カンナビス・メドさんの記述がいかに恣意的で、ものごとの一部分しか見ずに英国の大麻問題を取り上げているかは、カナビス・スタディハウスさんから転載した論稿や翻訳記事からも明らかです。
多くの研究によって、大麻にはさまざまな疾病に効果があることが科学的に明らかにされているにも拘らず、メドさんは、酒は「心血管疾患を減らすことなどを通じ、健康に貢献する」から利点があるけど、「大麻の使用については、何らかの形で健康に寄与できるという研究報告は1つもありません」と数々の研究結果を無視して書いています。
カナビス・スタディハウスさんのサイトの次のページをお勧めしておきます。
・医療カナビス・ニュース
・カナビスの医学研究
メドさんが引用している英国の薬物濫用諮問委員会は、大麻には一定の害はあるが、厳しく取り締るレベルのものではないという結論を出しました。その報告を無視するかたちで、内務大臣が規制を元のレベルの厳しさに戻そうとしたところ、諮問委員会の学者たちは、報告を無視して政治的な判断を下すなら委員を辞職すると反発し、結局、大麻の非犯罪化政策は継続されています。
ところが、メドさんの文章では、あたかも英国では規制を強化する方向で取り組んでいるかのようです。何か政治的な目的でもあるのでしょうか。
このような恣意的な解釈と引用を行うメドさんは、他の薬物とではなく、突如、日本脳炎の予防接種の効果と、大麻の有害性を比べるのです。
自らの意思で使うことも使わないこともできる大麻の危険性と、自らの意思とは無関係に罹患する病気の予防接種の効果とを比較するのです。何の意味があるでしょう?
これは単に、「大麻使用は統合失調症になる危険を1%だけ増やす」ので、その1%という数字より小さい数字を何でもいいから持ってきて、ほら、大麻のほうが危険だよ、と言っている子供だましに過ぎません。
保健行政の観点から、(もちろん両方大事なのですが)「危険を1%減らす大麻使用追放」と、「危険を0.3~0.03%減らす日本脳炎予防」は、どちらのほうが大事でしょうか?
答えは明らかです。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106/view/200601
両方大事だと断りつつ、でも大麻追放と日本脳炎の予防接種、どっちが大事?とメドさん。
答えは明らかに、自らの意思とは無関係に罹るかもしれない日本脳炎の予防接種でしょう。違うの?ハズレ?
さて、最初に挙げた控訴趣意書の内容です:
『大麻はアルコールほどの害がないので、飲酒が合法である以上、大麻所持を禁ずる大麻取締法24条は、憲法14条に違反する』
既述のように、これは論の体をなしていません。
この類の主張を認めた裁判官も、いまだかつて一人もおりません。
既述のように?どこ?
メドさんは、大麻と酒の有害性の比較について、「大麻はアルコールほどの害がない、というのはかなり知られた事です。そして濫用すれば、アルコールはかなり高い確率でおかしなことになります。」としか書いていません。論の体をなしていないどころか、論がありません。
それに、これまでの裁判でも、現在の大麻の規制は厳しすぎるとした判例もあります。
例えば、平成5(1993)年東京地裁判決。
【刑の理由】有害性が認められているアルコールやタバコが罰則をもって規制されず自由に使用できるのに、大麻は罰則をもって一律に使用が禁じられていることを比較すると、大麻を嗜好する者にとって、割り切れない気持ちが生ずることは否定できないところであろう。しかし、法律が大麻の使用、栽培を処罰すると定めている以上、法律に従って適正に処罰することは当然のことである。また、現実に大麻取締法により処罰される被告人の数は少なくなく、これらの被告人との間の刑の均衡を無視した刑を言い渡すわけにはいかない。
大麻堂の旧サイトより引用
http://www.taimado.com/kaihou/jiken/hanketsu.html
大麻が有害だから現状の規制が正当だとするのではなく、だって法律で決まってるんだし、と裁判所は言っているのです。大麻で捕まった他の人も同じように刑を喰らっているのだから、あなただけ軽くするわけにいかないし。この判決はそう言っています。
もっと古いところでは、1987年05月31日、「アルコールやタバコに比べ大麻の規制は著しく厳しい」、「立法論としては再検討の余地がある」という裁判官の見解もあります。
「大麻規制「厳し過ぎる」裁判官異例の見解」
http://asayake.jp/thc/archives/cat_40.php
新しいところでは、大麻取締法違憲論に関し、最高裁が全く審理もせず、三権分立に死刑を宣告していることは、当サイトの大麻取締法違憲論裁判レポートに明らかな通りです。
カンナビス・メドさんのサイトは、全体がこのように恣意的な、政治的な反大麻に満ちています。
それでも、根拠や出典を示している点は、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページよりも良心的というか、手が込んでいるというか。眉に唾である点は同じなのですが。
(つづく・・・・かも)
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