「ジャマイカ国家ガンジャ委員会がマリファナの非犯罪化を政府に勧告
2001年8月23日(キングスタウン、ジャマイカ)
ジャマイカ政府によって正式に任命された国家ガンジャ委員会は、数ヶ月間にわたってジャマイカ全島で実施された公開・非公開の公聴会の結論として、ジャマイカは成人によるガンジャ(=マリファナ)の個人使用および宗教目的の聖礼典〔サクラメント=洗礼、聖餐など『神の恩恵を信徒に与える儀式』〕における使用を非犯罪化すべきであると勧告した。「人々の間では万能薬あるいは精神性を高める物質としてマリファナの評価が確立しており、文化として根付いているとみなすべきである」と委員会のレポートは評している。
P.J.パターソン首相は9ヶ月前にこの国家委員会を設立し、キングストンのウェスト・インディーズ大学社会科学部学部長であるバリー・チェヴァンス教授を、7人のメンバーから構成される委員会の委員長に任命している。
通説として、ジャマイカの全人口260万人のうち20%から40%の人々がマリファナを喫煙していると考えられており、そのうちの多くは公然と使用している。マリファナをジャマイカに持ち込んだのは19世紀のインド人からの年季奉公人たちであると考えられているが、痛みの緩和のためにガンジャ・ティーとして飲まれたり、ラム酒に浸したマリファナを咳止めや風邪薬として用いられる等々、薬草としての使用がプランテーションの労働者たちの間で急速に広まった。しかし'60年代~'70年代頃になると、ボブ・マーリーらレゲエ・ミュージシャンたちの台頭によって、それまで貧困層のものであったマリファナは広く一般の人々からも受け入れられるようになった。
全てのオブザーバーがこの委員会答申レポートに満足しているという訳ではない。「ガンジャ関連の犯罪はここ何年にも渡って、裁判所の業務を滞らせる負荷となっており、また警察当局が本来取り組むべきクラックやコカイン等の深刻な犯罪にまで手が廻らない状況の原因ともなっている」と、与党「People's National Party(人民国民党)」幹部ポール・バーク氏は言う。「このレポートは、歓迎すべき第一歩ではある」としながらも、「これほど多くの人々がガンジャを使用している国家としては、あまりにも物足りないものだ。ガンジャは我々の文化の一部だ」とバーク氏は付け加えている。
現行法の改正には議会の承認が必要となる。現時点でまだほとんどの議員たちがこのレポートに対してコメントしていないが、パターソン首相の側近閣僚の一人は「私としては、この勧告内容に従うことになると思う」と述べている。
当然のことながら、ジャマイカの米国大使館スポークスマンは「米国としては、マリファナの非犯罪化には反対である」との声明を発表している。
(出典:NORML News Archives)」
「USA Today紙/ギャラップ世論調査--- アメリカ国民によるマリファナ合法化の支持率が過去最高に
2001年8月30日(ワシントンDC)
先週〔8/3~5〕実施された本年度のUSA Today紙/ギャラップ世論調査の結果によると、3人に1人を超えるアメリカ国民がマリファナの使用を合法化すべきと考えている。1995年度の結果では25%であったのが、今回は34%に上昇しており、これはギャラップ世論調査における過去最高の比率となっている。
「アメリカの世論は〔全てのドラッグを無条件に根絶すべしとする、いわゆる〕"ドラッグ戦争"政策にはうんざりしており、もっと別な代替政策を模索している」と、NORML代表(エグゼクティブ・ディレクター)キース・ストロープは言う。「〔成果の少ない規制に要する〕コスト削減、危害の削減〔ドラッグ使用よりも取締による危害の方が大きいという意見〕、そして子供達を守るためにもアメリカ国民は以前にも増してマリファナの合法化を支持している」
アメリカにおけるマリファナ合法化を支持する世論の急激な高まりは、最近のイギリスおよびカナダでの上昇気運に追随するものである。英国インディペンデント紙の日曜版で実施された7月の世論調査によれば、おおよそ半数のイギリス国民がマリファナ合法化を支持している --- 1996年の 26%から大きく増加。カナダでは現在、成人の47%がマリファナ合法化に賛成しており、1990年時点と比較して倍に増えている。両国政府はいずれも、最近になってマリファナの非犯罪化を科学的に研究するための委員会を設立している。
USA Today紙/ギャラップ世論調査結果によれば、マリファナの合法化を支持する意見は18歳~49歳の年齢層、米西海岸エリアの住民、無党派層の間で最も多かった。逆に合法化に反対する人々は中高年層、熱心なキリスト教信者、共和党支持者などの間で最も多く見られた。この世論調査には1,000人以上の成人に対して行われた。
(出典:NORML News Archives)」
「研究報告--- 大麻に対する罰則の廃止は国際協定に違反しない 2001年8月30日(ロンドン、イギリス)
ロンドンのシンクタンク〔各分野の専門家から成る総合研究組織〕が今週〔8/27の週〕発行した法的研究報告によると、各国政府は国際協定により規定されている責務に反することなく、大麻所持やその他の薬物事犯を非刑罰化することが可能であるという。
この研究報告を発表したDrugScopeのロジャー・ハワード委員長(チーフ・エグゼクティヴ)は「国連協定によっていかなる法改正も制限されていると信じられてきたことが、長年にわたりドラッグ法改正の障害となっていた」と述べている。「この研究により、各国政府が国連協定によって厳格に縛られているという誤った認識が払拭され、各国がそれぞれ自身のドラッグ法の抜本的な近代化を図るために、国連協定の範囲内でもかなり柔軟な対応を取れるということが示された」
この『ヨーロッパのドラッグ法 --- その政策の余地』と題された研究報告では、EUの6カ国、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、スペイン、スウェーデンのそれぞれ異なるドラッグ政策を調査・検討している。研究報告の作成者グループは、これら各国のドラッグ政策は国連のドラッグ関連協定に準拠してはいるものの、幾つかの政府はドラッグ所持や小規模の供給〔入手すること、購入など〕に対する処分から懲役刑を除外することに成功している点に着目した。国連協定のいかなる条項も加盟国に対して個人のドラッグ所持を規制する手段として刑法の適用を義務付けてはいないと報告書は結論づけている。
