2013年1月17日(木)
コロラド州デンバー: 在ドイツの労働学研究所(Institute for the Study of Labor (IZA) )が今週閲覧可能にした審議資料によると、いわゆる薬物影響下の車両運転(DUI)に関する法律を発動しても、死亡事故の発生率は減少しないという。当該法は、微量の規制薬物、および・または、その不活性代謝物(副産物)が血液中または尿中にある状態で車両を操作した運転者に対する交通安全違反を設けるものだ。
1990年以降、米国内では11の州が寛容性ゼロのDUI基準法を通過させている。当該法は、身体内に検 知可能な量の規制薬物がある状態で運転することを違法とするものだ。また他にも5つの州が、規制薬物とその副産物の制限を指定する同類の法律を通過させている。大麻については、この16州のうち、14州(アリゾナ、デラウェア、ジョージア、イリノイ、インディアナ、アイオワ、ネバダ、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ロードアイランド、ユタ、ワシントン、ウィスコンシン)が、そのような厳格な責任"基準"を課している。近年、ホワイトハウス全米麻薬撲滅対策室は、国内全州に対し、寛容性のない"薬物基準"の制定を勧告している。
コロラド大学デンバー校とモンタナ州立大学の経済学者らは、1990年から2010年の期間中の、致死率分析報告システム(Fatality Analysis Reporting System (FARS))の州レベルのデータを使用し、規制薬物の"基準値"を課すことと、致死的な交通事故発生率全体の関係性を分析した。その結果、その関係性は統計的に0とほぼ変わらないことが判明し、そのような制限により交通事故死亡者数が減少する証拠はないと結論された。
研究者らの結論は次のようなものだ。「このような基準法は、車道をより安全にするための効果的な戦略として、政治家や学者らが執拗に推していたものであるにも関わらず、その施行によって交通事故死亡者数が減少していることは証明されませんでした。・・・われわれには、DUI基準法に法的効力がない理由は解明できなかったため、それは今後の研究に託されます。しかし、この研究結果から、現在施行されているような、身体内に検知可能な規制薬物がある状態での運転を違法とする法律が、交通事故死亡者数に及ぼす効果はほぼ無いか、皆無であることは明らかです」。
なお、2011年に同じ学者らが公表した別の報告書によると、州の医療大麻法が承認されることにより、交通事故死亡者数は減少するという。
(2012年)11月の大統領選挙と同じ日、ワシントン州の有権者らは、大麻の成人への販売と公の場以外での使用を合法にする住民発議法案(Initiative 502)を承認した。しかしこの法案は、21歳以上の運転手に対して、血中THC濃度に上限5ng/mlの規定を課すものだ。同日同じように住民らが大麻合法化を承認したコロラド州では、民主党のジョン・ヒッケンルーパー州知事と、共和党のスティーブン・キング上院議員が現在、ワシントン州とほぼ同じような大麻関連"基準"法の承認を要求している。
NORMLはこれまで、カンナビノイド専用の制限を課すことに一貫して反対している。その主張は、血液中にTHCがあることだけで、とりわけ少量であればそれだけ、行動障害を矛盾なく予知することは難しく、特に日頃頻繁に大麻を使用していると、急激に機能低下している時間を過ぎても、血中の残留THCは検知される可能性がある、というものだ。
大麻影響下での車両の操作は、全50州ですでに刑事犯罪となっている。しかし、ほとんどの州のDUI基準法では、有罪判決を受けるには、運転手がその少し前に大麻を摂取したこと、およびそのことで安全な運転ができない状態になっていたことを、検察が証明しなければならないことになっている。
詳しい情報は、NORML副理事長ポール・アルメンターノ(paul@norml.org)にお問い合わせください。この研究の全文 "Per Se Drugged Driving Laws and Traffic Fatalities" は、以下のウェブサイトで閲覧可能です。
http://ftp.iza.org/dp7048.pdf
Source: NORML News
Study: Imposition Of Per Se Limits For Drugs Don't Reduce Traffic Deaths
Thursday, 17 January 2013
翻訳:bongyo
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