一審判決文

投稿日時 2005-01-25 | カテゴリ: MHさん裁判

平成16年10月25日宣告  裁判所書記官 松岡 孝典
平成16年(わ)第219号,第268号

判決

本籍 ××××
住居 ××××
職業 ××××
◆◆◆◆
昭和53年1月13日生


上記の者に対する大麻取締法違反被告事件について,当裁判所は,検察官 吉田 稔出席のうえ審理し,次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役1年6月に処する。
未決勾留日数中20日をその刑に算入する。
押収してある乾燥大麻様のもの2瓶(平成16年押第22号の符号1,2),大麻草入り紙タバコ1袋(同符号3)及び大麻草8株(同符号4)を没収する。

理由

(罪となるべき事実)
当裁判所の認定した罪となるべき事実は,起訴状2通に記載された各公訴事実と同一であるからこれらを引用する(ただし,平成16年7月9日付起訴状記載の公訴事実2行目に「被告人方」とある前に「当時の」を加え,同じ行の「グラム」とある次に「(押収してある乾燥大麻様のもの2瓶(平成16年押第22号の符号1,2)及び大麻草入り紙タバコ1袋(同符号3)はいずれもその鑑定残)」を,同年8月20日付起訴状記載の公訴事実6行目に「本」とある次に「(押収してある大麻草8株(同符号4)はその鑑定残)」を,それぞれ加える。以下,認定事実を起訴状の日付順に「判示第2事実」,「判示第1事実」という。)。

(証拠の標目)
( )内の数字は,検察官請求の証拠番号を示す。
判示全事実について
被告人の当公判廷における供述
判示第1事実について
被告人の検察官(28)及び警察官(27)に対する各供述調書
実況見分調書(15)
鑑定嘱託書謄本(16)
鑑定結果回答書(17)
押収してある大麻草8株(18,平成16年押第22号の符号4)

判示第2事実について
被告人の検察官(25)及び警察官(2通,21,23)に対する各供述調書
現行犯人逮捕手続書(甲)(1)
捜索差押調書(乙)(2)
鑑定嘱託書謄本2通(3,6)
鑑定書2通(4,7)
押収してある乾燥大麻様のもの2瓶(5,8,平成16年押第22号の符号1,2)及び大麻草入り紙タバコ1袋(9,同符号3)

(法令の適用)
被告人の判示第1の所為は,大麻取締法24条1項に,判示第2の所為は,同法24条の2第1項に,それぞれ該当するところ,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役1年6月に処し,刑法21条を適用して,未決勾留日数中20日をその刑に算入し,押収してある乾燥大麻様のもの2瓶(平成16年押第22号の符号1,2)及び大麻草入り紙タバコ1袋(同符号3)は,判示第2の,押収してある大麻草8株(同符号4)は判示第1の各罪にかかる大麻で犯人が所有するものであるから大麻取締法違反24条の5第1項本文によりこれらを没収する。

(量刑理由)
本件は,自宅で大麻草を栽培し(判示第1),自宅に大麻約20グラムを所持していた(判示第2)事案である。
被告人は,平成10年6月ころに当時DJをしていたクラブの客に勧められて初めて大麻を吸引し,そのとき五感が鋭くなり普段聞き取れない音楽の音が聞き取れたことから,その後は密売人から購入して使用していたが,平成11年11月に大麻取締法違反で逮捕され,平成12年2月23日同罪で懲役1年8月執行猶予3年に処せられ(同年3月9日確定),以後は大麻と縁を切っていた。しかし,執行猶予期間が満了した後の平成15年9月ころ,DJのイベントで知り合った××から勧められ,少しぐらいならいいだろうという気持ちと大麻が規制されている理由について得心が得られていなかったことから,再び大麻に手を出し,これが発端となって,昔覚えた感覚がよみがえり,その後は××から譲り受けては大麻を使用し,やがては自分で栽培することを考えるようになり,同年10月から判示第1の犯行に及び,また,判示第2のとおり,収穫した大麻の一部を所持し,この間頻繁に大麻を使用していたものである。以上の経緯,特に,既に一度懲役刑に処せられていながら,今回自身で栽培するまでになっている点からすると,被告人の大麻取締法違反の罪についての常習性は,かなり高いというほかない。そしてまた,本件刑責に対しては,実刑を科するのが相当といえる。

ただし,被告人は栽培した大麻を自己が使用するか捨てるか以外に用いたことはないこと,被告人が今回こそは大麻と縁を切る旨誓うなど反省していること,父親が今後の監督を証言してくれていること,被告人は父親の営む××に従事し今ではその存続に不可欠ともいえるまでの存在になっていることなどの事情を考慮すると,その刑期は,主文のそれに止めるのが相当である。

よって,主文のとおり判決する。

(求刑 懲役3年,没収)
平成16年10月25日
××地方裁判所刑事部
裁判官 杉田 友宏

これは謄本である
平成16年12月8日
××地方裁判所
裁判所書記官 松岡 孝典 〔印〕






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