研究報告グループは、政府は逮捕や拘束といった刑事的措置ではなく、むしろ罰金など科すことでドラッグ使用者を規制する方が望ましいとしている。これと同様の政策は、イタリア、ポルトガル、スペインなどで既に実施されている。
NORML財団の法務責任者ドナ・シーアは「米国の11の州、及び多数の自治体は既に少量のマリファナを非犯罪化している。それが国家単位での非犯罪化であっても、国連協定に違反するものではない」と説明している。
(出典:NORML News Archives)」
「研究報告--- マリファナの神経保護作用が確認される 2001年9月6日(ユトレヒト、オランダ)
今週号のニューロサイエンス(神経科学)ジャーナル誌の中に発表された研究報告によれば、マリファナに含まれる幾つかの化合物は、頭部への急性外傷に際して脳細胞を保護する劇的な作用を示したという。研究者の報告によれば、脳内にTHCを注入されたラットは、「投与しなかった対象群と比べて、...神経組織の損傷が著しく減少した」。
科学者らは「これらの結果は、カンナビノイド系には脳の神経変性を食い止める作用があることを証明するものだ」と結論づけている。
NORML財団代表(エグゼクティヴ・ダイレクター)アレン・サン・ピエールは、この調査結果によってマリファナが脳に有害だという誤った俗説が払拭されるだろうと述べている。「この研究は、むしろ事実は全くその逆であることを示している」と彼は言う。
『マリファナ』の著者でもある前NORML財団委員長レスター・グリンスプーン博士は、今回の研究は以前イスラエルや米国で実施され、カンナビノイドを効力の高い抗酸化物質と結論づけた研究結果が正しかったことを裏付けるものであると述べている。彼はさらに、喫煙により摂取した場合でも、おそらく同様の神経保護作用があるだろうと付け加えている。
米国医学研究所(IOM)による1999年の報告書『医薬品としてのマリファナ --- 科学的根拠に基づく評価』の中で、著者らは「カンナビノイドの新しい用途として最も突出しているのが、外傷によって引き起こされる細胞死から神経組織を守る『神経保護物質』としての利用法である」と述べている。
(出典:NORML News Archives)」
「医療用マリファナスプレーが臨床試験で80%の改善率を示す 2001年9月20日(アーリントン、ヴァージニア州)
アメリカ鎮痛アカデミー(AAPM)の本年度の定例会で、あるロンドンの研究者が発表したデータによれば、英国での研究試験に参加した多発性硬化症患者および脊髄を病む患者の80%近いケースでマリファナ抽出物による改善が見られたという。
「実に不思議なことだが、カナビスと人類の長い進化の歴史を経た結果として、この『奇跡の医薬品』が生まれた」GW製薬の会長(チェアマン)ジェフリー・ガイは、研究発表のキーノートスピーチでこのように述べている。マリファナの栽培および医療マリファナの臨床試験を実施するための免許を取得しているロンドンの製薬会社、GW製薬では現在、幾つかの医療用カナビス抽出薬の試験評価を行っており、プラセボを使った二重盲検法による無作為化管理下試験で異なる品種のカナビスの品質、安全性、効力などを評価している。この試験では、被験者はカナビス抽出薬を舌下スプレーとして自己投与する形で摂取している。
ガイ会長によれば、GW製薬でもっとも最近実施された臨床試験に参加した53人の患者のうち、41人〔=77.3%〕にカナビスの「臨床的にみて顕著な治療効果」が認められた---痛み、痙攣、膀胱の疾患、震えが緩和されたことに加え、アヘン薬〔麻酔薬〕の使用が50%削減された。ガイ会長は、今回の実験に参加した患者の多くが「これまで治療が難しいと考えられてきた病状」による苦痛から解放されたという点において「非常に有望である」とこの第一次結果を評価している。
ガイ会長は、改善の見られた41人の患者全員が、臨床試験終了後も継続して長期的に医療用カナビス抽出薬を使用することになったと語った。最近になって、英国医薬局(MCA)--- 米国の食品医薬品局(FDA)に相当 --- は、GW製薬の医療用カナビス抽出薬の安全性を認めるとともに、GW製薬が患者に継続的に投与可能な期間をこれまでの12ヶ月から24ヶ月に延長した。
GW製薬では今秋、英国とカナダにおいて、慢性の痛みに対するカンナビノイド系の治療効果に関する連続的な第三相試験〔多数の患者を対象とした効果と安全性の確認、フェーズIII〕の実施を予定している。なお、現時点において、GW製薬が米国内で臨床試験を実施できる目処は立っていない。
本年度のAAPM定例会ではガイ会長の他にも、「医療カナビスジャーナル」編集長イーサン・ルッソ、「ペイシェンツ・アウト・オブ・タイム」〔『時間の残り少ない患者』、死期の迫った患者の緩和ケア療法におけるマリファナ使用を訴える非営利団体〕の創立メンバーの一人マリー・リン・マーサー、「コモンセンス・フォー・ドラッグ・ポリシー」〔米国ドラッグ政策の見直し/適正化を訴える非営利団体〕代表(エグゼクティヴ・ディレクター)ケヴィン・ジース、1999年のIOMレポートの作成メンバーの一人である米国医薬研究所(IOM)研究員ジャネット・ジョイらが、医療マリファナに関する発表を行った。
(出典:NORML News Archives)」
「研究結果---大麻の長期喫煙者に対する認知機能への影響は見られない 2001年10月18日(ボストン、マサチューセッツ州、米国)
米国医師会刊行の精神医学アーカイヴ10月号に掲載された調査結果によると、長期マリファナ喫煙者(試験前の一週間以上は喫煙を中断)に対する認知機能テストの成績は、非喫煙者のそれと比較して、実質的な差が認められなかった。
調査を実施した研究者グループによれば、長期にわたって日常的にマリファナを喫煙してきた被験者群に対する「10回からなる一連の神経心理学のテストの結果、(生涯を通じてマリファナ喫煙の経験が50回以下の)対照群と比較して、殆ど顕著な差が見られなかった」。かつてのヘビーユーザでテスト実施前の3ヶ月間は殆どあるいは全くマリファナを吸わなかった被験者群もまた、テスト期間中のどのテスト結果を対照群と比較しても特に顕著な差は見られなかった。
