参院本会議(昭和25年03月10日)

投稿日時 2006-06-14 | カテゴリ: 大麻取締法国会議事録

7-参-本会議-26号 昭和25年03月10日

昭和二十五年三月十日(金曜日)
   午前十時五十四分開議

 議事日程 第二十四号
  昭和二十五年三月十日
   午前十時開議
 第一 麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第二 帝国石油株式会社法を廃止する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、日用品検査所の支所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第六 日本国憲法第八條の規定による議決案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 恩給法の改正ならびに恩給支拂促進に関する請願(委員長報告)
 第八 恩給法臨時特例改正に関する請願(十三件)(委員長報告)
 第九 恩給一時金即時支給に関する請願(委員長報告)
 第十 傷い者の恩給増額等に関する請願(委員長報告)
 第十一 恩給法臨時特例改正に関する陳情(委員長報告)

○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。

○副議長(松嶋喜作君) これより会議を開きます。
 この際お諮りいたしたいことがございます。通商産業委員長より、中小企業の実態を実地調査するため、宮城県、福島県及び山形県に境野清雄君を三月十一日より五日間の日程を以て派遣いたしたい旨の申出がございました。委員長申出の通り境野清雄君を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。

○副議長(松嶋喜作君) 日程第一、麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。

   〔塚本重藏君登壇、拍手〕

○塚本重藏君 只今議題となりました麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 先ず本改正案の提出の理由及びその概要を申上げます。麻薬取締法及び大麻取締法は第二回国会におきまして制定を見た法律でありますが、その後第三回国会におきまして、麻薬に関する犯罪捜査の機関といたしまして麻薬統制主事の中から麻薬取締員を指名し、その権限を昭和二十四年一月一日を以て施行される刑事訴訟法の改正に対応するように改正いたしたのであります。即ち現在麻薬及び大麻の取締は、各都道府県の吏員の中から厚生大臣が任命いたしました麻薬取締員に司法警察権を與えまして、これが取締を行なつておりますが、これが法律の欠陷といたしましては、身分関係は都道府県知事に属しており、捜査の指揮の権限は厚生大臣に属しておりますために、国の一貫いたしました取締行政を行うことが極めて困難な状況にあるのであります。今回の改正案によりまして、国の一貫した行政、即ち官吏をしてこの麻薬取締行政を行わせ、麻薬取締に完璧を期するのであります。以上本改正案の大要を申上げました。
 本委員会におきましては、改正の内容は以上申上げますごとく極めて簡單ではありますが、麻薬によりまする犯罪の激増する現状に鑑みまして、本法案の審査は二月十五日及び三月七日の両日に亘りまして極めて熱心に且つ愼重に審議を行なつたのであります。その間におきまする政府委員との間に行われました質疑応答のうち主なるもの二三を御紹介申上げます。
 従来の制度実施に当つて麻薬及び大麻の取締に如何なる困難があつたのかとの質問に対しまして、従来は身分関係と命令系統が一致しなかつたために、犯罪が他府県に跨がる場合、そういう場合には若干の困難があつたが、今回の改正によりましてこれらを一致させ、国の一貫した取締行政を行うことにいたしたのである、尚この点につきましては、各国とも国の機関をして行わしめておりまするし、将来国際関係の復活の場合の体制を整える必要からもこの改正を行わんとするものであるとの答弁がありました。又国の一貫した官吏をして麻薬取締行政を行う場合、府県の総合行政との関係如何との質問に対しまして、麻薬取締行政は特殊の行政であり、普通の地方行政とは趣きを異にしており、尚、取締官に対しまする監督は專任者を定めてこれに当らせる方針である。実際上は取締官も漸次習熟して来ておりまするから、別段問題は起らないと思うとの答弁がありました。又最近麻薬犯罪が激増しているのはどういうわけであるかとの質問に対しまして、犯罪が殖えたのは、主として麻薬の密輸入が増加したのと麻薬取締員の熟練によりまして摘発の件数が多くなつたためであるとの答弁がありました。
 以上のような質疑応答の後、討論に入りましたところ、石原委員より、今回の改正の趣旨には大体賛成であるが、ただ今後本法を実施する上において、この運営に当つて都道府県の総合行政と、こういう特殊行政との間が円滑に関連が持てるように十分係官を指導教養して行くべきことを希望するとの意見がありました。又藤森委員よりは、この法案に賛成するが、この法案によつて麻薬取締官の職務権限が非常に強化されることになるので、麻薬関係の犯罪を防止するというような善良な取締官を養成することに特に留意して貰いたい、徒らに摘発主義で犯罪を殖やすような行政措置は遺憾であるから、政府としてはかかる弊害のなきように運営上十分注意されるよう希望して本案に賛成する旨の討論がありました。かくて討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)

○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕

○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。






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