前略 赤星さま
ツイッターでもちょっと対話しましたが、大麻草検証委員会が提起している10のアクションリストのうち、8の「大麻専門のトリートメント・センター創設へ」という項目について疑問があります。
十人十色。特にこんな活動をやってる連中は、私を含めて変人ばかりで、みんなの意見を一致させるなど針の穴に宇宙を通すようなものですが、大きな方向性が同じであれば、言い出しっぺに任せるのが良いと私は考えてきました。が、この大麻専門のトリートメント・センターは、私に言わせればエイプリル・フールのネタであり、怪文書です。
赤星さん、当サイトの読者会員限定の記事に、しぱらく前、私はあなたのことを「仲間だと思っていない」と書きました。でも、それは事実に反することでした。訂正します。ごめんね。
赤星さんのベースである「産業ヘンプを規制緩和せよ」という主張は、煮て食おうが焼いて吸おうが個人利用の大麻を規制緩和せよと主張する私とは、根本的に異なる価値観からの取り組みだと私は認識しています。違いを強調するつもりはありませんが、「みんな同じ目標なんだから」と、大麻村の一部に吹く、議論を避ける風潮に、私は違和感を覚えています。何が同じで何が違うのか。それを整理して相互に理解することこそが肝要ではないかと思うのです。
私は、赤星さんを心強い仲間だと思ってきました。リサーチ力や実務遂行力に長け、医療大麻の合法化には欠かせない存在だと思い、大麻草検証委員会に政策チームを立ち上げ、その座長を赤星さんに任せることを私は提案し、永田町砂防会館という政治的な場で、大麻取締法改正法案を披露することに成功しました。赤星さんの熱の篭ったプレゼンを、あれ?なんで赤星、大阪弁なん?などと思いながら、できるだけでかい声で声援を飛ばし、思い切り拍手もし、手が痛くなりました。もちろん、全体を統括した森山代表の存在があってのことですが、実務については赤星さんがいなければもっと難儀したに違いありません。赤星さんの功績は極めて多だと私は思っています。(ちと通称はドジったな。時間がなかったし、赤星に任せきりにしちまったし、まさか自分たちで作った法案の通称を変えられんとは想定外だったわ。今からでも仕切り直さない?このままだとうまくいかないと思うよ。)
さて、赤星さんが「実質的に提案とフォローをしています」という大麻専門のトリートメント・センターについてですが、その案内を転載し、疑問点を問います。
アクション(8)
大麻専門のトリートメント・センター創設へ
<提案の背景>
2011年12月に刑の一部の執行猶予制度を盛り込んだ刑法の改正が参議院で可決されました。
これまでの有罪判決は、実刑か執行猶予かの二者拓一でした。新しいこの制度は、例えば、懲役2年のうち後半の1年を1年間の保護観察付き執行猶予とすることができ、軽い罪や初犯に対する「中間刑」といえます。また、法案では、保護観察中に奉仕作業を義務付ける「社会貢献制度」の創設も盛り込まれています。
一度捕まってもまた捕まる率が高い薬物事犯(特に覚せい剤)が主な対象となっています。衆議院での可決は未定ですが、これが可決されると下記のことが可能となります。
●薬物使用者に対する刑の一部の執行猶予制度(薬物使用者制度)
<対象者>
覚せい剤、大麻、麻薬等の規制薬物や、トルエン等の毒劇物について、その自己使用の罪や、営利目的でない単純所持の罪が対象となります。
<保護観察付き執行猶予中の処遇>
保護観察に付きして薬物使用者に対する専門的な処遇プログラムの受講を通じ、再犯防止・改善更生を行います。
・施設内処遇:ダルクのようなところを想定
・社会内処遇:清掃活動、福祉活動などを想定 → 社会貢献制度の創設
※日経新聞での報道 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0400J_U1A101C1CR0000/
※保護司について http://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo_hogo04-02.html
※刑の一部執行猶予とは別に司法手続き中に薬物回復プログラムを先進的に実施するNPO法人アパリの取り組み http://www.apari.jp/npo/pdf/hoshakupanhu18.pdf
<大麻専門の意義>
大麻事犯は、覚せい剤事犯の年間1万人に次ぐ2000~3000人規模の薬物事犯です。大麻で逮捕されることにより、精神的および社会的なダメージは当事者だけでなく家族や友人への影響も大きい。
しかし、覚せい剤と比較して、禁断症状や中毒症状が見られず、再犯率もそれほど多くないことから対策が後回しになっている現状があります。
大麻の非犯罪化・合法化を実現する前に、今すぐできることが逮捕者のケア(トリートメント)という位置づけです。逮捕された多く方は、二度と大麻には関わらない=大麻の非犯罪化・合法化の活動には参加しません。できれば嫌な思いを共有し、語る場所をつくり、現状の刑事政策の問題点の改善に向けた取り組みです。
ケアする施設および団体は皆無であったことから、これらの問題に取り組みたい方を大麻草検証委員会では募集しています。逮捕経験者=トリートメント・センターの創設スタッフになって欲しいのです。
<協力・参加してほしい人>
大麻事犯での逮捕経験者、保護観察官、保護司(市民ボランティア)、看護師、精神科医、臨床心理士、カウンセラー、ヨガなどの心身療法施術者など
http://www.ooasa.jp/swfu/d/auto_yCLCi5.pdf
前段の紹介にある「中間刑」の導入に関しては、薬物の単純所持に懲役刑を科す、ゼロ・トレランス、いわゆる非寛容政策、私訳としては無慈悲政策にあまりに偏った、現在の薬物乱用防止政策を改め、違法か合法かを問わず、薬物依存症者に対しては、治療や社会復帰の観点からの施策に重点を置く、政策的パラダイム・シフトが必要なのだと私は思っています。それは「社会的排除から社会的包摂へ」という薬物乱用防止政策の基本理念に関わることでもあります。
その意味で、「中間刑」の導入に際して大麻取締法問題も俎上に乗せようという点について異論はありません。
私が大麻草検証委員会の世話人として幹事会のメーリング・リストに参加していた際に質問し、どなたからも回答を頂けなかった以下2点について、お尋ねします。
1.大麻専門のトリートメント・センターを作るとのことですが、大麻のどのような症状をトリートするのですか?
2.私たちは、大麻を医療目的で使えるようにしよう、大麻をトリートに使えるようにしよう、と主張していたかと存じますが、トリートが必要な大麻を医療目的で使うのは危険だという指摘にどのように答えますか?
追加の質問です。
3.「覚せい剤と比較して、禁断症状や中毒症状が見られず、再犯率もそれほど多くないことから対策が後回しになっている現状があります」とのことですが、どのような対策が必要なのですか?
4.「逮捕された多くの方は、二度と大麻には関わらない=大麻の非犯罪化・合法化の活動には参加しません」と断言されていますが、根拠を教えて下さい。
以上、4点です。
回答をお待ちします。よろしくお願いします。
草々
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