弁論要旨

投稿日時 2005-08-04 | カテゴリ: Iさん裁判

弁論要旨

平成16年(わ)第1552号 大麻取締法等違反被告事件
被告人 ××××

弁論要旨

平成16年10月15日
上記弁護人  弁護士 小柴 文男 〔印〕

千葉地方裁判所 刑事1部3係 御中

第1.罪体について

1.本件は、営利目的の存しない単なる大麻の密輸入の罪にとどまるべきものである。

2.被告人においては、(1)予め大麻購入資金を準備していなかったこと、(2)そもそも今回のタイへの旅行は純粋な観光目的であったこと、(3)今回タイで大麻樹脂500グラムを購入したのはたまたま出会った人物からまとめて買えば安くなる旨のことを言われ衝動的に購入してしまったものであること、(4)また「出来れば自分でたまには吸いきれないほど手に入れたいと思った」からであること、(5)これらの購入動機については被告人の司法警察員に対する平成16年7月14日付け供述調書に記載されている通りであること、(6)被告人には借金があってその返済原資のために営利目的に走ったというような事情も存しないこと、(7)本件の大麻樹脂を持ち込むために麻薬犬に発見されないような周到な準備又は工作はしていないこと、(8)他人から大麻売却の依頼が予めあったという事情は全く存しないこと、(9)その他被告人の性格や日常の生活態度からは営利、金儲けを企画するような素振り乃至は事情は認められないこと、などの諸事情を考慮するかぎり、被告人が営利目的で本件大麻を日本に持ち込んだと認定するのは誤りであると言わなければならない。

3.なお、前々回の旅行先のネパールから持ちかえった大麻樹脂が営利目的であったとの嫌疑がかけられているが、これは当公判廷において明らかにされた通り、被告人は確かに同旅行中に××さんに滞在期間が延びて足りなくなった帰国費用金8万円を送金してもらったことがあるが、この8万円は世間で親しい間柄の中で普通に行われている助け合いとしての単純な消費賃借であり、事実、被告人はその全額を助けてくれた友人らに現金をもって返済している。従って、前々回の旅行においても営利目的があったという事実は全くないものであり、今回が前々回のことに味をしめて同様の犯行、つまり営利に走ったという嫌疑の点は全く根拠のないものであると言うべきものである。よって、被告人が決して営利の目的で大麻樹脂を飲み込んできたものではないとする供述又は証言には十分信用性があるであると弁護人は確信する。

第2.情状について

1.被告人には前科前歴がないうえ、被告人は、まだ独身であり、今後家庭をもち仕事面では高齢である父の家業を継ぎ、将来を嘱望されている者である。

2.被告人には、幸いにも、生活基盤となる家族と、よき相談相手として結婚を前提に長年付き合っている交際相手がおり、将来、社会において更生の道を選択するに確固たる環境が整っている。

3.また、被告人は、近所の評判、仕事仲間、顧客などから好感をもたれ、人物的にも更生を約束できるものである。

4.被告人と大麻との親密性には確かに看過できない問題が指摘できるかもしれないが、今では被告人は従来自分が遵法精神に麻痺していたことを十分に自覚しており、薬物被害の重大性を改めて認識し、自らは無論のこと、他人の薬物依存の態度に対しても厳しい態度で接し、社会から薬物被害がなくなり、健全かつ平和な幸せな社会作りに向けて精一杯努める固い決意でいる。

5.特に、父親は贖罪寄付として金50万円を拠出して、自ら被告人の社会における更生を約束している。

6.以上の通り、被告人は十分に反省し今後は二度と大麻に依存しないことを誓っていますので今回に限り寛大なる執行猶予の判決を賜りたくお願いします。






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