赤星さま
前略 さっそくの回答ありがとうございます。でも、なんか、言ってること、おかしくない? 赤星さんの回答を囲みで引用しつつ、不明な点などを再質問しながら、私見も添えます。
1.大麻専門のトリートメント・センターを作るとのことですが、大麻のどのような症状をトリートするのですか?
大麻が直接の由来の症状はほとんどないと考れらるので、逮捕された方の心理的ダメージのケアをする場になると思われます。
1-1.大麻が原因の症状はほとんどないなら、「大麻専門のトリートメント・センター」が成立する現実はないということではありませんか?
「逮捕された方の心理的ダメージ」は、大麻が原因ではなく、逮捕が原因です。
精神医学分野の研究においても症例報告という形で大麻依存者の論文があります。
(中略)
精神医学業界で、上記のように言われているような症例がないのでは?という指摘を研究論文という形で反論する力が私たちには残念ながらありません。大麻トリートメントセンターを立ち上げて、精神科医の方が参加し、大麻事犯者・経験者の症例を集めて、反論するのはたいへん有意義だと思ったわけです。
1-2.そもそも、赤星さん自身が「大麻が直接の由来の症状はほとんどない」と言っているのに、どうして症例を集めることができるのですか? 症例がないという症例を集めるのですか?
大麻で逮捕された者たちはモルモットではありません。
赤星さんが引用した論文それぞれに、本気で反論する気があるのなら、査読を通った論文が海外文献にいくらでもあります。臨床試験すらできないのに、日本でまともな研究ができるわけないでしょう。
長年、大麻吸っても俺は健康だぞ!とブログやフェイスブック等でカミングアウトするよりも、精神医学系の研究論文としてまとめる方が大麻取締法の不備を指摘するよい材料になるからです。
精神医学系の大麻研究は査読を通った論文が海外に多数あります。それに、現在の日本で、「大麻吸っても俺は健康だぞ!とブログやフェイスブック等でカミングアウトする」ことが、どれほどリスキーで、どれだけ勇気がいることか、大麻吸いではない、逮捕のリスクなど微塵もない、効かない大麻のヘンプ屋さんの赤星さんには理解も想像もできないのでしょうね。
私の場合は勇気とか正義は関係なく、行き掛り上のチキンレースの成れの果てですが、多くの人が、自分の体験として、大麻には害がないゾ、疼痛がやわらいだゾ、癌が治ったゾ、と、この日本でカミングアウトすることは、世論を喚起するうえで、とてもとても大きな力になると思います。経験者の体験談を軽視する意味が分かりません。
そもそも、医療大麻興隆のきっかけとも言える、多発性硬化症の疼痛緩和に大麻が効くという実証は、患者たちのあいだで経験的に語られていたものが、その後の医学的研究に結びついたのです。事件は研究室で起きているのではありません。現場で起きているのです。
2.私たちは、大麻を医療目的で使えるようにしよう、大麻をトリートに使えるようにしよう、と主張していたかと存じますが、トリートが必要な大麻を医療目的で使うのは危険だという指摘にどのように答えますか?
大麻専門のトリートメントセンターで精神科医が大麻取扱者免許を取得したならば、海外で行われているようなアルコール依存や他の薬物依存者に、大麻でトリートするというユニークな施設になるでしょう。(これを合法的に実施するには現状では特区のようなものでないとできません)
2-1.「大麻専門のトリートメント・センター」が、なんでアルコール依存や他の薬物依存者の話になっているのですか?
海外で行われているように、アルコール依存や薬物依存の治療に大麻を使うというのは、医療大麻そのものでしょう。赤星さんは、大麻専門のダルクのような施設を作るのだと言っていたではありませんか。私には意味が分からなくなってきました。
大麻専門のトリートメント・センターという名称が、大麻は薬物依存する→トリートが必要という誤解を受けたと思います。実際の目的は、逆です。何かよい名前がないかアイデアが欲しいところです。誤解を招く名前にして後悔しております。すみません。
寝起きですか? 誤解などしていませんよ。赤星さんが、自分で言っていたことの意味を変えただけです。「実際の目的は逆」で、「大麻の治療」ではなく「大麻で治療」なら、なんのことはない、ただ単に「医療大麻センター」ではありませんか。
2-2.よい名前を募集してるんですか?「大麻専門のアルコール・他の薬物 医療大麻トリートメント・センター」はどうですか?
4.「逮捕された多くの方は、二度と大麻には関わらない=大麻の非犯罪化・合法化の活動には参加しません」と断言されていますが、根拠を教えて下さい。
年間逮捕者が2000~3000人いる中で、表立ってそのような活動に参加される方は少数派のような気がしています。もし、10年間で2万人ぐらい大麻事犯での逮捕者がいるならば、2割の4000人ぐらいはアクティブに動いてもよいと思っています。この理屈は、ある集団がいれば、2割が働きアリ(蟻)、6割は普通に働くアリ。2割はサボるという「働きアリの法則」を参考しています。
「逮捕された多くの方は、二度と大麻には関わらない=大麻の非犯罪化・合法化の活動には参加しません」と断定した根拠、「働きアリの法則」でしたか。
4-1.今度会ったとき、殴ってもいいですか?
大麻報道センターは、主宰している私をはじめ、多数の逮捕経験者たちの実働によって成立しています。翻訳ボラにも逮捕経験者が複数いるし、長く相談対応をしてくれていた女性も、書き起こしをやってくれた人も。ビラ撒きや署名活動に力量を発揮する彼は2度の逮捕経験者だし、その他、裏方的な作業を手伝ってくれていたり、読者会員として支えてくれている人もいます。
むしろ、私の実感としては、合法化運動など関心もなかったのに、大麻で逮捕された経験を通じて、現在のあり方を変えなければならない、変えたい、と決意した多くの逮捕経験者たちが、力強く頼もしい協力者として、大麻報道センターの取り組みを支えてくれています。
そして、何より、大麻取締法は憲法違反であると主張して、最高裁まで戦ったのも、他ならぬ逮捕された者たちです。逮捕されて戦っている中山さんの裁判で、赤星さんが、証人として立つので情報と意見をくれと求めてきた際、これまで私たちが取り組んできた累次の裁判の判決内容や、その矛盾点を系統的に伝えましたが、それらもすべて、逮捕され、経験者にしか分かりようもない苦しさと悲しさを抱えながら戦った者たちの、魂の記録です。この無礼者めが。
逮捕された者たちや、その家族、親しい者たちの苦しみや悲しみ、マスコミで晒し者にされ、仕事や学籍を奪われ、生活の基盤を根こそぎ破壊され、家族が崩壊してしまった人たち。その慟哭を知っている者なら、「働きアリの法則」と逮捕された者たちを比較するような無神経なことは書けないでしょう。効かない大麻のヘンプ屋さんには逮捕など関係ないから想像すらもできないのでしょうが。
大麻で逮捕された人たちは、赤星さんにとってインビジブルな存在であることがよく分かる第1回回答でした。
派生した質問5点、「1-1」「1-2」「2-1」「2-2」「4-1」の回答をお待ちします。
次で終わるといいね。
草々
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