「オーストラリア最大の州で、臨床的な医療大麻の利用が認められる 2003年5月22日 (シドニー、ニューサウスウェールズ州、オーストラリア)
ニューサウスウェールズ(以下NSW)州の保健局が今後4年間にわたって実施する予定の臨床試験では、慢性的な身体の痛みや多発性硬化症等の深刻な病状に苦しむ患者達に対して合法的に医療目的の大麻を提供することが可能になると、ボブ・カー州知事が今週発表した。試験に参加するボランティアは喫煙用の大麻、もしくは舌下から投与できる大麻抽出物を受け取ることが出来る。また今年後半にはイギリスの製薬会社が、大麻抽出物を医療薬品として販売する認可を取得することも見込まれている。
今回のカー州知事による発表は、NSW州政府により任命された医療目的大麻政策作業部会(Working Party on the Use of Cannabis for Medical Purposes)が今から約3年前、医療大麻の比較臨床試験の実施、および医療目的で大麻を使用した患者に対する刑事処分の停止を勧告して以来の進展である。
「大麻が苦痛の症状をやわらげることに有効であるという主張は、医学的な根拠により支持されている。我々には人的な苦痛や苦しみを可能な限り低減させる義務がある」とカー州知事はコメントしている。オーストラリア医師会のNSW州支部もこの臨床試験実施を支持しており、現時点で違法な薬物であっても、患者の苦しみを和らげる目的や研究促進のためには特定の病例について合法化すべきであるという立場を取っている。
大麻の臨床試験実施を認める法律制定は来年までに実現される見込みだ。
(出典:NORML News Archives)」
「メリーランド州の法廷にて医療大麻が抗弁措置として法的に認められる 2003年5月22日 (アナポリス、メリーランド州、アメリカ)
メリーランド州知事ロバート・アーリック(共和党)は、医療大麻を使用する患者が法廷にて「医療的必要性」を抗弁として用いることを認める法案に署名し、法律として成立させた。
この法律はメリーランド州における医療目的での大麻の栽培と使用を合法化するものではないが、州が起訴するマリファナに関連した裁判において、被告である患者が大麻の医療的必要性を抗弁として用いた場合、この法律は法廷に対して刑罰の軽減を考慮するよう求めている。現行のメリーランド州法では、大麻の所持に対して1年以下の懲役と1,000ドルの罰金を課しているが、被告人の大麻使用が医療的に必要であったことが立証できれば、罰則は100ドルの罰金にまで軽減される。
大麻の医療用使用を「不道徳」で「ひどいでっち上げ」などと主張する麻薬取締対策局長ジョン・ワルターやブッシュ政権からの厳重な圧力に屈することなく法律を成立させたロバート・アーリック州知事の決断について、NORML代表(エグゼクティヴ・ダイレクター)キース・ストロープは「患者のニーズを派閥政治より優先させた」と称え「他の8州の同様な医療大麻に関連した法律と比較すると、さらなる改善の余地があるが、今回の法緩和により多くのメリーランド州民の患者が法的に保護されることになった」とコメントした。
(出典:NORML News Archives)」
「THCがアルツハイマー病の治療に有効 2003年5月29日(ボルティモア、メリーランド州、アメリカ)
5月初旬にアメリカ老年医師会の月例ミーティングで紹介された臨床試験データにより、人工的に合成されたTHC(=テトラハイドロカンナビノール、マリファナの有効成分)が、アルツハイマー病患者の動揺を和らげ、また体重の増加を促進する効果があることが示唆された。
臨床試験には、アルツハイマー病による痴呆症状を患う9人の患者が参加した。10mg以下の合成THC処方を1ヶ月間実施した結果、9人のうち6人の患者に動揺の軽減が顕著に見られ、また9人全員に体重の増加が認められた。THC処方の前には9人全員が食欲不振により体重を減少させていた。アルツハイマー病ではよく見られる症状の一つである体重の減少は、患者の死亡の前兆となる一つの要因でもある。
THC処方において、副作用による問題はまったく報告されていない。
1997年に実施された前回の臨床試験には12人のアルツハイマー病患者が参加したが、その際にもネガティブな感情の高まりを抑え、体重を増加させるという効果が確認された。1999年発表のIOMレポートでは、マリノール(=合成THC、商品名)の処方を受けている者の5パーセントから10パーセント程度は、アルツハイマー病の症状を緩和する目的でマリノールを使用していると見積もっている。
(出典:NORML News Archives)」
