オレゴン州の家族が自閉症児の発作鎮静に医療大麻を使用

投稿日時 2013-02-02 | カテゴリ: 医療大麻の真実に迫る

オレゴン州ポートランド発(KPTV): 11歳児の自閉症に伴う「激しい怒り」や自傷行為を抑制する為、オレゴン州の家族は息子に医療大麻を処方しています。


KPTV - FOX 12

「(発病当時は)言葉にもなりませんでした。私たちは大変に恐ろしい状況におかれました」とジェレミー・エコルス氏、11歳児のアレックス君の父親は語りました。

「他に選択肢が無い場合、あなたならどうしますか?あなたなら確信を持って(医療大麻に)NOと言えますか?」

11歳のアレックス・エコルス君は重度の自閉症を患っており、掛かりつけの医師によると、アレックス君の様々な自傷行為や自暴自棄的行動は、全米で5万人程が罹っている珍しい遺伝病の結節性硬化症という病状の結果です。この病状は非悪性の腫瘍が身体のあちこちを蝕むというもので、アレックス君の神経学者によると、彼の場合、脳内に出来た腫瘍がてんかんや自閉症を引き起こしているということです。

「アレックス君は言葉を使ってのコミュニケーションが図れません。この事実が彼や身の回りの家族のフラストレーションに拍車をかけています」とポートランドの小児神経学者のコリン・ロバーツ医師(ドームベッカー小児病院所属)は語りました。

アレックス君が産まれた日、父親のジェレミー・エコルス氏と妻は希望に満ち溢れていました。しかし、6週間後の最初のてんかん発作により、健康な赤ちゃんを育てるという期待は裏切られました。

「当時は彼が自閉症になるとは思いませんでした」と父親は語りました。「しかし、彼が自傷行為に及び始めたのは3歳くらいの頃だったと記憶しています」

エコルス氏によると、アレックス君が5歳になる頃までには、彼は極端な「激しい怒り」や「憤り」を自分に向けるようになりました。エコルス氏は取材班に当時のホームビデオを観せてくれました。父親は、アレックス君の身体中の怪我が、自傷行為の結果だと医師に説明する為にホームビデオを制作した、ということです。

エコルス氏によると、アレックス君はありとあらゆるものに頭突きをするようになり、額をあまりに傷つけたので、どす黒い血がしたたり、顔や頭中がひどい青あざだらけになりました。そこで、両親は頭を防御するためにヘルメットを買い、身体を守るためにアレックス君を新生児のように細長い布でくるんだり、このような衝動を抑えるための処方薬を与えましたが、良い結果は得られませんでした。

アレックス君の暴力的傾向は家族にとって日課となり、生活の一部となりました。アレックス君が8歳の時、泣く泣く両親は彼をオレゴン州政府が運営する施設に入所させることにしました。

「私たちはアレックスを見捨てたような気持ちになりました。アレックスを人に手渡し、もうアレックスは家族の一員ではないのか、と思いつめました。非常に苦しい選択でした」とエコルス氏は語りました。

さて、アレックス君に救いはあるのでしょうか? 2009年の後半、エコルス氏はニュース番組で、カリフォルニアの母親が自閉症の息子を医療大麻で治療していることを知りました。エコルス夫妻は、オレゴンの医療大麻プログラムの情報を収集し、ついに2010年にある医師がアレックス君の医療大麻による治療を認めました。

「私達はマリファナ・ブラウニーやマリファナ・バターの入ったクッキーを試してみました」と父親は語りました。

2013年現在では、アレックス君はオレゴン州の医療大麻法案で守られている未成年者58人のうちの一人となりました。オレゴン州の同法案では、自閉症は、癌や激痛といった、医療大麻の対応疾患として認められていないものの、てんかんが医療大麻法案の適用疾患に当てはまり、アレックス君は合法的に医療大麻の恩恵が受けられます。

そして、たった数ヶ月でアレックス君の症状にドラマチックな改善が見られた、とエコルス氏は語りました。

「アレックスはさっきまで泣き叫び、顔を血でしたたらせながらわめき散らしていたのが嘘のように、1時間から1時間半の間に大人しくなり、手を使っておもちゃで遊ぶようになりました。これまでは考えられなかったことです」

エコルス氏によると、アレックス君が入所していた施設では医療大麻の提供はしないとのことだったので、週に3回くらい、別の場所にて、医療大麻から抽出された液体を経口投与するようになりました。

オレゴン州では医療大麻を推薦する医師に患者の治療が必ずしも任されておらず、従ってアレックス君の医療大麻の摂取量は主要介護人である両親に任されることになりました。そればかりか、アレックス君の主治医であるロバーツ医師は、FOX取材班が報告するまで、この医療大麻治療については知りませんでした。

ロバーツ医師はこのような治療法は擁護しない、と語ったものの、家族の息子を救いたいとの気持ちはわかる、ともコメントしました。

「アレックス君の家族は素晴らしい人たちです。アレックス君を救いたい、という気持ちにおいては私も同じです。皆がアレックス君の病状を治したい、と考えています」と同医師は語りました。

全米小児科アカデミーは、子供に医療大麻を使用することに反対の立場を明確にしており、そのような文書も発表しています。同アカデミーの薬物対策理事、そしてボストン小児科医院の准教授シャロン・レヴィー氏は、大麻が子供の脳の発達を妨げる、とFOXニュースの取材班に語りました。また、医療大麻の長期的影響も(研究不足のため)懸念される、と語りました。

これに対し、エコルス氏は、「私達にとっては、医療大麻の未知の長期的影響やそれとともに懸念される副作用の類が死をもたらさない以上、アレックスが(医療大麻の恩恵を受けず)毎日自傷行為で血まみれになるという長期的影響を下回る、と考えています」と回答しました。

エコルス氏はすべての自閉症の子供に医療大麻を勧める立場はとっていないものの、彼等と同じ立場におかれた者なら、親の気持ちは分かるであろうし、この選択肢がそれほど過激なものではない、と理解を得られるのではないか、と語りました。

エコルス夫妻はフェイスブックにてアレックス君の旅路をドキュメントしています。
詳しくは:www.facebook.com/alex.autism.rage.mmj.

Source: TheHuffingtonPost.com
Oregon family uses medical marijuana to manage son's autistic rage
Posted: Jan 24, 2013
By Nicole Doll
KPTV-KPDX Broadcasting

翻訳:麻生しげる





大麻報道センターにて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://asayake.jp

このニュース記事が掲載されているURL:
http://asayake.jp/modules/report/index.php?page=article&storyid=2970