2011年12月15日
カリフォルニア:サンディエゴ 科学ジャーナル「Brain Research」の臨床試験データによると、大麻吸引がHIV感染患者の血中で食欲ホルモンレベルの増進に関連すると報告された。
サンディエゴにあるカリフォルニア大学と医療大麻研究センターの研究者達は、HIV感染成人患者を対象とし、食欲ホルモンであるグレリン(胃が生成する消化管ホルモン)、レプチン(食欲抑制ホルモン)、ペプチド(アミノ酸の結合物)そして、インシュリン(膵臓ホルモン)の大麻吸引時の影響について評価した。インシュリン、グレリン、ペプチドとレプチンは食事の摂取とエネルギーホルモン状態の調整に応じて個々に作用するものである。
研究者は次のように報告した。「偽薬試験に比べて、大麻による試験はグレリンとレプチンの血しょうレベルの大幅な増加とペプチドの減少に関連している。しかし、インシュリンレベルには大きな影響は見られなかった。大麻影響下におけるこれらのホルモンの変化は一般ボランティアの一日の中での食事摂取の観察結果とかなり類似するものである」
「これらの発見は、摂食障害と肥満の治療の為のエンドカンナビノイドシステム(内因性カンナビノイド)に作用を促す効果の更なる研究を進めるものである。」
詳しい情報は、NORML理事長 ポール アーメンテイノ(paul@norml.org)にお問い合わせください。上記研究の全文は、「Brain Research」に載っている"A pilot study of the effects of cannabis on appetite hormones in HIV-infected adult men,"(HIV成人感染者の食欲ホルモンへの大麻による実験結果)によるものです。
Source: NORML NEWS
Study: Inhaled Cannabis Modulates Appetite Hormones In HIV Patients
Thursday, 15 December 2011
翻訳と補足:みつ
補足:エンドカンナビノイド(Endocannabinoid)とは
人間の脳では「Endocannnabinoid:内因性カンナビノイド」(マリファナの原料となる大麻草の学名Cannabis sativaにちなむ)と呼ばれる天然化合物“脳内マリファナ”を合成している。この内因性カンナビノイドが神経伝達物質のシグナルを受け取ったシナプス後ニューロンから放出され、シナプス前終末細胞のCB1受容体(カンナビノイド受容体/レセプター)に作用・結合して神経伝達物質放出の減少を引き起こす逆行性のシナプス伝達(即ち、神経伝達のフィードバック調節)を担っている。更にモルヒネとは異なる作用機序で炎症性疼痛や神経因性疼痛を抑制(鎮痛作用)し、食欲を減退させる。即ち抗肥満作用があることが判明している。
また、カンナビノイドのはたらきはストレスからのリラクゼーションを与え,慢性の痛みから解放してくれるものでもある。この伝達システムを完全に解明できれば,もっと広範な応用が可能になり,不安,痛み,吐き気,肥満,脳障害など多くの症状を解消する治療に生かせるかもしれないと一部の科学者たちは期待している。 内因性カンナビノイドは脳中枢において、食欲を調節し、脂質代謝を制御する役割も果たしているため、内因性カンナビノイド系(endoocannabinoid system)のCB1選択的にブロックして食欲を抑える新しいダイエットのための薬錠剤も発明されている。 食べたいとかタバコが吸いたいなどの生理的な欲求が出ると、脳内で「内因性カンナビノイド機能」というのが働くことが知られている。
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