ヘビースモーカーの被験者については、使用を中断してから7日目までは、単語の羅列を記憶するテストの結果が対照群より劣っていたと研究者グループは指摘している。
ジョン・ホプキンス大学の研究グループによって以前実施された長期マリファナ喫煙者が受ける影響の可能性に関する調査では「1,318人の被験者群を15年間以上にわたり調査した結果、マリファナのヘビースモーカー、ライトスモーカー、あるいは全く吸わない人たちの間で認知機能の低下における顕著な差異は認められなかった」と結論づけられている。
NORML理事会メンバーであり、「マリファナにまつわる神話と真実」の著者の一人でもあるジョン・P・モーガン医学博士は「たとえ長期間かつ日常的な使用であっても、マリファナの使用が記憶あるいは他の認知機能に悪影響を与えるという信頼に足る証拠はない。...過去30年間にわたる研究でも、重度のマリファナ常習者と全く吸わない者との比較ではせいぜい軽微な認知機能の差が認められるという程度のことしか解っておらず、それぞれの研究結果にはかなりのバラツキがある」とコメントしている。
この研究結果の全文〔英語版〕は精神医学アーカイヴのウェブサイトで参照できる。 (出典:NORML News Archives)」
「英国がマリファナ所持者の逮捕を廃止する方針案を発表---マリファナの法的な再分類を来春までに実施すると英国政府当局トップが言明 2001年10月25日(ロンドン、イギリス)
過去30年間にわたるイギリスの大麻取締法の歴史において初の抜本的な緩和を記す動きとして、内務大臣デイヴィッド・ブランケットは火曜日(10/23)、「マリファナ所持は、もはや逮捕に相当する法律違反ではなくなる」と発表した。新しい政策の下では、マリファナはクラスC、いわゆる「ソフトドラッグ」に再分類され、抗うつ剤やステロイドなどと同じカテゴリーに入れられることになる。
ブランケット大臣は「我々はハードドラッグの取り締まりに注力すべきであるが、現在のところ警察はその時間の大半をマリファナ違反者の処理に費やしている」と述べており、全英のドラッグ違反の逮捕件数の実に70%近くがマリファナ関連であると指摘している。「正当かつ常識的なやり方で、本当に深刻な害をもたらすドラッグに焦点を移す時期に来ている。こうした取り締まりの現状と、カナビスがヘロインやコカインなどのクラスAに分類されるドラッグとは明白に違うものだという事実を踏まえた上で、私は...カナビスを現在のクラスBからクラスCへと分類し直したいと考えている」
法律上、厳密にはクラスCドラッグの所持も最大で2年の禁固刑となり得るが、現実にはイギリスでは少なくとも禁固5年以上に相当する法律違反しか逮捕の対象になっていない。それ故に、マリファナ喫煙者は今後、少量のマリファナ所持によって捕まった場合でも、口頭による警告や裁判所への呼び出し以上に深刻な法的処分を被ることはまず起こりえない。「警察は引き続き国民の行動に歯止めをかける強制力を持ち続けることに変わりはないが、マリファナ所持はもはやその対象ではなくなるということだ」とイギリス内務省のスポークスマンはガーディアン紙に対してコメントしている。
NORML代表(エグゼクティヴ・ダイレクター)キース・ストローブはブランケット大臣の決定を称賛し、実現しつつあるイギリスの政策を「事実上の非犯罪化の実現だ」と称している。「分別ある成人のマリファナ喫煙者に対する逮捕や懲役刑を廃止することで、警察の人員や刑事裁判に要する労力をより深刻かつ暴力的な犯罪に向けることが可能となる」とストローブは述べている。
英国の大麻取締法改正は立法府によって制定されるものではなく、行政命令という形で実現されるとBBCは報じている。この新法〔行政命令〕は来年(2002年)の早い時期には発効となる見通しだ。
今週〔10/23〕の内務省の発表はヨーロッパ各国における一連のドラッグ政策改正の中で最新のものである。今年〔2001年〕の初めにはベルギー、ルクセンブルグ、ポルトガルの各国政府がマリファナの使用と所持を非犯罪化している。これとは対照的に、米国FBIは今週月曜〔10/22〕に、昨年度〔2000年〕のマリファナ違反による米国人逮捕者数は過去最高の734,498人であったことを明らかにしている。
「マリファナ喫煙者を標的にし、非難するという選択を取っているアメリカ合衆国は急速に孤立しつつある。米国の議員らは、ヨーロッパの同盟各国の貴重な教訓から学ぶとことに留意したほうが賢明ではないか。そして、合理的かつ公正なマリファナ政策とは、分別ある成人による使用を非犯罪化することが基本であると認識すべきだろう」とストローブは語っている。
(出典:NORML News Archives)」
「カナダ政府議会がマリファナの非犯罪化を検討--- 議会の過半数はマリファナ喫煙による逮捕を撤廃する法案に賛成していると下院議員がコメント
2001年11月8日(オタワ、オンタリオ州、カナダ)
カナビス非犯罪化の連邦法案の発案者は水曜日、下院議会で第1回討論が開始されている法案に議員の過半数が支持していると公表した。
マリファナに対する刑事罰則を罰金処分に置き換える法案C-344の発案者、下院議員のキース・マーティン議員(カナダ改革保守同盟)はこう語る。「恐ろしく長い間、取締当局と裁判所の人的資源は少量のマリファナ所持違反者の逮捕と起訴の手続きに無駄に費やされてきた。この無益な努力に我が国の人的資源が浪費されている現実に対して下院議会は沈黙を続け、警官達がもっと本当の犯罪を追求できる様に助力することを拒み続けてきた」
かつて刑務所の看守や、医師として緊急治療室に勤務していた経歴を持つマーティン議員は、今回この法案C-344に対して議員の2/3が支持を表明していると語っている。マーティン議員が下院議員たちに説明した提案は以下のようなものである。「マリファナの所持が見つかった場合、所持者はその回数に応じて、初回は$200、2回目は$500、3回以上の違反の場合は$1,000の罰金を科せられる〔全てカナダドル、$1=\78程度〕。検挙者が法廷制度で裁かれて有罪判決を受けることはなくなるので、犯罪記録にも残らない」
カナダ警察署長会やカナダ王立騎馬警察隊、カナダ医学会、キリスト教評議会などの警察団体や保健団体がマリファナ取締法の緩和を支持している。さらに、76パーセントのカナダ国民がマリファナ所持は刑事事犯とすべきでないという考えに同意している。
