米国の2州で大麻が合法化されたのを受け、オバマ大統領がベテラン記者のバーバラ・ウオルターズ女史とのインタビューにてこの問題にはじめて言及した。
政府が大麻合法化の行政的な対応を迫られている現在、大統領は嗜好大麻使用者の逮捕は最優先課題ではない、と語った。
「我々はもっと重大な犯罪者を取り締まるつもりだ。合法化が決まった2州の決定に口を出すことは、合理的ではない」とはオバマ大統領のコメント。
大統領は他にも、個人的には大麻の合法化に賛成ではないものの、この問題は自身の意見を超越したところにある、とも答えた。
「これは大変に難しい問題だ。なぜならば、下院がまだ法改正を行っていないからだ。私は大統領府の頂点にいる。そして法の施行は私たちの仕事の一部だ。しかし、州法と連邦法の食い違いをどうやって解決するかがこの問題の本質だ」
しかしながら、以下の大統領の短いコメントに本音が伺える。
「私の考えとしては、この時点では、住民投票により、ワシントン州とコロラド州にて民意は反映されたように思う」
これは連邦政府が末端の大麻使用者を追訴しないという方向性を示唆するものであろう。連邦政府が(大麻の)単純所持罪で検挙する人数は非常に少なく(年間2~3%以下)、大統領の今回の見解は、医療大麻法案が各州で施行された当初のスタンスに酷似している。そしてオバマ大統領はその後医療大麻(ディスペンサリーなど)の弾圧をブッシュ時代以上に繰り広げることになるのだが、これからの政策は大幅に変わるとの見方が有力で、エリック・ホルダー司法長官の見解も気になるところである。司法長官によると、問題の解決は時間の問題である。米国の大麻関係者はホルダー長官の政策発表を心待ちにしている。昨日、ボストンでエリック・ホルダー司法長官はこう語った。
「州法と連邦法の間に軋轢があるが、近いうちに新しい政策を詰め、発表することになるであろう」
Source:MailOnline
President Obama Breaks His Silence on Marijuana Legalization: We’ve Got Bigger Fish to Fry Than Cannabis Users
by Erik Altieri, NORML Communications Director
December 14, 2012
翻訳:麻生しげる
このインタビューから感じられるのは、オバマ氏が末端の使用者は追訴しないという方針を(各州の医療大麻法案と同じく)約束しているものの、大手の企業化した大麻販売店とか、大掛かりなグロー・オペレーションに手出しをしない、ということには言及していないことだ。医療用大麻には手を出さない、と公約したオバマ大統領はホルダー長官と共に、その公約と覚書を反故にした「前科」がある。一方で、二期目当選のオバマ氏にはもう失う物がないので、約束を守る、との考え方も有力だ。大麻のリスケジューリングも時間の問題ではないか。リスケジューリングしてはじめて州法と連邦法の食い違いを解決出来るのではないか。
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