.7%対50.3%(99%の選挙区の報告)で劣勢になっている。未開票は残り50,000票で、選挙管理委員会の正式な決定まで数日かかる可能性があるとするのは、フェニックス・ニュー・タイムズ紙の報告だ。今回の法案のスポンサーは、大麻政策プロジェクト(MPP)の関連団体であるアリゾナ州医療大麻政策プロジェクト(AMMPP)だ。プロポジション203について詳しくはこちら。
サウス・ダコタ州では、投票の結果、セーフ・アクセス法案(メジャー13)は否決された。メジャー13は、患者が州の認可を得れば医療大麻を入手しても、州の処罰は免除するというものだ。サウス・ダコタ州民は以前、2006年にも同じような提案を投票で拒否した経緯がある。これまでも、全米で医療大麻合法化の州民発議を否決しているのは同州だけである。
オレゴン州では、投票の結果、2010年医療大麻供給システムの規制化法案(メジャー74)が否決された。メジャー74は、州公認の非営利施設を作り、大麻の生産と、有資格の患者への大麻の販売の支援をおこなうものだ。オレゴン州では、1998年に発案が住民投票で可決されてから、内科医が認定した医療大麻の使用は認可されている。なお、コロラド、ニュー・メキシコ、メインなどの州は、医療大麻の生産と販売を免許制にする州法を既に制定している。
大麻法改革派に関係するその他の選挙の進展では、カリフォルニアの州知事選で、民主党のカマラ・ハリス氏が、僅差で共和党のスティーブン・クーリー氏をリードしている。(米国西海岸時間)午後1時現在(投票区の報告100%で)、ハリス氏側が1%ポイントの3分の1(計15,000票)未満の差でリードの模様だ(注:ハリス氏側はたった今選挙での勝利を宣言した)。クーリー氏は、医療大麻について公に反対しており、医療大麻の小売販売はすべて州法に違反すると主張しているため、Americans for Safe Accessなど、多くの大麻法改革派の団体に反対されている。
また、カリフォルニア州では、以下の市で、各条例(訳注:法案、提案)が賛成多数で是認され、医療大麻の生産および・または販売、また商用取扱の免許に新しい税金が課されることになった。
アルバニー市(メジャーQ)
バークレー市(メジャーS)
ラ・プエンテ市(プロポジションM)
オークランド市(メジャーV)
ランチョ・コルドバ市(メジャーO)
リッチモンド市
サクラメント市(メジャーC)
サン・ノゼ市(メジャーU)
ストックトン市(メジャーI)
NORMLカリフォルニアは、他の改革派数団体とともに、特にランチョ・コルドバ市の法案には、医療大麻の生産者に過剰な罰則を課すものだとして、反対の立場だった。その他地方の提案は多く、団体間の支持は割れた。
バークリー市では、同市に4ヶ所目の医療大麻ディスペンサリーを許可し、モロ・ベイに市営の医療大麻委員会有権者団体を再構成する別の条例(メジャーT)が是認された。また、サンタ・バーバラでは、同市のディスペンサリ禁止の提案が否決された。
ニュー・メキシコ州では、次期州知事に共和党のスーザン・マルチネス氏が選出された。マルチネス氏は、この知事選のキャンペーンで、2007年から続く同市の医療大麻法に反対の立場を公言している。 ニュー・メキシコ州では、同年以降、医療大麻の使用者と非営利となる供給者(生産者)を厚生省の認可制にしている。
ヴァーモント州では、民主党のピーター・シュムリン氏が州知事戦を僅差でリードしている(選挙区報告91%)。シュムリン氏は、州議会議員として、医療大麻と大麻の非犯罪化を擁護してきた。
コネチカット州では、民主党のダン・マロィ氏が州知事に選出された模様だ。報道によれば、マロィ氏は、成人の大麻使用の非犯罪化と医療大麻の合法化を支持している。マロィ氏の前任である共和党のジョディ・レル氏は2007年、内科医から認可を受けた患者が医療大麻を使用することを認める法令制定を拒否している。
Source: NORML Blog
Friday Morning Update ― Voters Nationwide Decide Marijuana Law Reform Measures
November 3rd, 2010 By: Paul Armentano, NORML Deputy Director
翻訳とコメント by bongyo
今回のカリフォルニア州の住民投票は、結果的には合法化に至らなかったものの、10年以上に渡る州法保護下の医療大麻の「実験」を経ても、合法化にこれだけ多くの支持を得られるという、主に大麻の社会的な健全性を十二分に実証するものだと思う。(当然利害が絡むため、反対票を投じた人や団体には、大麻擁護派も多く、まさに「どのように合法化するか」が問題とのことだ。)他の州の医療大麻関連法案・提案に対して賛成票が多い結果も、大麻の有効性が実証されてきたあかしだ。
日本でも、より多くの人が「ダメ!ゼッタイ」的に偏向せず、より冷静に知恵を働かせて、大麻の有効利用について判断できるようになればと願うばかりだ。
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