カナダ下院議会は年明け早々にもこのマーティン議員の法案を採決する可能性がある。
(出典:NORML News Archives)」
「研究結果--- マリファナ喫煙後の認識機能・行動の正確性には影響が出ない 2001年11月8日(ニューヨーク、ニューヨーク州、米国)
神経生理薬理学の専門誌「Neuropsychopharmacology」11月号に掲載されたコロンビア大学の研究結果によると、慣れているユーザーの場合、マリファナ喫煙は反応時間・記憶・暗算などを含む複雑な認識機能テストの作業成果に対して、実質上ほとんど影響しないという。
認識機能における柔軟性、論理的思考、あるいは暗算(能力)などのテストでは、マリファナ(の使用)によって課題を解くまでの時間が長くなったり、早とちりをするケースが増えるが、「正確さ」への影響は見られなかったと本研究は結論づけている。マリファナ摂取の即時的反応により精神運動や単純な認識機能の調査で「正確さ」に比較的軽度の減退が見られたことは、これまでの他の研究結果とも一致する。今回の研究結果はそれら過去の結果に対して、より複雑な認識機能においてはマリファナ喫煙の影響は軽微なものであることを示している。
18人の被験者が、この3つのセッションからなる研究に参加した。それぞれのセッションの中で、被験者たちはまず反応時間、集中力、記憶、空間視覚の処理、論理的思考、柔軟性、および暗算など様々な領域にわたる、コンピュータを使った一連の認識機能テストを実施して基準値を得る。その後、被験者たちに0%~3.9%のTHCを含むマリファナジョイントが2重盲検方式で投与され〔誰に何%のジョイントが渡されたか、渡した方も渡された方も判らない〕、その20分後に再度、認識機能テストを行う。
この研究では、マリファナ喫煙後のテストで正確さについては変化が見られなかった。研究報告者は「今回の研究結果の総括として、...マリファナ喫煙によって認識機能に関する正確さに影響が見られなかったということは、日常的なヘビーユーザーであっても『DSM-IV、精神疾患の診察および分類マニュアル第4版』に記されているマリファナ中毒の従来の判定基準である「複雑な認識機能において減退が認められる」という要件を満たさないことになる」と結論付けている。
今回の研究結果は、先に「精神医学アーカイヴ」10月号に掲載されたハーバード大学の研究者らが発表した「一週間以上使用を中断すると、マリファナの長期喫煙者が示す認識機能テストの結果は非喫煙者と同じレベルに戻る」という結論に続くものである。以前にボルティモアのジョン・ホプキンス大学の研究グループが発表したマリファナと認識能力に関する調査では、1,318人の被験者群を15年間以上にわたり調査した結果、マリファナのヘビースモーカー、ライトスモーカー、あるいは全く吸わない人たちの間で認識機能の低下における顕著な差異は認められなかったと結論づけられている。
(出典:NORML News Archives)」
「西オーストラリア州政府がマリファナの非犯罪化を導入すると州首相が発表 2001年11月27日(パース、オーストラリア)
西オーストラリア州政府は本日、個人使用目的でのマリファナの所持と栽培を非犯罪化する法律制定に関する計画を発表した。
ジェフ・ギャロップ州首相(労働党)は「州政府としては、取るに足らないマリファナユーザーたちに刑事犯の有罪判決という不名誉な烙印を押すべきではないという見解に同意する」と語った。ギャロップ州首相は、来年施行されるこの新しい法律の下では「個人使用目的での少量のカナビス所持は罰金の対象となり得るが、犯罪記録には残らない」と説明している。
ギャロップ州首相によると新法施行までの期間、州政府は西オーストラリア州全域において25グラム以下の大麻所持あるいは2株までの大麻栽培を「刑事事件として扱わない警告システム」を導入するという。このようなシステムはかつて、西オーストラリア州の都市圏に限り実施されていた。
近年では、実質的にオーストラリアの8つの州すべてにおいて、何らかの形でマリファナの軽微な違反に対する非犯罪化が導入されている。
(出典:NORML News Archives」
「調査結果 --- カジュアルなドラッグの使用は有害性が低い 2002年3月28日(ロンドン、イギリス)
ロンドンの外交政策センター(Foreign Policy Centre)のシンクタンクは、マリファナを含む薬物の使用者のうち、有害な影響を受けている者はほとんどいないとす)る報告書を発表した。レポートはFrom War to Work: Drug Treatment, Social Inclusion and Enterprise(戦争から仕事へ:ドラッグの治療・社会と企業への受け入れ)と題されており、ドラッグの取り締まりの焦点をカジュアルなドラッグユーザーから治療不能な麻薬依存者および特定の麻薬犯罪へシフトさせることを提案している。
著者のロウェナ・ヤング(カライドスコープ麻薬治療所長)は、 「ドラッグ使用者の大半は深刻な問題を経験することなくドラッグを使用している」と言及している。報告書は、ほとんどの違法ドラッグ使用者はドラッグの使用が自制できなくなる前に自ら使用を絶つことができていることについて言及するとともに、「国家および国際レベルで、真に問題のある麻薬の使用と麻薬に関連した犯罪に専念し、問題に発展する可能性の低い嗜好品としてのドラッグ使用者に対しては、取り締まりを緩和する」ように取り締まり当局に対して勧告している。
外交政策センターの発表の数日前には、イギリス国会の「ドラッグ誤用に関する国会協議委員会」(ACMD: Parliament's Advisory Council on the Misuse of Drugs)が、内務省が進めているマリファナを所持しても逮捕に至らないクラスに再分類する努力をサポートする報告書を公表した。さらに、内務省の委員会が公表を予定している報告書でも、マリファナ、場合によってはエクスタシーを含む他のドラッグに対しても同様の勧告がなされることが予想されている。この報告書は今年の晩春に公表される予定である。
(出典:NORML News Archives)」
