by サル・パラダイス
週刊朝日に6ページにわたるのりぴーのロングインタビューの記事が載った。
12月3日には彼女の自叙伝も出版されるらしい。
そのインタビュー記事を読むとね、彼女が覚せい剤に走ったのは、ダンナが吸ってるのを偶然見かけたのが始まりだったんだって。
その時一番信頼していた人が吸ってたので、どんなになるんだろうって興味がわいたとのこと。で、後半は、夫婦の形をとどめるためだったって。2人での共通の秘密ができると、妙な信頼感がめばえて。
オレはそれを正当化するものではないよ。
でも、捕まるあたりや捕まってからの状態は、ちょっと気の毒に思う。
彼女はダンナが職質にあってパニックって呼び出される。自分がなんとかしなきゃって気持ちで。
ところがなんともできないことがわかり、こわくなって、知り合いの建設会社会長の車で逃げる。
この会長はのりぴーが覚せい剤にはまってることは知らなかったようだ。
それから、のりぴーは一週間くらい姿をくらますわけ。子供と離れてね。こわかった。ちょっと考える時間がほしかったって。それはそうでしょう、自分はどうなるんだろう、牢屋にいれられるのか、芸能界を追放されるのか、社会から糾弾されて抹殺されるのか、子供はどうなるのか。いろいろ考えがめぐったことでしょう。
ここで問題。ドラッグの罪って何ですか?
覚せい剤をやって錯乱して人を殺したりって事件が過去にあるから、それを防ぐため、やったやつを見せしめとして何年間か牢屋にいれるの。
そういう意味合いなら刑としてはわかる。それ以外にも刑を与える意味はあるんですか。それとも、そのことオンリイ?誰か教えてください。
例えば、誰かが人を殺したとしたら、おまえは人を殺したからその償いとして死刑にする。これは、ハムラビ法典の目には目を、歯には歯をということでわかる。
で、のりぴーが覚せい剤をやってた。あるいは、持ってたっていうことはどこへ行くの?誰が被害者で、どんな被害。
ちょっとわかりやすくするため、極端な例つくってみるね。
自殺は悪いこととされてるよねえ。それがこのように裁かれるとしたら。
バーン
「現場を押さえた。おまえは首になわをはめて、天井の梁になわのあと。自殺未遂だ。」
「はい、そのとおりです。すいません。」
「おまえは過去にも1回おこしてる常習犯だ。となると情状酌量の余地はない。死刑だ。」
「えーっ。」
ね、なんか違和感あるよねえ。
この人に必要なのは罰でなくて、治療なんだよ。
薬物事犯でも同じなんじゃない。
先日、NHKの「ハートをつなごう」って番組で薬物依存についてやってた。そこで、アメリカのフロリダ州のドラッグコートが紹介されてた。
ドラッグコートというのは、薬物依存者を司法で裁く前に、その人の状態によって、薬物依存からの回復カリキュラムをどういった内容のものをどれくらい受けさせるか決める法廷なのです。
で、それに従わなければ、いよいよ裁判所となるのです。
ドラッグコートで更生カリキュラムを言いわたされたら、そのカリキュラムを受けなければならないことを除いては、牢屋に入るわけでもなく、社会から追放されることもなく、普通の生活のままです。要は治療ですから。
ドラッグコート推進派は言います。
「薬物依存者に刑を与えて牢屋に入れると、彼は仕事を失い、身分を失い、出てきたらホームレスにならざるを得ない。ドラッグコートなら、カリキュラムを終えたあと、彼は社会に復帰できる。」
ついでにコスト的にも安上がりだそうです。裁判費用、収監費用がかからず、おまけにカリキュラムは有料で、依存者が負担する形だからだ。
ねえ、いいと思いませんか。
番組で討論してた司会者やゲストの人、ほぼ100%が日本でもこうしていこうと言ってましたよ。驚いたことにね。今まで社会の風潮、そんな風じゃなかったもんね。
ゲストはね、医者や詩人やソニンっていうアイドルとかもいた。
しかし、日本ではまだそういう病院施設は10ヶ所もなく、ダルクも50ヶ所あまりだって。
ただね、考えとしてね、ムードとしてね、オレはそっちの流れになってきたと感じたんだ。排除でなくて、社会全体で受容する。
こういう考えがこれから主流となっていけば、マスコミのこの手の記事の扱い方も変わるよね。
例えば、こんな記事は
○月○日、芸能人Tが覚せい剤所持で捕まった。彼はこれで5度目となり、支持者をはじめとした社会をまたもや裏切った形となった。これは許されない行為であり、今度という今度は芸能界を永久追放すべきだろう。支持者N氏の証言。「本当にあいつはバカです。完全に裏切られました。もう顔も見たくない。2度と会うことはないでしょう。」
このようになります。
○月○日、芸能人Tが覚せい剤所持で捕まった。彼はこれで5度目であり、薬物依存症が思いのほかひどく、完全に抜け切れていないことがはっきりしました。そこで、ドラッグコートで32週のカリキュラム受講が言いわたされました。才能豊かなT、カリキュラムをしっかり終え、今度こそ芸能界に完全復帰することを願ってやまない。支持者N氏の証言。「もういいかと思っていましたが、なかなか難しいですね。今回、32週ということでかなりハードとは思いますが、しっかりやり終えて復帰すると信じています。支援、もちろん続けますよ。友人としてここで見捨てるわけにはいかないじゃないですか。」
ねえ、どうです。
なんか後半の記事の世界のほうが愛にあふれてて、あたたかいでしょ。それに比べて前の記事の世界の冷たくて、暗いこと。どちらの世界がいいですか。
風向きは変わりました。この流れは僕らを運んでいきます。
早くのりぴーが薬物依存で恐怖を感じて逃げ回らなくていい社会を実現しましょう。
|