「ニュージーランド国会委員会が大麻規制法の緩和を勧告- 節度ある成人の使用は健康被害に結びつかない 2003年8月14日 (ウェリントン、ニュージーランド)
ニュージーランドの代議院衛生委員会(House Health Committee)は、8月初頭に公表した報告書の中で、国会に対して「高い優先順位」で大麻の法的分類を見直して、初犯者を含む軽微な違反者に対して刑事罰が科されなくなるよう勧告した。報告書の結論は、大麻の適正な法的分類について判断することを目的に、委員会が3年間の期間にわたり実施した、大麻が健康に与える影響の調査結果に基づいている。
報告書によると、現在ニュージーランドの規制薬物に関連した逮捕のおよそ95%が大麻によるもので、大麻の所持には最高3ヶ月の懲役と500ドルの罰金が科される。
カナダ政府とイギリス政府により実施された調査結果からも、同様な大麻の再分類、あるいは非犯罪化が勧告されたばかりだが、ニュージーランドの場合、ニュージーランド衛生特別委員会(New Zealand Health Select Committe)が1998年に国会に対し「大麻が精神的に及ぼすとされている悪影響は誇張されている可能性がある」と指摘し、現行の法律の妥当性を再調査することを勧告したのが発端となった。
委員会による今回の調査結果のまとめ:
・大麻の効能が著しく強まっているということはない
「過去25年の間に、大麻の効能が著しく強まったことを示す証拠はない」(p.19)
・大麻は青少年の非行に繋がらない。
「大麻の使用が行為障害の原因にはならないこと、また、もともと逸脱行動を起こす素因をもっている青少年たちが高い確率で大麻を使用していること、などが結果から示唆された」 (p.19)
・大麻は凶暴な行動を引き起こさない。
「大麻の使用と暴力の関連性について議論がなされているが、最新の研究結果から判断する限りその関連性は存在しないと理解される」 (p.19)
・大麻は長期的な認知障害を引き起こさない。
「大麻が脳に回復不能な損傷を引き起こすことを示す証拠はない。長期にわたって使用された場合は認知能力の変化について懸念があるものの、大麻使用者と未使用者を比較した研究結果では、大麻の使用を中断した後の後遺的な認知能力の変化は、ごく僅かであるか、あるいは未使用者との差異が見られなかった」(p.18)
・大麻統合失調症を引き起こさない。
「大麻が統合失調症を引き起こすという説得力のある証拠は存在しない」(p.17)
・大麻は精神的障害を引き起こさない。
「研究結果を見る限り、大麻と精神的障害の関連性は実証されていない」(p.17)
「大麻使用についての公衆衛生の方針と最適な法的分類に関する調査(An inquiry into the public health strategies related to cannabis use and the most appropriate legal status)」と題された今回の委員会による報告書の全文(英語)は、下記リンクより参照できます:
http://www.clerk.parliament.govt.nz/Content/SelectCommitteeReports/i6c.pdf
(出典:NORML News Archives)」
「フランスも非犯罪化に向けて前進 2003年10月22日(パリ、フランス)
ジャン=ピエール・ラファラン首相が、大麻所持に対する罰則を反則金のみに軽減する法律改正案を支持していることが、総合週刊誌「L'express」により報じられた。
1970年に制定された現行の取締法では、軽微な違反に対する罰則を1年以下の懲役刑と定めているが、ラファラン首相がこの法律を改正することを約束したという。改正案が制定された場合、違反者には懲役の代わりに小額の罰金の支払いが科されることになる。フランスでは大麻事犯が起訴されるケースは10%未満となっているが、これは当局がすでに大麻を容認するという方針を実践しているとも言える。法改正が制定された場合、現在の大麻容認の方針が正式に批准されることも意味する。
フランスは公式な形では大麻非犯罪化の手続きを取っていない、ヨーロッパでは少数となった国の一つである。
(出典:NORML News Archives)」
「アラスカ州-4オンス(110-120g)までの大麻所持は「合法」 2003年9月11日(アンカレッジ、アラスカ州、アメリカ)
アラスカ州上訴裁判所は8月29日に公表した判決により、州最高裁判所がかつて1975年に下した、「成人による個人目的の大麻所持・使用に対して何らかの罰則が課されることは、州憲法によって保障されている個人のプライバシー権の侵害となる」という判決を是認した。この判決により1990年に承認された「大麻再犯罪化」の発議は州憲法に違反するとして無効となった。
