コネチカットの医療大麻法はどのように機能するのか?

投稿日時 2012-05-21 | カテゴリ: 海外情報

先の金曜日、約10時間にわたる議論の末、コネチカット州上院議会は、21対13で医療大麻を合法化する法案を承認した。同法案は、4月25日、91対56で下院を通過したもの。そして今後法制化されるには、州知事の署名が必要だ。法制化された場合、その法律はどのように機能するのか。


Q. 法制化されれば、どういう人が医療大麻を使用する資格を得ることができるか。

A. 資格を得るには、以下の病状が悪化していること、または、消費者保護省、および設立されることになる医師の委員会が認める病状・疾患または薬物療法を受けていることを証明する医師の診断書が必要になるだろう。
・ ガン、緑内障、HIV、エイズ、パーキンソン病、多発性硬化症、難治性けいれんの他覚的な神経性適応症にともなう脊髄の神経細胞の損傷、てんかん、悪液質、消耗症候群、クローン病、または心的外傷後ストレス障害など
患者は要18才以上。また囚人は、どのような病状でも対象外になると思われる。

Q. 医療大麻の恩恵を受けられると思われる他の病状についてはどうか。

A. 神経学、疼痛医学、疼痛管理、内科的腫瘍学、精神医学、伝染病、家庭医学、婦人科のうちいずれかが専門で、資格のある内科医師、外科医師など、8名の医師の委員会が設立され、大麻の使用で症状緩和が見込まれる病状や疾患を追加的に決定できることになる。また、委員会に対する請願や、検討中の追加対象について意見する手続きも確立されることになる。

Q. 患者は、医療用に認可された大麻をどのように手に入れるのか。

A. 医療用大麻は、医師の診断書がある患者に対して、認可を受けた薬局しか販売できないことになる。資格がある患者およびその主な介護者は、消費者保護省への登録を義務付けられている。主な介護者になる人は、過去に規制薬物に関わる違法行為を犯している場合、登録が許可されないことになる。

Q. 医師は、大麻を処方するのに何が必要か。

A. 医師は、患者との真の関係性の中で、患者の病歴や病状に基づいて、患者を最優先にした医学的に妥当な評価が必要になる。医師は、有資格者と診断した患者(または、法的能力が欠けている場合は、両親か保護者、法的親権保持者)に対し、症状緩和の医療大麻が持つ危険性や利点を説明しなければならないことになる。

Q. 州内の薬局がすべて、医療大麻を販売することになるのか。

A. いいえ。認定薬局は、消費者保護省の長官から販売免許を受けなければならないことになる。長官は、同州にいる有資格患者のニーズに合わせて、免許の適切な交付上限数を決めることになる。長官はまた、薬局の販売免許の更新期限(最低2年ごと)や免許登録費、販売所の立地禁止地域などについて、規定を設けて改良していくことになる。このうち、販売所の立地禁止区域は、小売酒販店の立地に関する基準をもとに設定される。

Q. 大麻を栽培してよいのは、どういう人か。

A. 消費者保護省の長官が、申請者に対し、州内における大麻の栽培と卸の免許を授与することになる。被免許栽培者の数は、常に3名以上10名以下。栽培者になるには、1件の栽培免許につき最低 25,000ドル(返金不可)の申請料が必要で、栽培免許は最低5年ごとに更新が必要になると思われる。栽培者は、安全な室内栽培室で医薬品となる水準の大麻が栽培できること、また、栽培する大麻が転用、盗難されないことを証明しなければならないことになる。

Q. 患者には、大麻の自家栽培が許可されるか。

A. いいえ。

Q. 同州の医療大麻法は、医療保険会社が医療大麻に対応するよう求めているか。

A. いいえ。法案は、対応する必要がないことを明示している。

Q. 患者は医療大麻をどこででも使用できるようになるか。

A. いいえ。法制化すれば、以下のような場所での大麻たばこの使用が禁止されることになる。
・ 公共のバスやスクール・バス、乗用車など、乗り物全般
・ 職場
・ 公私学校、学校構内、学生寮、大学および大学構内
・ 公共の場所
・ 18歳以下の者がいる場所

Q. 患者が所持を許可される大麻の量はどれぐらいか。

A. 1ヶ月分の使用量以下

Q. 土地の管理者は、テナントに対して、医療大麻を取り扱っていることを理由に賃貸を拒否するなど、何らかの対策を講じることができるようになるのか。

A. いいえ。

Q. 学校は、医療大麻の使用資格を持っていることを理由に、入学志望の生徒を拒否することができるようになるか。

A. いいえ。

Q. 雇用者は、医療大麻を使用していることを理由に、入社志望者の不採用を決めたり、社員の解雇を決めたりすることができるようになるか。

A. いいえ。

Q. この法案についての主な賛成論はどのようなものか。

A. 病状が悪化している患者の中には、重大な副作用を持つものなど、これまで多くの処方薬を試してきたが失敗し、医療大麻だけが病状を緩和してくれると訴える人がいる。医療大麻合法化の賛同者らは、医療大麻が低コストで、食用加工でき、チンキ剤や塗り薬として、またヴェポライザーで使用できるなど、さまざまな形で使用できる(ほとんどの病状において大麻たばこは最も望ましくない)天然の代替医療法なので、医者も患者も選択肢として提供されるべきだと主張している。また、賛同者らによると、連邦政府は今のところ、州法など、地元の法律を遵守している患者や栽培者、介護者、販売者などについては、違法性を追求していない。コネチカットNORMLの理事長エリック・ウイリアムズは、医療大麻が合法化されているすべての州では、十代の若者の大麻使用が減っていて、若者へのメッセージは、コネチカットが情深い州だということになるだろうとしている。

Q. この法案に対する主な反対論はどのようなものか。

A. コネチカット州医療学会は、医療大麻にどの程度効能があるかを適切に判断するには、さらに研究を重ねる必要があると主張している。また、同学会は、細菌や農薬による汚染だけでなく、品質管理や標準化についても懸念しており、患者らが安心して使用できる、安定した品質のものを毎回服用できるとは考えていない。連邦検事デヴィッド・ファインは、同州の州法は、連邦法に反する行為を認可し、規制薬物の所持や製造、輸送を規制する連邦政府の尽力を台無しにすることになるとしている。また同氏によると、司法省は、大麻を使用している重篤の患者らには焦点は当てず、連邦法に違反することになる栽培施設や販売所を捜査の対象にすることになる。合法化の反対論者はまた、大麻は危険な薬物で、この法制化は若者に間違ったメッセージを送りかねないとしている。

Q. コネチカット州議会が医療大麻法案を通過させようとしたのは、今回が初めてか。

A. いいえ。2007年、まず1つ目の医療大麻法案が議会を通過したが、ジョディ・レル知事(当時)がその署名を拒否した。昨年、ダネル・マロイ知事は、有資格患者による医療用大麻の自家栽培を許可する法案を支持したが、法制化には至らなかった。しかし同年、議会では少量の大麻所持を非犯罪化することが承認されている。

Source: Medical Marijuana: How Will The Law Work?

Medical Marijuana: How Will The Law Work?

By NANCY SCHOEFFLER, nschoeffler@courant.com The Hartford Courant
8:36 a.m. EDT, May 5, 2012

翻訳:bongyo





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