大変に遅くなりましたが、昨年9月29日に大麻報道センターが主催した「あとの祭り~だから今こそ医療大麻を!」の会場で逮捕された桂川直文氏の第1回公判記録を公開します。(2014.3.18)
桂川さんは、実際には下記の記録に残っているよりも熱のこもった供述を行いましたが、丸くまとまっているようです。
事件当日何があったのかについては、別途お伝えします。
以下、裁判記録より
平成25年(わ)第174号等
第1回公判調書(手続)
被告人氏名 桂川直文(出頭)
被告事件名 大麻取締法違反
公判をした年月日 平成25年12月25日
公判をした裁判所 長野地方裁判所松本支部
裁判官 本間敏広
裁判所書記官 望月久史
検察官 中山誠
出頭した弁護人 長瀬孝浩
人定質問
氏名 桂川直文
生年月日,職業,本籍は平成25年12月12日付け起訴状記載のとおり
被告事件に対する陳述
平成25年11月8日付け及び同年12月12日付け各起訴状記載の公訴事実について
被告人
公訴事実は,いずれも間違いありません。
弁護人
被告人と同様です。
検察官の冒頭陳述
平成25年11月8日付け及び同年12月12日付け各起訴状記載の公訴事実について
別紙冒頭陳述要旨記載のとおり
証拠調べ等
証拠等関係カード記載のとおり(「期日」欄に(1)と表示したもの)
検察官の釈明
甲22号証はゴミ袋ごと没収の対象で一袋という単位になり,甲16号証の単位は一塊,甲17号証はタッパーを除く大麻含有の固形物が没収対象になり,甲3及び10号証は袋入りの植物片1袋,甲4及び11号証は茎何本という単位になります。
証拠調べ等
証拠等関係カード記載のとおり(「期日」欄に(2)と表示したもの)
公判の進行について
弁護人
残りの被告人質問の時間は5分程度。現在の大麻のおかれた状況について情状として弁論する予定です。
検察官
被告人質問の予定時間は15分程度です。
被告人
準備した書面による最終陳述は15分程度,陳述後書面は裁判所に提出する予定です。
指定告知した次回期日
平成26年1月31日午前10時00分
平成26年1月29日
長野地方裁判所松本支部
裁判所書記官 望月久史
冒頭陳述要旨
大麻取締法違反(栽培,所持) 桂川直文
第1 身上,経歴等
1 長野県南安曇郡高家村(現 安曇野市)で出生し,高校卒業後,実家の印刷業を手伝い,現在に至る。
2 婚姻歴はなく,犯行当時は,父や兄弟と住む自宅敷地内の木造2階建て2階部分を使用して居住していた。
3 前科2犯 ※うち累犯前科1犯
H5.9.2 大麻取締法違反(栽培,所持) 懲役2年 執行猶予4年
H16.4.14 大麻取締法違反(営利目的の譲渡,栽培,所持),覚せい剤取締法違反(所持),麻薬取締法違反(所持)懲役5年,罰金150万円(刑執行終了 21.5.11)
第2 犯行に至る経緯及び犯行状況等
1 被告人は,昭和52年頃に大麻を吸い始め,昭和55年頃に雌株の未成熟な花穂(シンセミア)を吸って大麻酔いを感じ,音楽が情感豊かに聞こえ,絵の色彩が鋭敏になったような気になるほか,心も体も楽になるような気がするようになってからは,大麻を良いものだと思い,大麻の栽培や規制に至る経緯などを研究するようになった。
被告人は,平成5年に大麻の所持や栽培で検挙された後は,大麻の復権活動に積極的に関与するようになり,自ら大麻に関する執筆を行ったり,大麻を普及させるためのイベントを開催するようにもなった。
2 被告人は,大麻の営利目的譲渡・栽培・所持のほか,覚せい剤の所持などの事実で,平成16年4月,懲役5年の実刑判決を受けたが,その最終陳述において,「今後は合法的に生活していく」旨誓約していた。
被告人は,平成21年5月に出所後,大麻の栽培を控えていたが,平成22年5月頃には,庭に生えてきた大麻草を畑に移植するなどして,大麻の栽培を再開するようになり,平成23年春頃からは,大麻の合法化運動をするに当たり,大麻の現物がないと運動が回っていかないなどと考え,更に手を掛けて大麻を栽培するようになった。
3 被告人は,平成24年3月頃,自宅内において,マザーとなる大麻草からその一部の枝を切り,これをロックウールに挿し木して根付かせた上,これが発芽すると鉢に移植するなどして大麻草を栽培した。
被告人は,平成24年9月ないし10月頃,その大麻の花穂を刈り込んだ後,新たに新芽が出てきた大麻草1本があったことから,白い光を当て続けるなどして,平成25年10月2日までの間,自宅内において,この大麻草1本を枯らすことなく育成した(平成25年11月8日付け起訴状公訴事実1)。
4 被告人は,平成25年1月頃,自宅内において,同様に,マザーとなる大麻草からその一部の枝を切り,これをロックウールに挿し木して根付かせた上,これが発芽すると鉢に移植するなどして大麻草を栽培し,同年10月2日までの間,大麻草29本を育成した(同日付け起訴状公訴事実2)。
