2-衆-本会議-67号 昭和23年06月19日
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
午後四時十四分開議
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議事日程 第六十三号
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
午後一時開議
第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 麻藥取締法案(内閣提出)
第三 大麻取締法案(内閣提出)
第四 輸出入植物檢疫法案(内閣提出)
第五 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第六 製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律案(内閣提出)
第七 郵便爲替法案(内閣提出、参議院送付)
第八 郵便振替貯金法案(内閣提出、参議院送付)
第九 電波物理研究所を電気試験所に統合する法律案(内閣提出、参議院送付)
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○議員(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
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○議長(松岡駒吉君) 日程第二、麻藥取締法案、日程第三、大麻取締法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。
〔山崎岩男君登壇〕
○山崎岩男君 ただいま議題となりました麻藥取締法案及び大麻取締法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
まず麻藥取締法案について申上げます。
阿片、モルヒネ、コカイン等のいわゆる麻藥は、医療上欠くことのできない藥品でありますが、他面、これらの濫用による害毒は、過去の歴史が示している通り、民族の興亡にも影響いたすものであります。從つて、麻藥の害毒を排除しつつ、一方医療上、学術上必要なものを確保し、もつて國民医療の完璧を期するためには、國内的にも國際的にも、適切かつ強力な施策の必要があるのであります。政府におきましては、戦後國内の麻藥の取締を一層強化するため、各般の施策を講じてまいつたのでありますが、その後情勢の変化に伴い法規の改廃を要する点もあり、また一方には、日本國憲法実施に伴い、その精神に則つて新しく法律を制定し、もつて取締りの万全を期するとともに國際的協力の完璧をはかるため、本法案を制定することになつた次第であります。なお、從來の阿片法及び勅令第五百四十二号に基く麻藥取締規則等四つの厚生省令は、これを廃止して、今後麻藥の取締に関しては、本法により一元的に処理せんとするものであります。
次に、この法律案の骨子といたしますところを申上げます。まず第一に、麻藥の不正取引及び不正使用を防止するため、麻藥を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は麻藥を取扱うことを禁止いたしております。第二に、麻藥の中毒者のうち、特に公安を乱す者等については、これを取締り、これが絶滅を期するものであります。第三に、麻藥の取引の系統を一定するとともに、取引を要式行爲とし、また麻藥取扱者に記帳義務を課して、麻藥の所在及び移動の責任を明確ならしめんとするものであります。第四に、行政機関が麻藥の製造、在庫、消費等につきましての適切な施策を行い得るため、麻藥取扱者に対して所定の報告を徴することといたしております。
本法案は、去る六月七日本委員会に付託せられ、同十日政府より提案理由を説明の後、ただちに審議にはいつたのでありますが、政府に対する質疑は少く、麻藥中毒患者の收容施設等に関して政府との間に二、三簡單なる質疑應答があつて、十六日審査を終り、十七日の本委員会において、討論を省略して採決いたしましたところ、全員一致をもつて本案は原案通り可決すべきものと決した次第であります。
次に、大瓶取締法案について申し上げます。
大麻草に含まれている樹脂等は、麻藥と同様な害毒をもつているので、從來は麻藥として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培しでいる者は、大体が農業に從事してるのでありまして、先ほどの麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等とは職業の分野がはなはだしく異なつています関係上、別個な法律を制定いだしまして、これが取締りの完璧を期せんとする所存であり、これが政府の本法案提出の理由であります。
次に、この法案の骨子といたしまするところを申し上げますれば、まず大麻の不正取引及び不正使用を防ぐため、大麻を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は大麻を取扱うことを禁止しようとするものであります。次に、大麻の取引を要式行爲とし、また大麻取扱者に記帳義務及び報告義務を課じて、大麻の移動の責任を明らかにしようとするものであります。
本法案は、六月十日本委員会に付託せられ、十二日政府の提案理由の説明があり、十六日審議にはいりましたが、大麻草の栽培面積の決定と食糧増産との調整に関して、政府との間に簡單な質疑應答があつて、同日審議を終り、十七日の本委員会において、討論を省略して採決いたしましたところ、全員一致をもつて決した次第であります。
以上、簡單ながら御報告申し上げます。
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
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