麻薬取締法・大麻取締法改正法案(昭和25年02月15日)

投稿日時 2006-06-14 | カテゴリ: 大麻取締法国会議事録

7-参-厚生委員会-13号 昭和25年02月15日

昭和二十五年二月十五日(水曜日)
   午前十時四十二分開会
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  本日の会議に付した事件
○麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。
 本日は麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案を議題にいたしまして、その審議を進めます。
 先ず提案理由の説明をお願いいたします。

○国務大臣(林讓治君) 只今議題になりました麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案につきまして、簡單に御説明いたします。
 現在麻薬及び大麻の取締は、各都道府県の吏員の中から厚生大臣が任命した麻薬取締員に司法警察権を與えまして、これが取締を行なつて来たのでありますが、これが欠陷といたしましては、身分関係は都道府県知事に属し、捜査の指揮の権限は厚生大臣に属しております関係上、国の一貫した取締行政を行うことが困難な状況にあつたのであります。今回の症正によりまして、国の一貫した行政、即ち官吏としてこの取締行政を行わんとするものであります。
 以上改正の大要を御説明申上げたのでありますが、何とぞ御審議の上速かに可決せられんことを切望いたすわけであります。尚、詳細のことは説明員なり或いは政府委員の方から御説明いたさせます。

○委員長(塚本重藏君) それでは今少し内容について改正の要点を星野厚生省薬務局長代理から御説明をお願いいたします。

○説明員(星野毅子郎君) 麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案の改正の趣旨は、只今厚生大臣より申上げた通りでございます。ただ少しく詳細にその趣旨を補足いたしますならば、身分関係におきまして、只今厚生大臣の指揮監督を受けまして麻薬の取締、捜査に当つております麻薬取締員は、都道府県知事の任命いたします地方の吏員という身分を持つておるわけでありますが、身分関係と命令系統を一致せしめることによりまして、最近の発達いたしました麻薬犯罪の捜査、取締に完全を期したいという強い関係方面の要望もございまして、各條文中都道府県の知事の権限を全部厚生大臣にしました。従いまして都道府県知事の実施機関であります当該吏員の身分を抜きまして、これを官吏に統一し、麻薬取締員を麻薬取締官に改めまして、法律上もこの制度の一致ということに合せた次第でございます。尚曾てこの麻薬に対しまする国際條約におきまして、従来ジユネーブにおきまして、阿片と共に麻薬製造と分配の制限に関しまする條約がございました。我が国も加盟しておつたわけでございますが、その條項に、特別の機関をしてこれらの麻薬の行政に当らしめるという字句があるわけでございます。世界の各国におきましては、国の特例の機関によりましてこれを実施しております。私共が承知いたしておりますところでは、ブラジルのみが、国と地方とこれを分けまして行なつておる状況でございます。ただ国の機関において統一せられておるように承知いたしております。さような関係もございまして、将来国際関係へ復帰いたしまして、この條約に直接加盟するという機会になりました場合に備えまして、かかる改正を行なつたわけでございます。
 條文といたしまして特に御説明申上げたいと存じますのは、五十二條の二の、「厚生省に二百五十名以内の麻薬取締官を置き、各都道県にこれを駐在させる。」現在は二百五十名以内の麻薬取締員を置きまして、これを厚生大臣が指名するということになつておりますが、これを取締官に改めまして国の官吏といたしました。駐在場所は各都道府県にこれを駐在させるということにいたしました。その二項といたしまして、「麻薬取締官の駐在する位置及び都道府県ごとの員数は、厚生大臣がこれを定める。」ということになつております。尚その他各條文につきまして、例えば麻薬の盜難の届出の権限或いは届出を受ける権限が知事にありましたのを厚生大臣に移し、或いは業務停止の権限を厚生大臣に移します。或いは臨検、検査等の、知事が当該吏員をして行わしめる権限を持つておりましたのを全部厚生省に統一するということに、只今の趣旨に応じまして全部條文を改正したのであります。
 大麻取締法におきましても、例えば厚生大臣と知事両者が不祥事故の調査を命じますとか、或いは立入検査の権限が当該官吏或いは吏員にあつたわけでありますが、これを改めまして、全部官吏一本にいたしたという事務的な改正に過ぎないのであります。厚生省設置法におきましても、従来麻薬取締員を指名することになつておりましたわけでありますが、今後は厚生省の官吏の中から麻薬取締官を補職するということになつたわけであります。

○委員長(塚本重藏君) お諮りいたしますが、この法案に対しまする質疑応答を次回にすることにして、この程度に止めたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(塚本重藏君) それではあと協議会に移しまして、本日はこれを以て散会いたします。
   午前十時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
   委員
           姫井 伊介君
           山下 義信君
           石原幹市郎君
           草葉 隆圓君
           竹中 七郎君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 林  讓治君
  説明員
   厚生事務官
   (薬務局長事務代理)  星野毅子郎君






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