取調べについて

投稿日時 2005-08-27 | カテゴリ: もし大麻で逮捕されたら

取調べで作られる供述調書は、刑事や検事が作文し、被疑者はそれに署名し指印を押すことになっています。判決に重大な影響を及ぼすような、被疑者に不利な作文をされることがあるので、充分な注意が必要です。
裁判レポートの事例にあるIさんの場合も、営利目的ではなかったのに、取調べでの誘導によって調書が作文され、営利目的の密輸として起訴され、初犯でありながら実刑となってしまいました。

「実践を通じて刑事司法を改革する」ミランダの会には、次のように書かれています。
ミランダの会

供述調書は容疑者の生の言葉を記録するのではなく、刑事が作文して容疑者に署名させるだけなのです。
長時間にわたる取調べに疲れはてた容疑者が刑事のことばに頷いただけなのに、あたかも容疑者自身が物語ったような文章が作られ、容疑者に署名させるなどということは幾らでも行なわれています。
それでも、裁判になると、刑事は「被疑者の言うとおりを書いた」と証言します。
被疑者にはそれに反駁する材料がまったく与えられていないのです。これは取調べの様子をありのままに記録したものがないからおこり得ることです。
欧米諸国や台湾では、取調べの録音・録画が法的に義務付けられています。
国連の人権委員会は、日本政府に対して、取調べを電気的に記録するように勧告いたしました。
しかし、この点についても、日本政府は一向に改めようとはしていません。

私自身が逮捕された際も、所持容疑での取調べ20日間の後、栽培容疑で再逮捕され、その取調べの最終日、勾留49日目、近畿麻薬の倉橋取締官は、私が言ってもいない「栽培していたものを売っていたら営利目的でした」という文言を調書に入れ、著名を求めてきました。私は署名を拒否し、書き直しを求めました。書き直されたものにも、またしても表現は異なるものの、「営利目的」という言葉が入っていました。私は再度署名を拒否しました。取調べ最終日のことで、終了の時刻が迫っていました。倉橋取締官はそれでもしつこく「営利目的」という単語を入れたがりアレコレ言っていましたが、いよいよ時間がなくなり、横で立ち会っていた小柳取締官に「その部分、全部削除しましょうよ」と言われ、渋々といった様子で当該箇所を削除しました。作り直した調書がプリントアウトされた時には、既に予定の時刻を過ぎ、拘置所の刑務官が私を房に戻すため取調室に迎えに来ていました。

ミランダの会のサイトには会員弁護士のエッセイに次のように書かれています。

弁護人の事前確認のない限り調書への署名・押印を拒否するというささやかな弁護方針(「ミランダの会」弁護要領二)(※1)ですら、設立当初こそ取調官の激しい抵抗に遭ったものの、現在ではトラブルらしいトラブルは起きなくなっている。被疑者が「調書は弁護人に確認してもらってから署名・押印します」とひとこと告げれば、取調官は「そうか」と返事するだけで終わっているのが一般的な状況である。

事実とは違う、捏造された自白調書であろうが、それに署名して指印を押してしまうと、裁判で覆すのは極めて困難で、覚えのない罪まで被せられてしまうことにつながります。
供述調書への署名は、弁護士の確認を得たうえで行うと伝えるのも賢明な選択です。それは嘘をつくということではなく、正確な供述調書を作るということです。

同サイトでは、調書を弁護人に確認してもらってから署名するための申し入れ様式も公開されています。他にも保釈請求関連等、段階ごとの書式が多数公開されています。
http://www.mirandanokai.net/body/aboutus/index.html

書式だけでなく、エッセイを含む情報に大変参考になるものが多く、一読をお勧めします。

【重要】供述調書について
取調べで作成される供述調書は、裁判でもとても重大な意味を持ちます。言ってもいないことを書かれ、それに署名指印してしまうと、思ってもみないような不利な状況に陥ってしまうことがあります。供述調書は取調官が作文するので、内容を何度でもよく確認し、言ってもいないことが書かれていたら、断固として署名を拒否し、弁護士に相談することを強くお勧めします。

日弁連が取り組む重要課題/取調べの可視化(録画・録音)実現 [日本弁護士連合会]





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