こんなに変わってしまうのか?
長吉秀夫 ノンフィクション作家 大麻入門(幻冬舎)著者
ちょっとショッキングな話題で恐縮ですが、書かせてください。
先週から報道されている、「大島で大麻所持7人逮捕」というのは僕の友人たちで、共に大麻について活動している人たちです。
その彼らが大麻所持で逮捕されたのは大麻取締法を違反したということなので当然なのですが、その後の報道を観察していて、やはりマスコミは出鱈目だなと改めて思いました。
「大麻なんて吸ってるから、しょうがない」とか、「法律は法律」みたいな意見が出てくるのはわかるのですが、日を追うごとに、報道から始まったマスメディアでの情報の歪曲がここまで加速していくのを目の当たりにして、怒るというよりも、興味深く観察しています。
彼らは11月29日にガサ入れで逮捕されました。そして、報道が始まったのは12月2日の午後のTVニュースから。その日の夕刊は朝日・毎日・読売には記事掲載は無く、日経の夕刊から掲載が始まりました。三紙は3日の朝刊で扱い、スポーツ紙も3日は殆どが掲載していました。
逮捕された人物の一人である中山康直氏についての取材として、中山氏の関係の中山弥栄塾の関係者に日刊スポーツから電話取材がありました。もう一つは、12月2日に前田耕一氏という大麻活動家へ日本テレビのニュースエブリィからのインタビューがありました。前田氏への質問の冒頭は、「中山氏の自宅には大きなゲルがあるが、ここは宿泊可能なのか?」「宿泊可能ならば、ゲルの中にはベッドがあるのか、布団なのか?」という、まったく本質にないものでした。僕が推測するに、「カルト宗教の大麻乱交パーティ」のようなネタ探しであったのだと思います。前田氏はこの質問に対し、「くだらないことを聞くな!」と一喝し、その後は、中山さんの高潔な人柄を褒めちぎったそうです。結局は前田さんのコメントはすべてボツになりました。
この二つが僕の知る限り、12月5日現在、大麻関係者へマスコミがインタビューをしたものです。
中山弥栄塾へのインタビュー記事は、日刊スポーツの12月3日売りに掲載されましたが、関係者の発言内容を微妙に修正したものになっていました。それは、事実をギリギリあらわしているが、カルト集団や似非スピリチュアルのような印象を誘導しているような印象に感じます。その根拠は、中山さんと同じく逮捕された荒井さんの住まいの神棚に大麻草が供えられていたという情報によるものだと推測されます。
ここまでは、「なるほどスポーツ紙だからね」という感じです。しかし、のけぞったのは 日刊サイゾーの記事です。
サイゾーの記事は、ニュースソースとして書かれている関係者には何の取材もなく、おそらく日刊スポーツの記事に上乗せして掲載しているようです。このことは、発言したとされている中山弥栄塾の関係者から確認済みです。今後は、これが事実であるなしに関わらず、尾ひれがついていくのだろうと予想しています。
最後に、関係者がどのように話し、どのように歪曲していったかをご紹介します。
http://www.cyzo.com/2011/12/post_9258.html
中山康直氏の中山弥栄塾の関係者が、日刊スポーツよる取材の中で実際に話した言葉
「中山さんはみんなで共生社会を創っていこうという啓蒙活動をしている人です。共生社会とは、人と人とが戦って争って、自分だけ生き残ろう、自分だけ良い思いをしようという社会ではなく、生かし合い助け合いながら、互いに繁栄していく社会の事です。」
「共生社会を形成していた縄文時代の人びとは、日常の生活の中で大麻を平和利用していたのです。」
「我々は大麻取締法は間違っている法律であると主張していますが、悪法であっても法律は法律。その社会で生活をしている限り、守らなければこういうことになってしまいます。せっかく素晴らしい啓蒙活動をしている人なのに、このたびのことは軽率だったと思います。」
「中山さん個人については今回所持していた量は少なかったと聞いています。また初犯であるそうなので、1月28日の第11回中山弥栄塾には間に合うと思います。1月28日は予定通り行うつもりです。」
日刊スポーツに掲載された記事内容
「中山さんは『大麻のエネルギーは、人間のよりよい共生社会を作っていく上で必要なもの』という素晴らしい思想を持っている人です。縄文時代の人びとは、大麻のエネルギーを有効に使っていたんです」とコメント。逮捕については「大麻取締法はいい法律だとは思えませんが、法律は法律。それを守っていなかったということだから、軽率だったのではないでしょうか」
「中山さんの所持量は少なかったと聞いていますので、それまでに釈放されると思うので間に合うと思います」
サイゾーに掲載された記事内容
「所持していた量から考えても、みんなすぐに釈放されるのではないか。来年1月28日の講演も予定通り開催する方向で、できれば窪塚さんに来てもらえるようお願いしたい」
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