麻生しげる
(米国カリフォルニア州オークランド在住)
CNNのインタビューに答える河野太郎議員
動画下部のキャプションに"Lawmaker:Japan's govemment doesn't lie"
テレビ各局の報道によると、東北関東に於ける悪夢の大災害より七日間が過ぎた日の朝、アメリカのオバマ大統領は能天気にもNCAA(カレッジ・バスケット・ボール選手権)の人気番付のチーム選びに笑顔を見せていた。緊迫感に欠けるとの批判を浴びながら、大好きなチームを選抜していた大統領の姿は、日本での悲劇を軽視している、との痛烈な批判を諸外国から浴びた。 原子力を見直そう、という基盤でもともと大統領選に挑んだオバマ氏は、今回の大事故を受けて日本の大使を訪れたり、日本の首相に電話をかけて追悼の意を表したものの、実際的な動きが鈍いと感じるのは筆者だけであろうか。又、原発推進派のマッケーン議員はこれまでの主張を撤回、「原子力発電を見直す必要がある」とCNNで語った。
日系三世の理論物理学者でニューヨーク市立大学教授の加来道雄氏によると、日本の内閣は日を追うごとに国民の、そして全世界の信用を失いつつあり、内閣の「信用」がメルトダウン現象を引き起こしつつあるという。クラス5の大惨事に引き上げられた今回の原発事故は、スリー・マイル・アイランドのそれを上回り、チェルノブイリ級のクラス7よりは低いとされているものの、むき出しになった核廃棄物質の写真を見ると、更なる被害は避けられそうも無い、というのがアメリカの専門家の一致した意見であった。
英国の新聞ガーディアン紙は、日本政府による原発関連の一貫性の無い情報の錯綜が、矛盾だらけであると指摘している。国際社会に於ける日本の役割は市民と全世界に真実を伝えることであり、現在の所、政府発表、大使館関係者、科学者たちの間で見解が割れているというのが真相のようだ。
又、東京電力(TEPCO)への批判も著しい。最高責任者を出さず、下っ端の訳の分からない記者会見に反発を覚えたのはなにも日本のメディアだけではない。世界中のメディアが注目する中、あまりにもお粗末な記者会見の中身である。
首相にも批判の声が上がっている。この非常時に国をまとめる力が無い、というのが大筋の国際社会の見方である。官房長官の記者会見もお粗末極まりない。日本の法で禁止されている、外国人による政治献金を受け取った咎で首相を攻め立てる新聞社もある。
アメリカでは人気コメディアンのギルバート・ゴッドフリー氏が日本の津波を悪辣なジョークで揶揄し、4分の三を日本人の顧客に持つ保険会社のAFLECからコマーシャルを首になった、という話もある。
今回の津波で、インドネシアやハイチ、ニュー・オリンズ程の義援金がなかなか集まらず、低迷しているとの報道もあった。又、救援物資を届けるすべが無い、というジレンマに陥っている救済団体も数多い。こういう時には金を出そう、と赤十字は呼びかけている。アメリカ在住の方は90999に「REDCROSS」とテキストすれば$10の義援金が寄付できる。もちろん、限度額は無い。筆者も微力ながら、義援金の寄付を呼びかけている。
今回の事故をブリティッシュ・ペトロリアムの重油漏れ事故に比べる向きも多い。メキシコ湾に大量の重油を流したBP社は中々本当のことを言わず、結局大惨事を引き起こした。
常日頃から無事故運転を心がけていれば、こういう災害が起きたときに対処の仕様もある。しかし、これだけ技術の進歩が著しい今日この頃でも、40年前の原子炉をそのまま使っていたなんて、俄かには信じがたい話である。又、国によっては、原子力発電所の近くにシェルターを用意するなどの措置を取っている所もある。過密国の日本がなにも原発対策をとっていないばかりか、原子炉を六基も狭い敷地内で管理していたことにも問題がある。
そしてなぜ、冷却処理がこれほど遅れたのか。日本政府はパニックを鎮めようとするばかりに、逆に国民の不信感を買ったようだ。
一方で、被災者たちの逞しく生きていく姿が連日のように報道される。食べ物を分かち合う被災者たち、どんなに苦しくても略奪などに走らない日本人の美徳、そして福島50と呼ばれる決死隊50人への絶賛(約200人が現場に残されているとの報道もある)。
「被爆難民」(NUCLEAR REFUGEES)という言葉も注目を浴びている。
ニューヨーク・タイムスの記事によると、山形県のある女性は地震にも耐え、津波を乗り切ったものの、結局目に見えない放射線の恐怖から、ついに非難することを決意した。このような「被爆難民」の数を日本政府はまだ正確には把握していないらしい。政府の絶対安全というマントラもむなしく、東京から大阪等へ避難する人も増えてきたようだ。
兎に角、全世界は日本を見守っている。心から被災地の方にお見舞い申し上げたい。
たった今入ったニュースでは、アメリカは又もやリビヤの内戦に加担すると発表している。戦争を回避する方法は無かったのか・・・。同盟国の日本が危機にあるというのに。
・ニューヨーク・タイムズが伝える写真情報
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