上訴裁判所のデイヴィッド・スチュワート裁判官ほか全員一致による判決には、「成人による自宅での個人使用目的の大麻の所持に関して、規制法は4オンス(約110g)以上の所持を禁止するものとして解釈されるべき」と明記された。さらに、個人使用目的の大麻栽培も許可される旨が示された。
今回の上訴裁判所による判決は、ノースポールの自宅で友人とバーベキューをしている際に大麻を吸っていたとして、逮捕されたデイヴィッド・ノイ氏(41)の訴訟に対して下されたもの。
1975年のアラスカ州最高裁判所の判決(Ravin v. State)は、自宅における大麻の個人的使用は、アラスカ憲法第1条22項(「州民のプライバシー権については、これを侵害することを認めない」)により保護されているとした。さらに数年後の1982年の州議会では、個人使用量の上限が4オンスと定められた。ところが、1990年に当時のビル・ベネットDEA(アメリカ麻薬取締局)長官による積極的な働きかけにより、アラスカ州でも51%の僅差で「大麻再犯罪化」の発議投票が承認され、再び量の多少を問わず、すべての大麻所持・使用に対して再び刑事罰則が課されることになった。
実際、その後もアラスカ州の弁護士たちは、州憲法の判例を抗弁として用いることにより、大麻の個人使用に対する訴訟の却下に成功してきた。これに対し、これまで州政府側があえて上訴することはなかったが、それは主に「上訴したが、再び敗訴したという不名誉な前例」を作ることを避けるためだと見れる。今回のノイ氏の審判は、初めて上訴裁判所に訴訟されたケースであり、さらに州最高裁判所にも上訴されることが予想されている。
今回ノイ氏の弁護を担当したビル・セッターバーグ弁護士は、13年の歳月を経てようやく、アラスカ州上訴裁判所にて1990年に承認された「大麻再犯罪化」の発議に対して異議申し立てをする機会を得ることができたと語り、「アラスカ州が今回、訴訟を却下せずに、あえて上訴したのは、彼等の立場からすれば最悪な判断だったと思う。」と付け加えた。
(出典:NORML News Archives)」
「シアトル有権者による住民投票での採択-大麻規制の優先度を最低レベルに 2003年9月18日 (シアトル、ワシントン州、アメリカ)
警察が大麻の取り締まりに費やす時間を最低限に抑える投票議案を、シアトルの有権者は圧倒的な支持率で承認した。
10中、約6人のシアトル有権者が、「発議75号」と呼ばれている今回の投票議案を支持する票を投じた。この発議は、成人のマリファナ所持違反に対する捜査、逮捕および訴追を、市の法執行の中で最低レベルの優先度にするものであり、発起人である「聡明なるシアトル市民連合(Sensible Seattle Coalition)」によると、予算の無駄使いを無くすと同時に、より深刻な犯罪へのリソースの集中を可能とする。
ワシントン州の州法では、1グラム程度のマリファナ所持に対して、90日間の禁固刑とともに罰金1000ドルが科される。
シアトルのほかにも、これまでにカリフォルニア州のサンフランシスコ、オークランド、マサチューセッツ州のアマースト、ミシガン州アナーバー、ウィスコンシン州マディソンなどで、同様にマリファナ規制の優先度を下げる条例が制定されている。
(出典:NORML News Archives)」
「カナダで大麻非犯罪化法案が議会に提出される - 逮捕は止め、違反チケットのみに 2003年5月29日 (オタワ、オンタリオ州、カナダ)
現クレティエン政権が5月27日にカナダ下院議会に大麻非犯罪化法案を提出した。この法案ではカナダ連邦の大麻規制法を改正するとともに、およそ2億4,500万カナダドル(約200億円)がドラッグ教育および研究費に割り当てられることになる。
昨年、上下両院委員会からそれぞれ出された2つの報告書で、国の大麻規制法に対する大幅な緩和が強く要請された事が今回の法案提出の推進力となった。
この大麻非犯罪化法案「C-38」で最も注目すべき条項は、15gまでの大麻および1gまでの大麻樹脂について、その所持と使用に対する罰則を「違反チケットによる罰金のみ」に引き下げたことである。さらに大量の場合、30g以下までであれば、違反者に対して違反チケットを切るか、それとも刑事法廷への呼び出しを求めるかを決める裁量権が警察に与えられる。
この法案では、チケットに対して罰金を支払わないことを理由に刑法犯扱いされることはない。また、違反チケットに対しては不服申し立ての裁判を起こす事も可能だが、たとえ敗訴して有罪が確定したとしても、それが刑事事件として扱われることはない。
