大麻成分CBDによる重度てんかん治療のリアルタイム報告(1)

投稿日時 2013-04-15 | カテゴリ: 医療大麻の真実に迫る

[編集部注:この原稿は、米国カリフォルニア州で医療大麻の栽培と使用のライセンスを所有し、合法的な医療大麻栽培者として活動しているJ Eric Yinglingさんの寄稿です。エリックさんが関わっている、重度のてんかんの方に、ご両親がCBDを主成分とする薬の施用を始めたとのこと。ご両親のご了解を頂き、個人情報に触れない範囲で、いま現在カリフォルニアで進行中の大麻寮法について継続的に報告します。]


J Eric Yingling 

私の知人に重度のてんかんを患っている、40代の女性がいる。彼女は4才くらいで初めててんかんの発作を起こし、12才になるころには、一日に2~3回のてんかん発作を起こすようになった。

彼女の発作に伴い、脳内に血液や酸素の供給がうまくいかず、段々と知能が低下し、現在では意識も殆どないくらいの重症だ。40代となった昨今は、一日にてんかんを5回も起こすほどに重症だ。


常に宙を見据えている彼女は、歯ぎしりもひどい。現在の所、子供向けテレビ番組を見て、時々笑うのが唯一の救いだ。彼女はもう言葉も話せない。一人で歩く事も食事をする事も出来ない。

介護人を二人も必要とする彼女には、年月を経て、様々な療法を試みてきた。しかし、一般処方薬のどれも効かず、むしろてんかんの発作が増えるというジレンマに陥った。様々な薬を試してみたが、どれも彼女には不向きだった。

そこで、代替療法として、乾燥大麻をヴェポライザーで吸わせてみた事がある。ところが、THCはてんかんを更にひどくした。恐らく、(一般的に言われているように)大麻草がてんかんに効くというのは、THC以外の成分ではなかろうか。

大麻草による治療を諦めていた矢先の事だった。私たちは、大麻草に含まれる成分のひとつであるCBD(カンナビジオール)についての研究論文をいくつか読む機会に恵まれた。それによると、彼女の場合、神経伝達物質がまともに機能していないので、それを促すTHCは逆効果になる場合があるという。

CBDには精神作用はなく、神経伝達物質を選択し、それを修復する作用がある。従って、発作が以前よりひどくなる事も無いだろう、というのが私たちの達した結論だった。そこで、サンフランシスコ近郊のCBD専門医の意見を伺うことにした。

医師曰く、大麻草(ヘンプ)由来の、CBD治療薬がコロラド州の某社から出ている、という。CBDチンキやCBD錠剤やCBDクリームといった製品を主に扱っているようだ。私たちは、早速これを取り寄せ、試してみる事にした。錠剤を呑ませるのは難しいので、チンキを選んだ。

医師によると、効果が現れるまでに3週間から1ヶ月はみといた方がいいだろう、とのことだった。ところが、彼女の朝食のオートミールに数滴のCBD治療薬を混ぜてみた所、一週間ほどで改善が見られた。が、CBDが効いているのかどうかはわからない。

しかし、現実に、一日5回のてんかんが、2回ほどに治まり、夜もゆっくり眠れるようだった。それから数日しててんかんによる発作はまったく治まった。

まだ、CBD治療を試して10日ほどである。このような重度の疾患を抱えている人は40代前半で亡くなることが多いらしいが、この状況を脱し、少しでも病状が治まれば、との思いで、私たちはCBD治療に賭けている。

精神作用のないCBDは、日本では大麻取締法の規制成分に指定されており、従って、日本では治療目的では使えない。

この無限大の可能性を秘めた、CBD治療がなんらかの効果を発揮することを祈るばかりである。
これから、CBDがこのような激しいてんかん発作に対してどのように作用するかは未知数だが、試してみる価値はある。

患者の家族にとっては、わらにもすがる思いであり、このような形の医療大麻は非常に切実なる問題である。

(続く)





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