大麻にワインと同等な規制を適用する法令案(米国カリフォルニア州)

投稿日時 2012-04-25 | カテゴリ: 海外情報

THC編集長 麻生しげる

今年2012年、米国はカリフォルニア州で「大麻にワインと同等な規制を適用する法令」という要望書がカリフォルニア州司法省、検事総長事務局へと提出されました。この新法案は要するに、大麻をワインのように管理・課税して、財政難のカリフォルニア州を潤そうという試みです。残念ながら、今年はカリフォルニア州では同種の法案が溢れかえる、という状況で、なかなかひとつの候補にカリフォルニア州民が絞り込めなかったのが、署名運動と献金支援活動の失敗の要因として考えられます。しかしながら、既にワシントン州とコロラド州では同種の法案が2012年の住民投票にかけられることが決定しています。それも破竹の勢いで日々の世論調査の数字は大きく大麻合法化に傾きつつあります。これが日本への追い風となればいいですね。
本新法案はどうやら2014年にカリフォルニアで住民投票にかけられそうです。その時には間違いなく、本法案は通過することでしょう。その時に、連邦政府がどう出るのか。それとも、既にその意思表示を始めているのか・・・。
少なくとも、本法案は、日本で大麻をどう制度的に落とし込むのかの参考になると思います。

(翻訳:PHO)

2012年度・大麻にワインと同等な規制を適用する法令


ワインと同等な大麻法規制委員会による起草
96151 カリフォルニア州 サウス・レイク・タホー 私書箱13591号
州キャンペーンID番号 133688 ・ 電話 415 830-6070

2011年8月30日

検事総長事務局
カリフォルニア司法省
公的調査部宛て
私書箱 944255号
94244-2550 カリフォルニア州サクラメント

検事総長カマラ D. ハリス殿

本法案を以上の議題と次の草案の通り、書面にて提案するので、受理を要望するものである。

慎んで提出する
発議責任者 ジェームズ P. グレイ
主任弁護士 ウィリアム・マクパイク
公認会計士 ステファン・コレット
キャンペーン責任者 スティーブ・カービー

2011年9月2日受領
検事総長事務局 発議調整官

2012年度・大麻にワインと同等な規制を適用する法令

カリフォルニア州住民は次のように法令を制定する:
第一項: 事実・宣言・目的・方針・命令

第 11420 項を安全衛生規定 第 6.8 章「大麻の規制と課税」として追加する。
この項は「2012 年度・ワインと同等な規制を大麻に適用する法令」の呼称で参照されるものとし、以下これを「法令」と呼ぶ。

(a) カリフォルニア州住民は次の事実を宣言する:

(1) 大麻の違法化は違法薬物市場を作り出し、暴力団、薬物カルテル、そしてテロリストを富ませる事となった。これは暴力、捜索および押収に対する権利の侵害や汚職といった結果をもたらし、世界で最も高い投獄率を有する上での一因となった。

(2) カリフォルニア州において大麻は手付かずの歳入源である。全てのカリフォルニア州住民の利益のために新たな歳入源を作り出す上で最も有効な方法は、ワインと同等な規制と税制を大麻に適用する事である。

(3) 大麻の法的管理は暴力団およびカルテルの違法な活動を縮小せしめ、農業を促進し、麻産業の再建により雇用機会が創出され、法執行機関および裁判所の運用コストおよび過剰な投獄人口を減少させる事によってカリフォルニア住民の利益となる。

この法令は次に挙げる全ての項目を実施する:

(1) カリフォルニア州安全衛生規定第11357,11358,11359,11360,11361,11485項、交通規定第23222項 (b) を無効化する。安全衛生規定第11364項から第11375項、第11366, 11366.5項、第11469項から第11495項、第11532(b)(7),11590,11703,11999項から大麻についての規定を削除する。21歳以上の成人および承認を受けた事業体は、大麻の使用、所持、売買、製造処理、梱包、贈与、販売、配布、保管、移動、製造、栽培を今後は禁止されない。この法令の規定するものは権利であって弁護ではない。