NORML財団会長(エグゼクティヴ・ダイレクター)アレン・サン・ピエールは法案C-38の大麻非犯罪化に関する条項を称賛して、次のように語った。「大麻の所持を刑事事件として取り締まることは、責任ある成人の大麻使用で何らか発生するかもしれない危害と比較した場合、まるでバランスが取れていない。今回の法案提出は、大麻を取り締まることで発生している害悪のほうが、大麻そのものの危害よりも遥かに大きいということを、カナダ政府が認めたことにほかならない」
米国の12の州でも、同様に少量(28g~100g程度)の大麻所持を罰金のみの違反行為とする大麻非犯罪化法が制定された。1999年に米国医学研究所(IOM)が発表した「IOMレポート」によれば、大麻が非犯罪化されている州の若年層における大麻使用率は、大麻を犯罪として取り締まっているほかの州と比較しても決して高くなっていない。
今回の法案では他に、大麻の栽培に対する罰則の強化が示されており、50本以上の栽培者に対しては従来の禁固7年以下から、最長で14年以下まで引上げられている。プラント3本以上の栽培について、その栽培場所が子供のいる施設内であるなど「悪質」なケースでは、禁固刑を課さないという場合その理由を示す事が求められることになろう。
この事についてサン・ピエールは、栽培に対して厳しすぎる取締りを行えば、医療目的で大麻を栽培する患者たちにとって好ましくないという事、また多くのユーザーたちが大麻の供給をブラックマーケットに求めることになりかねない、と釘を指している。
(出典:NORML News Archives)」
「アメリカ大統領選挙-立候補者が過去の大麻経験を認める 2003年11月5日 (ボストン、マサチューセッツ州、アメリカ)
11月4日にCNNで生放送された番組「Rock the Vote」のディベートにて、電子メールによる視聴者からの大麻喫煙の経験に関する質問 に対して、番組に出演していた2004年大統領立候補のジョン・エドワーズ(ノースカ ロライナ州、民主党)、ジョン・ケリー(マサチューセッツ州、民主党)、ハワー ド・ディーン(前バーモント州知事)いずれの立候補者も「経験がある」と回答し、放送スタジオの観覧客から拍手喝采を浴びた。
NORML代表(エグゼクティヴ・ダイレクター)キース・ストロープは、今回の大統領選立候補者たちが大麻喫煙の経験があることを認めたことは、様々な分野で勤勉に活躍している多数のアメリカ国民が大麻を嗜好品として使用していること、犯罪者として扱われるべきではないことを明瞭に表していると語った。
ストロープはさらに「ただし重要なことは立候補者が、ビル・クリントン前大統領やアル・ゴア前副大統領、ニュート・ギングリッチ下院議長などの政府要人を含む約半数のアメリカの成人と同様に、ただ大麻喫煙の経験を認めることだけではない。問題の核心は、立候補者自らが過去に経験したのと全く同じ行為によって、多くの善良なアメリカ国民が検挙され投獄されていることについてどう考えているのか、という点だ」とコメントを付け加えた。
大麻喫煙の経験を認めた3人の候補者は、いずれも大麻の非犯罪化について賛否を明確には示さなかった。ケリー氏は重症患者による医療大麻の使用を認めることを強く主張しており、エドワーズ氏は過去に、州法に基づき医療大麻を使用している患者の逮捕を法務省に対して要求することは「無責任」なことだと発言したことがある。だがディーン氏については2002年にバーモント州議会にて認定された患者による医療大麻の使用を合法化する法案の可決を頑なに拒んだという。
一方で、同じく番組に出演していた立候補者のデニス・クシニッチ(オハイオ州議員、民主党)は「大麻の経験はない」と回答したが、大統領として当選したら「非犯罪化する」と付け加えた。また、クシニッチ氏は以前、医療大麻の使用が認められるように大統領命令を発令することを約束しており、現政権による「War on Drugs」と呼ばれているドラッグ撲滅政策によって発生している弊害について厳しく批判している。
クシニッチ氏と同様に、番組に出席していた立候補者のウェズリー・クラーク氏、アル・シャープトン氏とジョー・リーバーマン上院議員(コネチカット州、民主党)は大麻の経験はないと回答した。キャロル・モズリー・ブラウン氏は質問に対しコメントせず、ディック・ゲッパート議員(モンタナ州、民主党)は番組に出席しなかった。
(出典:NORML News Archives)」
「大麻の成分が腫瘍の成長を抑制する 2003年11月20日(ミラノ、イタリア)