「研究結果--- 大麻の自動車運転能力への影響は微小 2002年3月28日(バークシャー、イギリス)
イギリスとオーストラリアで最近実施された、2つの研究の結果、大麻が運動機能におよぼす影響はアルコールと比べても低く、ほとんど交通事故の原因になっていないことが確認された。
イギリスの交通研究所(TRL:Transport Research Laboratory)により実施された研究では、大麻の影響下にある運転手の方が、アルコールの影響下にある運転手よりも高い運転能力を示す結果が得られた。研究員の報告によると、大麻は運転手が正確に車を操作できる能力に影響を与えるものの、運転手の反応速度やその他の運転能力を示す数値には影響を与えなかった。また、アルコールの影響下にある運転手とは異なり、大麻の影響下にある運転手は自らの運転能力の低下を自覚しており、慎重に運転することによって運転能力の低下を補おうと試みる傾向があることが明らかになった。
約一年前に、同様の準備試験がTRLにより実施されたが、今回の試験は準備試験で得られた結果を肯定する結果となった。
オーストラリアのUniversity of Adelaide(アデレード大学)臨床薬理学部による研究でも同様の結果が得られている。「アルコールは圧倒的に最大の交通事故の要因となっている。...一方、...大麻は交通事故の要因にはほとんどなっていない」という事実が確認された。また、交通事故による負傷者2,500人に対する過去の調査結果でも大麻が原因となっていたことがほとんどなかったことが明らかになっている。
NORMLの財団エグゼクティブ・ディレクターのアレン・サン・ピエール氏は、イギリスとオーストラリアで得られたこれらの結果は特に驚くべきものではなく、「大麻が運動機能へ及ぼす影響は、処方薬や疲労をもたらす他の合法的な要因と同じレベルのものであるという我々の認識を肯定するものだ」と発言している。
(出典:NORML News Archives)」
「カナダでのIQ調査結果--- 過去の大麻使用は知能に悪影響を及ぼさない 2002年4月4日(オワワ、オンタリオ州、カナダ)
今週のカナダ医師会ジャーナルに掲載された調査結果によれば、マリファナの喫煙は、たとえそれが長期にわたるものであっても知能に害を及ぼさない。
調査グループは、かつて平均して過去38週間に5,793本のジョイント〔≒1日に5本〕を吸い続け、現在では使用していない被験者群の知能指数(=IQ)に測定し得る悪影響が出ていないことを報告している。現在も1週間に5本以上のジョイントを吸い続けているヘビーユーザー群には僅かながらIQ値の減少が見られたが、それでも彼らのスコアは同年齢層の平均値を上回っていた。
レポートの報告者はマリファナがIQに与える悪影響が軽微であることを「特筆すべきもの」と言及しており、「マリファナは知能全般に対して、長期にわたる悪影響を及ぼさないと結論づけられる」と書いている。
過去に実施された、認知機能に対するマリファナ使用の影響を評価した調査でも同様の結論が出ている。最近では、米国の「精神医学ジャーナル」に掲載された研究結果によって、マリファナ喫煙を中断後一週間以上経過した被験者の認知機能テストのスコアとノンスモーカーのスコアの間には差異が見られないことが確認されている。さらに、1999年にアメリカ疫学ジャーナルが1,300人のボランティアを対象に行った調査では、過去15年間にわたるマリファナのヘビーユーザー、ライトユーザー、およびマリファナを全く使用しなかったノンユーザーの間で認知機能の低下に関する顕著な差異は見られなかった、と結論づけている。
(出典:NORML News Archives)」
「英国下院がマリファナ再分類を支持--- マリファナの有害性に関する「誇張」を止めるべきと下院特別委員会がコメント 2002年5月23日(ロンドン、イギリス)
昨日発表された内務省自治委員会による報告書の中で、英国下院議会はマリファナ所持を「逮捕をされ得る違反行為」の対象から外す具体案を承認した。この政策提案は、2001年10月の内務大臣デイヴィッド・ブランケットによる提言および今年3月に下院議会の薬物濫用防止委員会(ACMD)から出された要望に応えるものである。
「我々は...マリファナをクラスBからCへ再分類する内務大臣の提案を支持する」というのが委員会の結論である。この計画では、「マリファナの所持はもはや『逮捕され得る違反行為』ではなくなる。すなわち、令状なしでの敷地内に侵入したり、捜索するといった逮捕に伴う様々な捜査上の強制力も発生し得ないことを意味する。また、警察にとっても、限られた時間と労力を他のより危険なドラッグへの対策に充てられるようになる」
イギリスの法律では、違法薬物の中でクラスCが最も有害性が低いものとして分類されている。厳密にはクラスCの違法薬物の所持は最長で禁固2年の刑事罰となり得るが、イギリスでは禁固5年以上の刑事罰に相当する犯罪でなければ「逮捕され得る違反行為」にはならない。
下院議員らによれば、今回のマリファナの再分類は、コカインやヘロインなどのハードドラッグとは違い、マリファナの健康へのリスクが最低限のものであるという事実を認めるものだという。「マリファナの有害性をことさらに誇張しても何ら得るものはない。むしろ逆に、こうした誇張によって、より有害なドラッグに関して我々が伝えたいメッセージの信憑性を落とすことになる」と英国下院は判断した。
下院薬物濫用防止委員会は3月の時点でこれと同様の結論を出していた。「現在のマリファナの法的分類は、マリファナに内在する有害性およびマリファナと同じクラスBに分類されている他の薬物(アンフェタミン等)の害と比較して、明らかに不釣合いなものとなっている」
下院議会は7月までに正式にマリファナをクラスCへと格下げする予定である。 内務省自治委員会からの提言には今回のマリファナ再分類の他にも、マリファナを原料とする医薬品の使用の認可や、非営利目的のドラッグの供給および譲渡を起訴しないことなどが含まれている。
自治委員会はまた国連に対して、現在の世界的な反ドラック協定の妥当性について再考し、「世界的なドラッグ問題のジレンマに対して真正面から取り組むために、合法化という選択肢も含めた」代替政策を検討するよう勧告している。
(出典:NORML News Archives)」