(2) 次の行為について一件当たり 2,500 ドル以下の罰金を定める。

(A) 21 歳未満の者による、またはそれらの者に対する大麻の販売または配布。

(B) この法令で認めている販売その他の商業活動のうち、この法令の定める規制制度を逸脱した行為。

(3) 安全衛生規定第11054項において明示的もしくは暗黙に規制薬物として記載されている「大麻」「THC」「CBD」の語句を削除する。

(4) この法令は以下の項目に関連する既存の法令について、その効力を制限、無効化、修正、または変更する事はない。

(A) 自動車の運転。

(B) 職場または公衆の場における大麻の使用、もしくは大麻の影響下にあること。

(C) 修正法案第 215 号 (H&S11362.5) に明記されている医療大麻関連規定およびその規定に基く行為。

(5) 21歳未満の者による以下の行為については、いずれも法律違反として2,500ドル以下の罰金を定める。

(A) 1オンス(訳注:約28.3グラム)を越える大麻の所持。

(B) 大麻の栽培。

(C) 1オンスを越える大麻の贈与、共有、配布、販売、保管、または輸送。

(D) 1オンス以下の大麻の所持。この場合には法律違反として 100 ドルの罰金とする。

(6) この法令が認めている行為を行った事を理由としての、家宅捜索、逮捕、起訴、所有物の押収、財産の没収、処分費用およびいかなる刑事的もしくは民事的な処罰、制裁をも禁ずる。

(7) 州アルコール飲料規制委員会は2013年2月1日までにこの法令に基く商業活動の実施のために必要な規制基準および手続きを定め、申請書の提供と受理を開始しなければならない。この規制基準においては大麻農業、商業組織または販売店の設立について、明示的に、もしくは規制の結果としてそれらの活動がワインまたはビールにおける規制や手続きにおける手数料と異なる扱いを受けるように仕向けてはならず、また不当に実現不可能なものにしてはならない。アルコール飲料規制委員会が同日までに必要な手立てを取らなかった場合には、同委員会はワインおよびビールにおける既存の申請書から「ワイン」「ビール」「アルコール」の単語を「大麻」に置き換えたものをそのまま受理しなければならず、そして受理した申請書が六日以内に処理されなかった場合には、それは自動的に承認されたものと見做される。

地方自治体は商業活動に対し、ブドウ農園、ワイン醸造所、ワインおよびビールの流通、販売における場合よりも高額もしくは追加の手数料を設定したり、それよりも厳しい量的制限、配置規則、地区規制、承認条件を設けてはならない。商業的栽培、含有製品の製造および流通については、この項に定めた規定およびその目的と矛盾せず、また手数料がワイン産業活動に類似のものと等しいもしくは低額なものである場合に限り、その活動における免許制度を導入しても良い。アルコール飲料規制委員会がそれらの規制を定めなかった場合には、商業活動を行う個人または法人に対して 11420 (b)(2)(B) に定められた罰則を適用してはならない。

(8) この法令によって廃止された規定に基いて行われた訴訟のうち現時点で審理中となっているものは、全て棄却されたものとして確定する。

(9) 州および地方裁判所は、学校から600フィート内(訳注:約183メートル)および住宅地区内における加工処理、流通、販売、屋外での使用に対する規制を定めても良い。

(10) 遺伝子操作された大麻およびその種子を用いての実験およびそれらの開発、研究、試験、栽培、販売、所持は、カリフォルニア州全域で禁止される。

第二項:規定

(a) この法令は、大麻およびその濃縮物、またTHCの定義として安全衛生規定11018および 11006.5 に現在定められているものを採用する。ただしそれらの定義は品種としてカンナビス・インディカ、ルデラリス、アメリカーナを含むように、また植物の任意の部位、形態、派生物、種間雑種、交配種、および遺伝子操作されたものを除くカンナビス属の全ての種を幅広く含むように解釈されなければならない。

(b) ブドウ農園、ワイン製造業、農産物の製造業、仲介業、流通、卸売、小売、農作物および製品の商取引に課す事のできる州税および規制は、それらと類似のものを大麻に対しても適用して良いが、その場合にはブドウの栽培やワインの製造を例に、この法令による宣言とその目的に沿った形で、THC濃度とは無関係に適用しなければならない。

