大麻の使用により双極性障害(躁うつ病)患者の認知能力が向上するとの研究報告

投稿日時 2012-10-28 | カテゴリ: NORML News

2012年8月9日(木)
ニューヨーク州グレン・オークス ― ジャーナル 精神学研究(Psychiatry Research)のオンライン版で公表された臨床データによると、大麻使用歴のある双極性障害(躁うつ病)患者は、使用歴のない患者に比べて、優れた神経認知能力を示すという。


ニューヨーク州ロングアイランドのザッカー・ヒルサイド病院の研究者らは、ニューヨーク市のマウント・シナイ医科大学とアルバート・アインシュタイン医学校の研究者らとともに、大麻使用歴がある双極性障害の被験者50名と使用歴のない双極性障害の被験者150名について、一連の統一認知尺度による比較をおこなった。患者らは、年齢や人種的背景、最終学歴などについて違いはなく、大麻使用歴がある患者の発症年齢は、使用歴のない患者のそれとほとんど同じだった。

研究では、大麻使用歴のある被験者は使用歴のない被験者よりも神経認知能力に優れていることが判明したが、実際、発病前の推定IQにあまり違いはなかった。

研究者らは、「私たちの分析の結果では、大麻使用歴がある双極性障害の被験者は、神経認知能力、とりわけ注意力や処理速度、作業記憶について、著しく良好な値を示した。今回の調査結果は、大麻使用歴のある双極性障害の被験者が、使用歴のない双極性障害の被験者に比べて、発話流暢性に優れていることを示した過去の研究と一致している。これまで、他にも数件の研究で統合失調症について同じような結果が得られている」と報告。

「このデータは、大麻の使用には、重大な精神障害をもつ患者の認知機能に有効な効果がある可能性があることを示していると解釈できるだろう。しかし、今回の調査結果は、違法な薬物を入手するには、ある程度の認知機能と入手に関連する社会的な能力が必要だったことによる可能性もあると考えられる」と結論した。

詳しい情報は、NORML副理事長ポール・アルメンターノ(メール paul@norml.org)にお問い合わせください。また、この研究の全文 "Cognitive and clinical outcomes associated with cannabis use in patients with bipolar I disorder" は、精神学研究に掲載されています。

Source: NORML News
Study: Cannabis Use Associated With Superior Cognitive Performance In Bipolar Patients
Thursday, 09 August 2012

翻訳とコメント:bongyo
この認知機能の向上が、同じく最近の「統合失調症の精神症状を緩和する」効果や、「トラウマの記憶を和らげる効果」などに関わっているんではないでしょうか。
この研究では、大麻成分カンナビジオールだけではなくて、「大麻の使用」が「とりわけ注意力や処理速度、作業記憶」に有効だとのことですが、個人的には、大麻の使用はこういう能力について総合的にむしろマイナスなのではないかと思っていました。。特に記憶の面で、認知したことをハイでない時にもどう継続させるかが課題ではないかと・・・。





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