「マリファナの非犯罪化以降ロンドンでの路上犯罪が半減 2002年5月30日(ロンドン、イギリス)
南ロンドンでは、自治区の警察が軽微なマリファナ違反者に対する逮捕を止めて口頭による警告のみに留めるようになって以降、路上強奪や恐喝などの件数が50%近くも減少した。司法当局は昨年秋から、マリファナに関しては「口頭注意のみ」とすることで、警察の人的資源をもっと深刻な犯罪へと割り当てる方針を実行に移している。
BBCの水曜日のレポートによれば、ランベス警察署の管轄内における路上強盗、恐喝の発生件数は昨年10月の916件に対して、今年4月は468件だった。加えて、今年に入ってからの路上強盗の発生件数は昨年比で18%減少しており、これは英国における路上犯罪としては最高の減少率となっている。
英国の取締当局、警察、政治家たちは、今後マリファナの規制レベルを再分類し、マリファナ所持を逮捕され得る違反行為から除外することに公式に賛成を表明している。この変更(=再分類)は、7月には実施される予定である。
(出典:NORML News Archives)」
「研究結果--- 妊婦によるマリファナ使用と神経行動的障害との間に関連は見られない 2002年5月30日(デトロイト、ミシガン州、アメリカ)
米国小児科学会(Pediatrics)により発表された研究では、妊婦によるマリファナの使用は、新生児の低出生時体重や認知障害との関連性がないことが明らかになった。
本研究では、生後6.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月の新生児を対象に実施された一連の神経行動的試験の結果、妊娠中のマリファナ使用が、新生児の精神発達、反応時間、複雑な遊びや情報処理能力に悪影響を与えないことが報告されている。また、妊婦によるマリファナの使用が出生時体重や妊娠期間に悪影響をおよぼさないことも明らかになった。対照的に、妊婦によるアルコールの使用(週に約7杯)は認知能力の低下との関連が見られ、コカインの使用は出生時体重の低下と関連することが確認されている。
今回の研究結果の著者は、「アルコールの影響とは対照的に、我々の発見は他の研究で得られている結果と同様に、妊婦によるマリファナ使用が新生児の成長や神経行動的悪影響を与えないことを示している」と結論づけている。
妊婦によるマリファナ使用に関する過去の研究でも同様の結果が得られている。NORML財団の会長であり、『マリファナにまつわる神話と真実』の著者の一人でもある、ジョン・P・モルガン博士も「新生児、乳児、子供を対象とした研究では、出生前にマリファナにさらされることと、身体、発育、または認識機能への悪影響との間に一貫した関連性は見られない」と同書に記している。
モルガン博士は、「妊娠中の女性にはあらゆるドラッグの使用を慎むようにアドバイスするのが賢明であるが、最新の科学的証拠の大勢はマリファナが人間の胎児に直接的な害を及ぼさないことを示している」と結論づけている。
米国小児科学会の報告書の概要は下記からオンラインで参照可能:
http://www.pediatrics.org/cgi/content/abstract/109/5/815
(出典:NORML News Archives)」
「カナダ法務大臣、マリファナの非犯罪化を呼び掛ける---「現行の規制は効果がみられない」 2002年7月18日 (オタワ、オンタリオ州、カナダ)
カナダ法務大臣マーティン・コーションは、マリファナの所持に対して科されている刑事罰を廃止する呼びかけを再開した。さらに彼自身もマリファナ喫煙の経験があり、非犯罪化を支持していると公表した。
「現行の制度を見ても、マリファナを犯罪として扱い続けることはあまり効果的ではない」とコーション法相は語っている。さらに、カナダ警察が必要以上にマリファナ違反の取締りに時間と経費を費やしていることも付け足した。
カナダでの薬物事件のうち、マリファナだけの所持違反が全体の3分の1以上を占めている。
コーション法相は軽微な違反者に対して禁固刑や前科を与えないように、カナダのマリファナ取締法改正を勧告した。カナダ医師会、カナダ警察署長連合、カナダ教会協議会も法改正を支持している。また全国的に実施された世論調査の結果によると、カナダ国民4人のうち3人以上が非犯罪化に賛成しているという。
カナダ上院規制薬物対策特別委員会が5月にまとめた予備報告書では、マリファナは比較的害が低く、社会の安全に対してほとんど悪影響を及ぼさないと結論付けられている。さらに、マリファナを刑事犯罪として取り扱う現行の取締法が、マリファナ使用の増減にほとんど影響を与えていないという傾向も示されている。特別委員会は下院議会においても発足しているが、上下院の特別委員会は年末までに、正式な報告書の発行を予定している。
(出典:NORML News Archives)」
「研究結果---大麻の有効成分が睡眠時無呼吸症候群の改善に劇的な効果 2002年7月27日 (シカゴ、イリノイ州、アメリカ)
米国睡眠薬アカデミーと睡眠研究協会が共同で刊行する学会誌『Sleep』に今月発表された研究報告によると、マリファナを原料とする医薬品が将来、睡眠時無呼吸症候群を含む睡眠障害の改善に役立つようになるかもしれない。
睡眠時無呼吸症候群では睡眠中に呼吸が止まる無呼吸の状態が断続的に繰り返される症状が見られ、頭痛、高血圧、不整脈、心臓発作、脳卒中など数多くの深刻な病気と関連付けられている。
イリノイ州立大学の『睡眠と通気障害センター』の研究員は、マリファナの有効成分であるTHCと内因性カンナビノイド(オレアミド)をラットに投与した結果、睡眠中の無呼吸が劇的に改善されることを発見した。報告書の著者は、幾つかのカンナビノイド類が睡眠中の自律神経系を安定させる重要な役割を担っている可能性があると結論付けた。
マリファナとその成分には、睡眠を促進する効果があることが昔から知られている。過去の研究結果では、THCがメラトニンの分泌に関与することが明らかにされ、カンナビノイドCBD(カンナビジオール)が不眠症の治療に高い効果を発揮することも確認されている。
『Sleep』誌に掲載された報告書の概要は下記からオンラインで参照可能:
http://www.journalsleep.org/citation/sleepdata.asp?citationid=2104.
