2012年12月20日(火)
カリフォルニア州ロサンゼルス: イギリス医療ジャーナル(British Medical Journal)で公表された臨床試験データによると、大麻の使用歴がある成人は、使用歴がない成人に比べて、2型糖尿病の有病率と罹患率が低いという。
カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の研究者らはこのたび、10,896名の米国民の代表サンプルのうち20歳から59歳までの成人による糖尿病と大麻使用の関連性について評価した。被験者は、非大麻ユーザ(61.0%)、元ユーザ(30.7%)、頻度の少ない(月に1-4回の)ユーザ(5.5%)、頻度の多い(月 に5回以上の)ユーザ(3.3%)の4つのグループに分けられた。なお、糖尿病かどうかの定義付けは、自己報告または血糖パラメータの異常性に基づいた。
研究者らは、免疫調節と抗炎症という特性があるカンナビノイドが各種存在することから、大麻ユーザの2型糖尿病の有病率は低くなるという仮説を立てた。
報告によると、全グループの糖尿病の家族歴には差異がほとんどなかったにも関わらず、社会的変数(民族性、身体活動レベルなど)を調整しても、元大麻ユーザと現役の大麻ユーザは、他のグループに比べて、成人発症の糖尿病の有病率が低かったという。しかし、非大麻ユーザとの比較での、大麻の使用と、高血圧症や脳卒中、心筋梗塞、心疾患など他の慢性疾患との関連性は判明しなかった。
大麻ユーザは、非ユーザに比べて、身体活動性は高いが、総コレステロールやトリグリセリドの水準が全体的に高いことも報告されている。にもかかわらず、大麻ユーザは、血糖値が最も低い被験者群の間に最も多く見られた。
研究者らは、「今回の20歳から59歳までの成人の分析から・・・大麻ユーザの被験者は、非ユーザに比べて、糖尿病の有病率と罹患率がともに低いことがわかった」と結論した。しかし同時に、「カンナビノイド受容体と糖尿病との因果関係の可能性について明らかにするには、マウスや人での前向き研究をおこなう必要がある。そのような研究がおこなわれてはじめて、糖尿病の可能性がある患者への大麻の使用を支持することになる」と注意を付している。
過去の動物での研究では、あるカンナビノイドには抗糖尿病の特性があることがわかっている。具体例には、ジャーナル誌 自己免疫(Autoimmunity)で公表されたある前臨床試験で、向精神作用が無いカンナビノイドであるCBDを1日に5mg注射投与すると、プラシーボに比べて、糖尿病の罹患率が大幅に減少するという報告がある。その中で研究者らは、対照群のマウスは平均17週間(実幅15-20週間)で成人発症糖尿病を発症したが、CBDを投与したマウスの60%は、26週間経っても糖尿病に罹らなかったとしている。
この研究の全文 "Decreased prevalence of diabetes in marijuana users: cross-sectional data from the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) III"は、British Medical Journal に掲載されています。
Source: NORML News
Study: Cannabis Use Associated With Decreased Prevalence Of Diabetes
Thursday, 20 December 2012
翻訳とコメント:bongyo
今後の研究に期待!という感じです。 しかし、糖尿病にも有効なことがわかれば、それから派生する多くの疾病に悩む相当な数の患者に効果が期待できるし、節約できる医療費も相当なものではないでしょうか。大麻は現行の処方薬よりもはるかに安価なのだから。
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