(c) 最終的なTHC濃度が0.3パーセントを下回るような製品の卸売または小売は全て、ヘンプ製品の販売としての承認を受ける。0.3 パーセント以上のTHC濃度を持つマリファナ製品もしくはヘンプ製品の販売は21歳以上の者に対してのみ認められ、この法令による宣言と目的に沿った形でワインと同等の規制が適用される。ヘンプとマリファナは共に農作物として申告される。

(d) カリフォルニア州およびその全ての政府部門は、成人および事業者の利益のために、この法令の意味する所を次のように寛大に解釈した上で法令を施行しなければならない:

(1) この法令の目的とする所を妨害、否認、もしくは禁止する為の課税や手数料、法令、規定、規制、地方または郡におけるゾーニング要件を設定したり、この法令によって承認され、また保護されるような活動に従事する成人、団体、組織、またそれらによって為される営利事業、農業、商業活動を妨害、否認、あるいは禁止してはならない。

(2) 21歳以上の成人は、一人につき屋外では6株まで、屋内では12株までの成熟し開花する大麻を栽培する事ができる他、一世帯につき屋外では12株まで、屋内では24株まで成熟し開花する大麻を栽培する事ができる。
屋内または屋外での栽培に用いる場所は公共に対して隠れた位置になければならない。このようにして栽培された大麻およびその生産物を販売する事は許されない。

(3) この項のいかなる規定も、事業者がその資産に損害を与える行為を禁止する事を妨げる事はない。

(4) この法令は、それと矛盾するようなあらゆる地方条例を優先的に無効化する基準を州全体に適用するものであり、その唯一の例外が地方裁判所に対して安全衛生規定第11570項に基き住宅地および学校の周辺における大麻の栽培を限定的に規制する事を認めるというものである。地方条例では上記(d)(2) に定められた大麻の栽培数上限を下げる事は出来ないが、その逆に上限を上げる事は可能である。

(5) 大麻に関連する事業者に対する資格を与える上で、アルコール産業モデルにおけるワイン用ブドウの商業的農業およびワイン醸造所に対して課せられている規制よりも厳しいか、または制限的な規制、課税、または手数料を制定したり負担を与えたりしてはならない。

(e) 州や地方自治体において選挙で選ばれた、または指名された、または雇われた従業員、役員、および当局者は、大麻の撲滅を試みたり、押収や没収などの活動を行ったり、この法令を寛大に解釈した所による目的を無力化しようとするような連邦政府、地方公務員もしくは職員、ボランティア、あるいは従業員に対し直接的にも間接的にも協力もしくは援助を行ってはならず、またいかなる州当局または地方機関も、この法令に定められた規定の下で栽培され、加工され、もしくは保管されている大麻の根絶を請け負ってはならない。

(f) 州司法長官事務局および公衆衛生省は、この法案が成立してから30日以内に米国保健社会福祉省、米国司法長官、連邦議会、米麻薬取締局および食品医薬品局に対して次の旨を通知しなければならない。カリフォルニア州は1996年に現在行われているような医療大麻を用いた治療法を承認しており、そして1996年より州の認可を受けた医師に対し大麻を用いた医療行為を認めている。

医師達は何千人もの患者に大麻の使用を奨めて来た。それ故に、入念なる審査の結果、以下の通り(カリフォルニア州民は)所望するものである。すなわち大麻はそれが社会的に妥当であるが故に、大麻やテトラヒドロカナビノールが麻薬取締法スケジュール1から除外されるものとする。現在の法案に示されているように、大麻にはアメリカの国家にとって有益なる薬効が一切なく、中毒性の高い麻薬として指定されている条例もすべて排除するものとする。

(g) カリフォルニア州は、個人、当局、市、郡、州または連邦政府から為されるどのような異議申し立てもしくは訴訟からも、この法令にある全ての規定を保護し、弁護するよう命じられる。

(h) この法令では医療大麻および最終 THC 濃度が 0.3 パーセントを下回る製品に関するものを除き、大麻の販売、流通、使用に関するいかなる商業広告も禁じられる。この規定は議会によって今後明文化されるであろう罰則を以って施行される。

(i) この法令は可決された時点より効力を持つ。

第三項: 可分性

もしこの法令に何らかの理由で無効もしくは違憲とされるべき理由を持つ規定全体またはその一部分が存在したとしても、残りの規定についてはその影響を受けず、完全に効力を持ち続ける。そのようにしてこの法令の規定は可分性を持つ。





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