(出典:NORML News Archives)」
「大麻を合法化し、管理すべきだ---カナダ上院特別委員会の報告書から 2002年9月5日 (オタワ、オンタリオ州、カナダ)
特別報告:大麻はアルコールやタバコより有害性が低い---許可を受けた上で、医薬品および嗜好品としてのマリファナ供給システムが必要。
カナダ上院の規制薬物対策特別委員会のメンバーは満場一致で、医薬品および嗜好品としてのマリファナ所持および使用を、一定の規制を設けた上で認めるように連邦法を修正すべきであると議会に対して勧告するとともに、600ページにわたる報告書を昨日発表した。
「科学的な証拠は疑いの余地なく、大麻が実質的にはアルコールよりも害が少ないという事を示している。大麻はこれ以上犯罪として扱うのではなく、社会あるいは公衆衛生の問題として扱うべきである」特別委員会で2年越しの調査を指揮してきたピエール・クロード・ノーリン上院議員は言う。「大麻の個人使用は、個人が選択できるべきものであって、刑事罰の対象とすべきものではない。従って我々の達した結論は、非犯罪化の次にはワインやビールと同じようにドラッグのひとつとして、国が規制を設けた上で合法化すべきだというものである」
これ以前にも幾つかの政府によって設置された委員会、たとえば米国の「マリファナと薬物の濫用に関する全国委員会(シェイファー委員会)」、あるいは「医療目的以外のドラッグ使用に関するカナダ政府調査委員会(ル・ダイン委員会)」などがマリファナの非犯罪化を勧告した事がある。いずれの勧告も使用と所持は刑事罰対象から外すべきであるが、販売については引き続き違法とすべきだ、というものであった。ところが今回のカナダ上院規制薬物対策特別委員会の場合、恐らく政府が召集した委員会のなかでは初めて完全な合法化を勧告している。
委員会のレポートは「カナダ社会は既に、責任を伴う手段で大麻使用の規則を運用できるに足る状態になっているというのが私たちの意見である」と結論づけている。「我々がカナダ政府に対して勧告するのは、現在の規制薬物に関する法令を修正して刑事罰の免除規定を設けること、その規定において大麻の生産と販売を認可制にすること、16歳に達した者であれば大麻およびその製品を、課税販売許可証を交付された販売センターで買うことが出来るようにすることなどである」
委員会はまた、個人使用のためのマリファナ生産に対しても同様の免除規定を設けること、現行法および過去の法律にもとづいて大麻所持により有罪判決を受けた者に対する恩赦適用を求めている。委員会の調査によればカナダの薬物事犯のうち半数以上がマリファナによるものだという。カナダ一般市民のうち30%はマリファナ使用経験があり、おおよそ50%の高校生が過去1年間のうちにマリファナを使用した事を認めている。「こうした若年層および若い成人による大麻使用の傾向を見る限り、現在の政策は効果がないという事を認めざるを得ない」とレポートは締め括っている。
医療目的でのマリファナ使用とその際の規則について、委員会はマリファナの吸引が慢性の体の痛み、多発性硬化症などを含む様々な病状に対して「明白な治療効果がある」と裁定した上で、カナダ保健省に対して医療マリファナの使用資格、マリファナの生産および販売に関する新たなルールを整備するよう勧告している。カナダは昨年、許可を受けた患者による医療マリファナの使用と栽培を合法化したが、マリファナ供給システムに関する規則を確立する公約については、履行していなかった。
その他に委員会がレポートで言及している調査結果は以下:
マリファナはハードドラッグ使用へのゲートウェイではない。
---「大麻それ自体が他のドラッグ使用の原因になっていない。この点から我々はゲートウェイ理論を否定する」
マリファナの使用は犯罪行為を誘発しない。
---「大麻それ自体は非行や犯罪の原因にも、暴力行為の原因にもなっていない。」
マリファナユーザーが依存に陥る可能性はほとんどない。
---「大多数のユーザーには依存に陥る危険性の兆候が見られない....マリファナ経験者のうち大多数は、その後に継続的なユーザーとはならずにマリファナの使用を止めている。過剰なマリファナ使用はカウンセリング治療が必要な精神的依存に陥る可能性があるが、マリファナに対する依存が発生することは、アルコールやタバコその他の向精神作用のある物質と比較して稀であり、またその依存の度合いも深刻ではない」
マリファナの使用は自動車の運転に際してほとんど影響しない。
---「マリファナ単独の使用は、とりわけ軽いストーンの状態では、自動車の運転に関する能力にほとんど悪影響を及ぼさない。マリファナによって通常よりも用心深く運転するようになる。マリファナはある事柄を判断するのに要する時間の長さや、精密に運転する能力などに対して悪影響を及ぼすが、それら効果によって、マリファナの影響下にあるドライバーが交通安全上のリスクの元凶となるということではない」
マリファナの自由化によって使用者数が増加する可能性はほとんどない。
---「マリファナに対し寛容的な政策を導入した諸外国のデータをみる限り、長期的な視点でマリファナユーザー数の増加は見られない。我々の出した結論として、政府の政策はマリファナ使用の傾向に対してあまり影響しておらず、これら各国の多様な状況を説明する上では何かもっと込み入ったもの、あまり良く解明されていない要因による影響の方が大きいと考えられる。」
マリファナの禁止は、マリファナの使用よりはるかに大きな保健上のリスクをもたらす。
---「マリファナの禁止を続けることは、マリファナそれ自体あるいは管理されたマリファナ市場取引の存在と比較して、はるかに大きな度合いでカナダ国民の健康と快適な暮らしを脅かすものであり、またマリファナを犯罪として扱うことは『権利と自由のカナダ憲章』に規定される基本的な価値をないがしろにしていると我々は信じる」
今回の委員会レポート「マリファナ:カナダ公共政策における我々のスタンス」の全文(英語)は、下記よりオンラインで入手できる。
http://www.parl.gc.ca/illegal-drugs.asp
また、米国連邦政府によって招集された委員会のレポートは下記にて参照可能。
http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=3382
(出典:NORML News Archives)」
「RAND研究所がゲートウェイ理論を否定---マリファナ取締りの正当性が揺らぐ 2002年12月3日(ワシントンDC、アメリカ)
