長期の大麻使用が認知能力に欠損を与える事はないとの研究結果

投稿日時 2012-01-01 | カテゴリ: NORML News

2011年7月28日 木曜日

「教育程度やその他の特性に基く調整を行った後では、いずれも大麻の使用を原因とみなせるような有意な差異が見られなかった」

オーストラリア、メルボルン: ジャーナル "Addiction (依存症)" に掲載された臨床試験データによると、大麻の摂取によって引き起こされる認知能力への悪影響は、たとえその摂取が長期間にわたるものであったとしても僅かなものに過ぎなかったという。

メルボルン大学およびオーストラリア国立大学精神保健研究所の研究者らは、2,000名を越える大麻使用者および非使用者を対象に、大麻の使用が記憶と知能に与える影響を8年以上にわたって様々な観点から評価した。この研究で大麻使用者は次のように分類された。ヘビーユーザー(週に一度以上)、ライトユーザー、元ヘビーユーザー、元ライトユーザー、そして「元ユーザー」すなわちこの研究に参加する前に既に大麻の使用をやめていた人々だ。

研究者らの報告は次の通りであった。「持続的な大麻の節制のために高評価が得られたと見られる項目は即時想起能力評価に関するものだけであり、その傾向は大麻使用経験の無いグループと類似していた。残りの認知能力評価に関しては、教育程度やその他の特性に基く調整を行った後では、いずれも大麻の使用を原因とみなせるような有意な差異が見られなかった。」

彼らは次のように結論付けている。「従って、たとえ大麻使用が長期間にわたるものであったとしても、大麻が認知機能にもたらしたように見える悪影響は実際には元からの要因によるものであるか、そうでなくても可逆的なものに過ぎないように思われる。」

これまでに行われた他の研究でも、長期にわたる大麻使用は神経認知機能に関して後遺症を残さないとの結果が示されている。特に2001年にジャーナル"Archives of General Psychiatry (総合精神医学)" に掲載された研究報告によれば、10項目にわたる一連の神経認知機能テストを実施したところ、大麻の習慣的な喫煙者であり一週間だけ喫煙を差し控えたグループは、対照群(生涯における大麻の喫煙回数が50回未満)と比べても事実上明らかな違いが見られなかったという。過去にヘビーユーザーであったが三ヶ月間大麻を殆ど(もしくは全く)喫煙しなかったグループも同様、どの試験項目においても、またどの試験実施日においても対照群との有意な差は示されなかった。

そればかりか大麻はアルコールによって引き起こされる認知能力障害に対して神経防護作用を示すという事実も数々の研究により示唆されている。サンディエゴ、カリフォルニア大学の研究者らによる 2009 年の研究報告によれば、多量飲酒者であり大麻も喫煙する者は、アルコールのみを摂取する者に比べて脳の白質に受けている障害が著しく軽度であった。

より詳しい情報についてはNORML副事務局長ポール・アルメンターノ(paul@norml.org) にお問い合わせ下さい。研究報告の全文は "Cannabis use and cognitive function: eight year trajectory in a young adult cohort(大麻の使用と認知機能: 若年者における八年間の軌跡)" の表題でジャーナル"Addiction" に掲載されています。

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Source: NORML NEWS
Long-Term Marijuana Use Not Associated With Deficits In Cognitive Performance, Study Says
Thursday, 28 July 2011

翻訳:PHO 大麻に脳機能障害をもたらすような作用は存在しないという事実は、既に多数の研究から明らかにされている事であって、今更の感もある。これ以上何度やっても結果は同じだろう。確かに大麻という植物についての在りのままの事実ができるだけ詳しく客観的に明らかにされる事は言うまでもなく重要であり、事実に基いて物事を判断する傾向を持つ人々は、やがてはそれにより事実を事実として知ることになるであろう。しかしながら人間の社会はそのような傾向を持つ人物のみで構成されているわけではないのであり、控え目に言っても決して少数ではない人々が、事実よりはむしろ信念、より一般的には無信念、不安や恐怖に基いて、物事を判断し、決定する。この問題は科学者の手によっては解決されず、私もまた解決策を提示できない。

かつての日本人は「夜に爪を切ると親の死に目に会えなくなる」と考えていた。「霊柩車を見たら親指を隠さなければ親が死ぬ」とも信じられていた。現代においては、これらの俗信はさほど強固な社会的通念としての地位を保ってはいないように思われる。一方で、「人の性格はその血液型によって決定される」との通説は、依然として広く熱狂的に支持され続けている。通説というものはそれぞれ固有の存続期間を持つようであるが、いつになればその期間が満了するのかについてを事前に知る事は難しい。他者に危害を与えたり、他者の権利を侵害したりしないのであれば、合理的な根拠が有ろうと無かろうと何を信じるのも完全に自由だ。「自分はこのように信じるが、他人には他人の考えがあるだろう」とするような或る種の分別ある態度が保たれている限り、その事によって災いが招かれる恐れはない。だが仮に例えば熱心な血液型性格決定論者らの働きで「B型の者は茶を飲む事を禁ずる」などといった法令が制定されたとすれば、その信念は明らかな害悪をもたらした事になる。そんな事態は有り得ないと思うだろうか。だが似たような事は現実に起きているのだ。





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