2011年4月7日 カナダ オンタリオ州トロント
オンタリオ州トロント:統合失調症研究(Schizophrenia Research)誌に掲載予定のメタアナリシスの研究結果によると、大麻使用暦のある統合失調症患者は、非使用者と比較して「より高い神経認知能力」を示す。
トロント大学医科学研究所の研究者らは、統合失調症の被験者における、認知に与える大麻使用の影響の程度を調べるために、メタアナリシスを行った。計942人の被験者を標本とした18件の研究が、試験対象患者基準に適合した。356人の統合失調症患者が大麻使用者で、586人の患者は大麻使用暦がなかった。神経心理学テストは以下の7つの分野にグループ分けされた:一般認識能力と知能;選択的および持続的および分割的注意;管理能力;作業記憶と学習;情報検索と認知;受容的および表出的言語能力;空間視覚能力と構成能力。
著者らは「能力差についての関連する統計全てにおいて、大麻使用患者は非大麻使用患者と比較して、より高い認知機能が示唆された。」と決定付けた。
研究者らは、より高い認知能力を持つ患者は低い能力の患者よりも、単に大麻を入手する可能性が高いのだろうと指摘し、被験者の大麻使用は改善された転帰に起因すると考えるに止めた。(訳注:高い認知能力が原因、大麻使用が結果ということ)
「試験対象患者基準に適合した全ての研究が横断的方法論的手法を採用していることにより、問題が生じるため、我々の研究結果の解釈は制限されている。すなわち、神経心理学的機能の変化を引き起こしたのが大麻自体なのか否か、また薬物を使用する患者は、統合失調症患者という母集合のうち、高い神経認知能力を示す部分集合を象徴するものなのか否か、これらのことを判断することは難しい。」と研究者らは述べている。
「大麻は統合失調症の神経認知機能に対して穏やかな作用を持っているようだ。統合失調症の認知能力に与える大麻の本質的な影響を解析するためには、大麻を断った場合の影響を調査した縦断的研究、または急性チャレンジが必要である。」と著者らは結論付けている。
より詳しい情報については、paul@norml.org からNORML副理事ポール アーメンターノまでお問い合わせください。研究の全文は、統合失調症研究誌に掲載予定の「統合失調症の神経認知能力に与える大麻使用の影響:メタアナリシス」をご参照ください。
Source: NORML NEWS
Marijuana Use Associated With 'Superior' Cognitive Performance In Schizophrenic Patients, Study Says
April 7, 2011 - Toronto, ON, Canada
翻訳 by とら
医学用語やら統計用語やらが多く、何ともわかりやすく翻訳できませんでした。精神医学というのは因果関係を解釈するのが大変難しそうですね。逆に言えば精神医学では意図的な解釈をしようと思えば容易いということで、これまでにどれだけ意図的な解釈によって大麻が悪者にされてきたかと思うと腹が立ちます。
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