東京新聞が21日付で報じたProp19の記事、とても素晴らしいですね。偏見を排して両論を紹介し、事実と現実を的確に伝えるジャーナリズムの精神を強く感じました。
【国際】
米、大麻合法化近い? 加州住民投票「賛成」46%
2010年11月21日 朝刊
オバマ民主党が大敗した先の米中間選挙では、嗜好(しこう)目的の大麻の合法化を問うカリフォルニア州住民投票が全米の注目を集めた。結果は否決に終わったが、賛成派は「希望の光が見えた」と手応え十分の様子。大麻合法化推進の動きは他州でも加速しており、早ければ次期大統領選が行われる2012年にも、合法化実現の可能性が出てきた。
(ニューヨーク・加藤美喜)
「もはや合法化は『いいか悪いか』ではなく、『いつ』やるかの問題だ」。カリフォルニア州の住民投票結果を受け、合法化の著名論客として知られるイーサン・ネーデルマン元プリンストン大教授は米インターネット新聞「ハフィントン・ポスト」で高らかに“勝利宣言”をした。
賛成46%、反対54%で否決はされたが、同氏は合法化をめぐる議論がかつてないほど報道され、全米で広く認識された点を評価。「機運はかつてないほど高まっている」とし、近い将来の実現に自信を見せた。
同州は一九九六年、全米で初めて医療目的の大麻使用を合法化。がんやエイズ患者など医師の処方を受けた場合に限り、鎮痛剤としての大麻使用を認めた。以後、オレゴン、ワシントン州など西部各州が追随。今年十月にはニュージャージー州、今月にはアリゾナ州が仲間入りして「医療大麻OK」は全米で十五州になった。乾燥大麻以外に大麻入りのマフィン、クッキーなどを販売する「カフェ」形式の処方所も登場している。
カリフォルニア州の「提案19号」は、二十一歳以上の個人的な使用に限り一オンス(二十八グラム)までの大麻所持と一定量の栽培を認める内容だった。医療目的の制限を外して、酒やたばこと同じく、政府が統制する一般の嗜好品にしようという狙いだった。
賛成派は、合法化によって▽麻薬カルテルの収入源を奪い、組織を弱体化できる▽軽微な犯罪である大麻取り締まりに注ぐ膨大な警察予算を別の重要犯罪対策に振り向けられる▽大麻に課税することで多額の税収が得られる-などと主張。特に州内の“大麻市場”は年間百四十億ドル(約一兆一千六百八十億円)に上るとして、巨大な財政赤字に苦しむ州政府の再建につながるとアピールした。
アカデミー賞女優のスーザン・サランドンさんや、乳がんを医療大麻で克服した歌手のメリッサ・エスリッジさんら、芸能人が続々と支持を表明。著名投資家のジョージ・ソロス氏も賛成派団体に百万ドル(約八千三百万円)を寄付するなど運動を後押しした。
一方、反対派は▽大麻喫煙運転の基準が明確に示されていない▽職場や道路、学校の安全が脅かされる▽大麻を禁じた連邦法と矛盾する-などと指摘。共和、民主両党の知事選候補者や主要紙の社説も軒並み「反対」を唱えた。世論調査では、高齢者やヒスパニック系の間で反対票が目立った。
しかし、合法化推進団体「NORML」のアレン・ピエール代表(45)は「反対者には、合法化そのものに反対なのではなく、『提案19号』の書き方の不備を批判した人が多かった」と分析。「人体に害を及ぼす酒やたばこが合法なのに、なぜ大麻が違法なのかという“偽善”には、すでに多くの米国人が気付いている」と主張する。
同代表は、ベビーブーマー世代や若者の間では合法化容認の傾向が一層強まっているとし、ワシントン州やコロラド州などでも同様の住民投票が準備されると予測。「一二年の大統領選の年は大きな転機となるだろう」と話した。
転載元:東京新聞(TOKYO WEB)米、大麻合法化近い? 加州住民投票「賛成」46%
|