インドネシア・バリ島の刑務所に収監されている日本人、マナリ亭 茶楽助(まなりてい ちゃらすけ・仮名)氏の獄中記を掲載します。
この連載は、同氏が収監されているクロボカン刑務所から写真添付で送信されたものです。刑務所でスマートフォンを使えて、暴動の様子を写して外部に画像や動画を送れるというのは、日本社会よりクロボカン刑務所のほうが報道の自由が保証されているのではないだろうか、などと思ってしまいます。
※登場人物名は全て仮名です。
★ぷろふぃーる…?★
マナリ亭茶楽助(まなりてい ちゃらすけ)
1975年3月 福島県相馬市生まれ
15歳の時仙台へと家族で夜逃げ
仙台での暴走族時代から興味を持った物事にはとことん集中、研究、追究する癖を持つ。この時代の暴走族の改造車両は殆どが盗難車両、盗難にかけてはチーム内で一番の腕、仲間うちからは「ルパン」と呼ばれていた。
その時分初めてシンナーの吸引を覚え、シンナーにハマる、と言うよりは、幻覚やトリップにハマリ出す。
シンナーはかっこ悪く思えてきて、ブロン錠を二瓶飲み、白いウンコが出て驚く。
19歳で上京して当時東京近郊至る処に生息していたイラン人から、コカイン、LSD,大麻樹脂など買って試すが仲良くなったイラン人からテリヤキ(オピューム、阿片)を教えてもらい、よりレアなテリヤキに興味を覚える。
その後は盗難は辞めて東南アジアに旅行を始める。
インドが気に入って長く滞在するようになる。インドでは二度の逮捕歴を持つ。
懲りずにインドネシアでも逮捕され今に至る。
第1回 クロボカンジェイル暴動見聞録(1)
インドネシアはバリ島、そこで一番大きな規模を持つ刑務所「ラパス デンパサール」。そこには大小含めた棟(ここではブロックと呼ぶ)がA,B,C-1,C-2,D,E,F,G,H,I,J,K,W(これだけが女性房)と全部で13ブロックに囚人が居住しそれ以外にもクリニックやモスク、教会、ヒンドゥーテンプル、仏教徒の礼拝所、工房や多目的広場がある。テニスコート、バスケットコート、バレーコートもある。
左上がブロックB。右隣りがブロックA。その右小さな長方形がブロックK。その右三つ連なっているのが燃えてしまったオフィスや面会場。その右の多角形が多目的ホール。ブロックBの下がC-1とC-2。その下がクリニック。次がD。そしてブロックIまで続き。テニスコートの右隣りがJ。多目的ホールの右隣り、長方形とL字が女性房のW。それ以外に見える屋根は工房です。
収容人数の公式キャパは320人となっているが実際には1000人以上、3倍以上の囚人が所狭しと居を共にしている。
2月21日 21時
俺はブロックB(収容人数57人)でも気の合うオージーのミッキーと二人、ギャラクシータブ7インチでフィルムを観ていた。すると隣のブロック(この時はAかC-2かは解らない)から尋常ではない騒ぎがきこえた。叫び声、鉄の破壊音…。ブロックBの皆も何事かとゲートの方まで観に集まっている。
我々が最初に思ったのは、「また…か?」だった。それは去年2011年8月に起こった暴動騒ぎだ。C-2ブロックの者たちが夜中の2時にテレビカメラを引き連れた麻薬取締隊に部屋のチェックをされた事が発端となった暴動騒ぎだ。すでに檻の中の者に対し何故?夜中の2時に何故?テレビカメラと一緒に…刑務所側のあまりの傲慢不遜なやり方に囚人達がブチ切れての事だった。その時は、夜明け前に刑務所側と囚人側が和解に至り今回程の騒ぎには至らなかった。
因みにブロックC-1とC-2には「ラスカルバリ」と呼ばれるマフィアというか政治結社というか、とにかくバリで一番有名なファミリーのメンバー達が多く居住している。
前回もそうであったが(女性房のブロックWを除く)全てのブロックのゲートが破壊され囚人達全員が外に出れる。普段は18時には各ブロックのゲートは翌朝6時まで閉ざされているので夜の空気を吸えるというのは、やはり気分がイイ。だから全員が外に出る。すると身の危険を感じたプリズンガードらは、撤退し外から鍵を締める。
普段から鬱憤を溜めた囚人達はココぞとばかりに暴徒と化す。オフィスに投石し破壊しそれがエスカレートした一部の者が油を撒き火をつける。
角材を持ち、投石用の石を入れたバケツを持ち歩く者たちがそこらにウロウロしている。
前回もそうであったがきっと今回も騒ぎの後数日間は飲水や洗水に不自由する事になるであろう、と、そう思ったのも束の間、オフィスに隣接する電気室にも火が燃え移りブロック全部の電気がダウンする。真っ暗闇だ。
オフィスが燃えてます
火はドンドン燃え上がり屋根よりも高く燃え上がっている。火の粉が飛ぶさまが綺麗に見えた。
屋根が焼け落ちた瞬間(下)ですが、iPhone3Gなのでフラッシュが付いていないのであまりよく見えませんね。
コレも同じ場所からです。
すいません、恐くてあまり近づけなかったんです。
(つづく)
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