2013年1月31日(木)
マサチューセッツ州ボストン: 米国心臓学ジャーナル(American Heart Journal)のオンライン版で公表された試験データによると、冠状動脈疾患(血栓症)を罹患した患者が大麻を使用していても、致死リスクは増加しないという。
ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)、ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(Beth Israel Deaconess Medical Center)の研究者らはこのたび、心臓発作を発症した患者3,886名の、以後18年の生存率を評価するプロスペクティブ研究(訳注)をおこなった。
報告では、18年の間に、心臓発作発生前の1年間に大麻を使用していた109名のうちの22名を含む519名の被験者が死亡したが、「大麻の使用と致死率の間には、統計的に重要な関係性はなかった」と結論されている。
以前の研究では、カンナビノイドにより、とりわけ摂取経験が少なければそれだけ、血圧が一時的に高くなる場合があることや、慢性的な大麻使用者は、心血管系リスクに繋がる特定のタンパク質の産生が多いことを理由に、心臓発作のリスクは大麻の消費によって増加する、と推測されていた。
今回の研究は、同じ研究グループによる、過去の研究結果に矛盾する結果となった。過去の研究では、より規模の小さい集団が対象となっていた。
結論は、「心筋梗塞経験者のその後を最長で18年間追跡した、このプロスペクティブ多施設コホート調査では、大麻の喫煙と致死率の関係性を示す決定的な証拠はなかった」としている。しかし、同時に次のように注意する。「冠状動脈性心臓病患者による大麻の喫煙が心血管系障害の結果を招くかどうか立証するには、今後、大麻使用の反復測定を取り入れた、より規模の大きい研究が必要である。・・・前の結果を考えると、冠状動脈性心臓病患者や、心疾患を患う高いリスクがある患者には、大麻の喫煙を避けるよう警告するのが堅実だと考えられる」。
詳しい情報は、NORML副理事長ポール・アルメンターノ(paul@norml.org)にお問い合わせください。この研究の全文 "Marijuana use and long-term mortality among survivors of acute myocardial infarction" は、American Heart Journal に掲載されています。
(訳注)プロスペクティブ研究:「前向き研究」とも呼ばれる。研究計画を立案し、ある時点から観察、あるいは介入行為を行い、データを収集する試験。臨床試験はプロスペクティブ スタディ。「前向き」とはある時点から将来に向かって行うという意味であり、積極性とは無関係。出典:東京大学医科学研究所附属病院TR情報室 http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/TRIS/CTbasic_1.html#%E3%81%AF
Source: NORML News
Study: Marijuana Smoking Not Associated With Greater Mortality Risk Among Heart Attack Survivors
Thursday, 31 January 2013
翻訳:bongyo
|