アメリカの国家安全保障戦略や先端科学技術政策に重要な役割を果たしているシンクタンク、RAND研究所が2002年12月2日に公表した調査結果で、若者によるマリファナの使用はハードドラッグ濫用に繋がらないことが示された。この結果として、マリファナがハードドラッグ使用のきっかけになるとする、いわゆる「ゲートウェイ理論」が否定されるとともに、それを根拠としている取り締まり政策の正当性が揺らぐことになる。RAND研究所公安法務部次長のアンドリュー・モーラル上席研究官は「これまでゲートウェイ理論は通説として広く受入れられてきたが、科学者たちは常に懐疑的であった。今回の分析は、その疑問が正しかったことを示した」とコメントしている。
今回の研究ではまず、アメリカ政府が実施した薬物濫用に関する世帯調査のデータを細かく分析した。その結果、ハードドラッグを使用しているティーンエイジャーたちにはマリファナ経験の有無とは関係なく、もともとハードドラッグを使用してしまう素因があると結論付けた。
モーラル上席研究官は「素因としてハードドラッグを使用しやすい傾向をもっており、さらに実際にドラッグを手に入れやすい環境にある者は、マリファナとハードドラッグの両方を使用する可能性が通常よりも高い。その際、まず最初にマリファナから始めるというのが典型的だが、これは単にマリファナが最も手に入れやすいドラッグだからに過ぎない」と、データが示す事実関係について述べ、「これらの事実をRANDのデータ分析用数学モデルに組み入れてみると、若者によるドラッグ使用状況の実態を示しているに過ぎない情報が、いかにしてゲートウェイ理論の根拠として使われてきたのかを全て説明できる」と語っている。
モーラル上席研究官は、マリファナがゲートウェイドラッグだという「間違った前提」を基に方針が決定されているアメリカのドラッグ政策に対して、今回の分析結果はその正当性に重大な疑問を投げかけるものだと説明している。「例えば、マリファナの供給を断つことを目的とした施策は、ハードドラッグ問題の解決にはまったく効果がないという事を、この分析結果は示唆している」
NORML財団代表(エグゼクティブ・ダイレクター)アレン・サン・ピエールはRAND研究所の分析結果を称えた上で、これまでの統計からも、ほとんどのマリファナユーザがハードドラッグに移行しないことが示されていることを付け加えている。「統計的に見ると、104人のマリファナを経験したことのあるアメリカ国民の内、コカインを使用している者は1人だけだ。ヘロインに関しては、もっと少ない」と説明し、「マリファナユーザの大半にとって、マリファナは『終点』であり、『入り口(=gateway)』ではないのだ」と主張する。
さらにサン・ピエールは、マリファナユーザーのうち少数はハードドラッグに移行していく場合があるということについて、それはマリファナ自体に問題があるわけではなく、マリファナがハードドラッグと同様に取り締まられており、同じ「違法ドラッグ」として、しばしば同一の供給元から提供されていることに原因があると推測している。「マリファナのほかにハードドラッグも入手できる環境に置かれ続けていると、マリファナユーザーがハードドラッグも試してみようとする可能性はそれだけ高くなる」という。
過去にゲートウェイ理論を否定した調査では、2002年にカナダ上院で発表されたレポートの他に、米国科学アカデミーの付属機関である医学研究所(IOM:U.S.National Academy of Sciences Institute of Medicine)が1999年に発表した「IOMレポート」がよく知られている。
(出典:NORML News Archives)」
「ベルギー議会がマリファナ法改正を批准 2003年2月27日(ブリュッセル、ベルギー)
DPA(Drug Policy Alliance)のプレスリリースによれば、ベルギー議会はつい先日、個人使用のためのマリファナ所持と栽培を合法化する法案を通過させた。
ベルギー議会は多数決で、レクリエーション・ユーザーの5グラム以下のマリファナ所持、及び一本までのプラント栽培を認め、刑事罰を適用しないことを決めた。今回の法改正は、2001年に検察当局と裁判所に対して「何の危害も、また依存も見られない個人マリファナ・ユーザーたちの生活をこれ以上、妨害しないこと」を命令した、議会の公式な申し立てに続くものである。
新しい政策のもとでは、大量の栽培と販売は積極的な取り締まりの対象となる。また、公共の場所や未成年がいる場所での喫煙も禁じられている。
(出典:NORML News Archives)」
「オランダ政府が医療マリファナの処方を合法化---薬局で購入可能・医薬品処方マリファナ栽培は免許制に 2003年3月20日 (ハーグ、オランダ)
3月17日から施行された新しい連邦規定により、オランダでは薬局が合法的に医療大麻を仕入れ、医師の処方箋がある患者に対して販売することができるようになった。この法改正で、オランダは医療大麻を正式に一般の処方薬と同じ扱いで使用できる最初の国となった。
NORML財団代表(エグゼクティヴ・ダイレクター)アレン・サン・ピエールはこのオランダの政策変更を称賛して次のように語った。「カナビスにも他の医薬品と同じく、その危険性や有効性を正当に評価した上でそれに応じた規制を適用するべきであり、このたびオランダ政府が決定した規制はずっと以前より導入されてしかるべきものであった。不幸なことに米国では、政府がマリファナの相対的な安全性や医療用途の有効性を認めることを拒み続けている。患者たちはその結果として、本当に必要とする医薬品を非合法市場に求めなければならず、逮捕されるリスクを押し付けられているのだ。明らかにオランダモデルのほうが安全で有効、かつ温情ある解決法だと思う」
新法の施行により、オランダ政府の保健担当部門から許可証を交付された医療用マリファナ栽培者が、医薬品等級のマリファナを薬局に供給することになる。栽培許可証の発行はオランダ保健省医療マリファナ局(BMC)の管轄で、4月初旬より交付が始まる見通し。BMCは医療マリファナの研究と使用基準の確立を目的として2000年に設置された。
また医療マリファナの購入に際して、健康保険割引が使えるようになる。(オランダでは民間企業が健康保険サービスを提供)
オランダ保健省スポークスマンのバス・クイックはAP通信に対して、今回の法改正によって医療用品質のマリファナが、安定して患者に供給されるようになると説明している。「いずれにせよ、今日でも既に医師たちは患者に対してマリファナを処方している。数多くのマリファナを必要とする患者がいて、実際に使用している。ならば、国もきちんとした基準を設けるべき」
カナダでも同様な規定が2001年に制定され、認定された患者に対して州政府が医療マリファナを栽培し、供給できるようになった。しかしカナダ保険省は今日まで、州政府により収穫されたマリファナの供給を許可していない。
(出典:NORML News Archives)」
|