幼児に対する大麻曝露の薬物検査に妥当性はないとの研究発表

投稿日時 2012-12-30 | カテゴリ: NORML News

2012年8月23日(木)
ユタ州ソルトレイクシティ: 臨床化学ジャーナル(Clinical Chemistry)で公表された研究によると、大麻の薬物検査の結果で誤って陽性となるケースは、幼児以外よりも、幼児の尿サンプルにはるかに多いという。


ユタ州立大学医学部とソルトレイクシティ市のARUP薬物検査研究所の研究者らは、52週間以上に渡り、幼児と幼児以外の尿サンプルについて、免疫学的検定試験の不確定な『陽性』結果の割合を調査した。

研究者らの報告によると、カルボキシTHC(免疫学的尿試験で対象となるTHCの副産物) に陽性を呈した試験結果は、幼児以外に比べ、幼児の尿サンプルについて59倍、その後裏付けられることが少なかったという。全体では、免疫学的検定試験で陽性と評価された幼児の尿サンプルの47%について、後の確認分析の際、カルボキシTHCの検査がおこなわれていなかった。

免疫学的検定試験は、抗体(ある特定の物質あるいはその類似物質に反応するタンパク質)を使用し、ある特定の反応が起こるかどうかを立証するもの。したがって、ある免疫学的検定試験で結果が『陽性』となった場合、ある量の、ある特定の物質がそのサンプル中に存在する可能性があると仮定されるが、実際にその物質自体が存在することを確認するものではない。試験の暫定的な分析結果を確認するには、クロマトグラフィーとして知られる、より特異的な化学試験がおこなわれる。推定試験で陽性となり、その後の確認試験で陰性となるサンプルは、偽陽性といわれている。

ノース・カロライナ大学の研究者らは4月、ジョンソン社の「全身ベビー・ウォッシュ」(Head-to-Toe Baby Wash)や「CVSベビー・ウォッシュ」(CVS Baby Wash)などの各種ベビー用石鹸製品に含まれる化学成分が、たびたび免疫学的検定試験と交差反応し、カルボキシTHCに『偽陽性』となる結果をもたらすと報告している。しかし、今回の研究では、未確定だった免疫学的検定試験結果のいずれもベビー用石鹸からの混入物質によるものではなかった。

研究報告は以下のように結論されている。「私たちは、幼児の尿の検定試験で陽性結果をもたらした化合物が確認されるまで、新生児のカンナビノイド曝露の検知・調査には、代替サンプルの使用を奨励します。幼児のサンプルのうち検査結果が陽性になっても、現在のところ説得力がなく、確認または適切な調査をおこなわない限り、報告に挙げるべきではありません」

幼児は、その母親が妊娠中に違法薬物を使用した疑いがある場合、または実際に薬物検査で違法薬物に陽性となった場合に、同じく検査対象にされうる。しかし、幼児の薬物検査についての反対派の主張は、そのような試験をおこなうかどうか病院スタッフの判断がたびたび主観的なもので差別的になる可能性があるというものだ。例えば、女性の健康に関するジャーナル(Journal of Women's Health)で公表された2007年の研究によると、配偶者がいないことや、健康保険がないことなど、出産条件や社会人口統計学的な要因を調整すると、「黒人女性とその新生児は、黒人ではない母子に比べ、違法薬物試験の対象になる可能性が1.5倍高い」という。

現在、米国の12の州が、出生前に違法薬物に暴露することは児童虐待であると法的に定義している。

詳しい情報は、NORML理事長アレン・セント・ピエール(電話(202) 483-5500)、またはNORML副理事長ポール・アルメンターノ(メール paul@norml.org )にお問い合わせください。この研究の全文 "Unresolved discrepancies between cannabinoid test results for infant urine"は、臨床化学ジャーナルに掲載されています。

Source: NORML News
Drug Tests For Cannabis Exposure Not Advisable For Infants, Study Says
Thursday, 23 August 2012

翻訳:bongyo





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