大麻の成分であるカンナビノイドの一種で、意識や感覚には作用しないカンナビジオール(CBD)の投与により、ヒトグリオーマ細胞(脳腫瘍)の成長が抑えられることが実証された。「Journal of Pharmacology And Experimental Therapeutics」誌の2003年11月14日号で発表された臨床試験データによると、ヒトグリオーマ細胞の成長に対する効果はin vitro(インビトロ=シャーレ培養)でも、細胞株を動物に移植した場合でも確認された。
今回のミラノ大学の研究員によって実施された試験により、細胞培地にCBDを添加した際、濃度に比例してヒトグリオーマ細胞のViability(生存性、生存能)が著しく低下することが確認された。また、これは今回初めて確認されたことだが、CBDによるガン細胞の増殖を抑制する効果(antiproliferative effect)は、機能的細胞死(アポトーシス)の誘発(*)と相互に関連があるということが実証された。
さらにCBDがマウスに投与された場合、皮下に埋め込まれたヒトグリオーマ細胞株U87の成長が抑制されたことを確認した。意識や感覚に作用しない大麻の成分であるカンナビジオールは細胞培地でも生体内でも、ともに抗腫瘍活性を発揮し、これによってCBDが制癌剤(antineoplastic agent)として使用できる可能性が示された、と今回の臨床試験は結論付けている。
ちょうど今回の研究結果が報告される約1ヶ月前に「Nature Reviews Cancer」誌に掲載された臨床調査の結果からも、カンナビノイドには癌患者の痛みを抑える効果があり、また数種類の悪性腫瘍の成長が抑制されたことから、癌の治療薬として役立つ可能性が示唆されたばかりだった。
南カリフォルニア大学(USC)医学部教授であり「Understanding Marijuana: A New Look at the Scientific Evidence」の著者でもあると同時に、NORML諮問委員会のメンバーでもあるミッチェル・アーリーワイン医学博士は、イタリアの研究チームによる成果を称えた。「カンナビノイドの研究からは、いつも癌治療への途方もない可能性が示され続けている」と語り、さらに「こうした研究の大部分は、アメリカ以外の国々によるものだ。ときには予算や科学技術の面でアメリカの医療研究機関のように潤沢とはいえない国々の研究機関が、次々と成果を上げている。わが国のドラッグ政策がこれ以上、アメリカ人の死因の第2位である病気との闘いを邪魔することがないよう切に希望する」とも付け加えた。
今年初めに発表された研究結果でも、大麻とその誘導体には悪性神経膠腫や皮膚癌を抑制する効果があり、ラットに移植された腫瘍が退化することが確認されている。
「Antitumor effects of cannabidiol, a non-psychotropic cannabinoid, on human glioma cell lines(精神作用を有さないカンナビノイドであるカンナビジオールのヒトグリオーマ細胞株における抗癌作用)」と題された今回の研究成果の概要は、下記リンクから参照できます:
http://jpet.aspetjournals.org/cgi/content/abstract/jpet.103.061002v1
(出典:NORML News Archives)」
「大麻の有効成分THCが、トゥレット症候群の治療に有効 2003年10月22日(ハノーバー、ドイツ)
アシュレイ出版が刊行する医学専門誌「エキスパート・オピニオン(=専門家の意見)」シリーズの一つ「薬物療法のエキスパート・オピニオン」10月号で紹介された臨床試験の紹介記事によると、大麻が意識や感覚に作用する中心物質である△-9-THCに、トゥレット症候群の治療における「臨床上の十分な有効性」が認められたとの事。
記事では、2つの異なる条件の被験者群でそれぞれ無作為試験を実施し、いずれもTHC投与でチック症状が著しく減少するという良い効果がみられたこと、その際に深刻な副作用や神経心理学的な機能障害はどちらの被験者群でもみられなかったこと、などが述べられている。
「成人患者の場合、既知の治療薬ではチック症状の改善が見られない、あるいは改善は見られるものの副作用が重すぎるという場合がある。そんなケースにはΔ-9-THCを使った治療を是非とも試してみるべきだ」と筆者は述べている。また筆者は今回使用した合成THCだけでなく、大麻草そのものでも治療効果があると推測しているが、大麻草と合成THC製薬の比較実験はまだ実施されたことがないと注釈をつけている。
トゥレット症候群とは神経の病気で、顔、首、肩などの突然の痙攣、いわゆるチック症状によって特徴づけられる。
(出典:NORML News Archives)」
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