5 さらに,被告人は,平成25年5月頃,自宅の栽培室で育てていた大麻草数本を,自宅敷地内の被告人が管理する畑に植え替えるとともに,前年の収穫時期に落ちた種から生えてきた同畑内の大麻草について,雄株を抜き取り,水や日光を与えるなどして,同年10月3日までの間,同畑内において,大麻草67本を育成した(同日付け起訴状公訴事実3)。
6 警察官が,平成25年10月2日,被告人の自宅内の捜索を実施したところ,被告人が栽培室として使用していた2階洋室の冷蔵庫や居間などから,被告人が所持していた大麻を含有する植物片や固形物などが発見され,差し押さえられた(平成25年12月12日付け起訴状公訴事実)。
第3 その他情状等
以上
平成25年(わ)第174号等
裁判所書記官
被告人供述調書(1)
(この調書は第1回公判調書と一体となるものである。)
氏名 桂川直文
検察官
(甲)証拠番号1の捜索差押調書添付の写真を示す
これら全ては被告人が育てていた大麻ということでいいですか。
はい。
いずれも所有権放棄ということでいいですね。
はい。
鉢はどうしますか。
返してもらいます。
大麻の葉と茎は放棄するが,鉢は返還を希望するということですね。
はい。合法的な物はみんな返却してください。
(甲)証拠番号8の捜索差押調書添付の写真を示す
この畑にあった物はいずれも被告人の物ということで間違いありませんか。
はい。
これらも葉と茎の部分に分かれていますが,いずれも処分して構わないですね。
はい。
(甲)証拠番号16の植物片(種子を含む。白色半透明ケースに入っているもの)示す
ケースに入った種や植物片ということでよろしいですね。
はい。
(甲)証拠番号17の練り物状の固形物(青色タッパー入りの物もの)を示す
これの中身はなんですか。
バターです。
バターの中に大麻成分を溶かし込んだということですね。
はい。
(甲)証拠番号18の植物片(種子を含む。チャック付きプラスチック製袋入り),
(甲)証拠番号19の植物片(若どり等と記載のあるチャック付きプラスチック製袋入り),
(甲)証拠番号20の植物片(種子を含む。チャック付きプラスチック製袋入り),
(甲)証拠番号21の植物片(種子を含む。2012.10.10等と記載のあるチャック付きプラスチック製袋入り)を示す
こちらはいずれも被告人の物ということで間違いありませんね。
はい。
(甲)証拠番号22の植物片(種子を含む。プラスチック製ゴミ袋入り)を示す
これら全ての植物片や大麻成分の入ったバターは被告人の物で,いずれも所有権放棄するということでいいですね。
はい。
こちらのケースとかタッパーとかは。
返してください。
中身はいらないけれど,その余の物は返却を望むと。
はい。
以上
平成25年(わ)第174号等
裁判所書記官
被告人供述調書(2)
(この調書は第1回公判調書と一体となるものである。)
氏名 桂川直文
弁護人
1 本件の大麻を医療で使用するために頼まれて栽培していました。効果としては,痛み止め,ストレス解消及び免疫力向上です。
2 私は大麻を使うと感覚が鋭敏になり,情感豊かにもなり,心身ともに我々を救ってくれるので,大麻はいい物だと考えています。それで大麻合法化運動をはじめました。大麻取締法違反は騙されて作らされた法律です。
3 日本では大麻を材料とした医薬品の製造は禁止されていますが,外国の主要先進国では認められています。
4 大麻が趣向品として合法なのはヨーロッパ,アラブ,イスラム,インド大陸などです。
5 大麻は有害ではありません。
6 大麻が禁止されているのは戦後の占領下で命令されて立法したからです。でもアメリカ合衆国でも20州で合法とされています。
7 私は今後も大麻合法化運動を続けますが,栽培はやめます。
この供述の要旨のみを記載することについては,訴訟関係人が同意した。
平成25年(わ)第174号等
裁判所書記官
証人尋問調書
(この調書は第1回公判調書と一体となるものである。)
氏名 桂川美岳
年齢 大正11年7月18日生(91歳)
職業 印刷業
住居 長野県北安曇郡池田町大字池田4273
弁護人
1 私は被告人桂川直文の父で,被告人,その兄弟である長男及び三男と私の4人で印刷業をしつつ暮らしています。
2 被告人が勾留されて,仕事手が足りなくて困っています。
3 私は被告人が前に大麻取締法違反で裁判を受けて服役していたことを知っており,今回も大麻を栽培していることを知って忠告したところ,同人は大麻栽培の許可があると言っていました。でも,許可はなかったので,もう大麻栽培も大麻合法化運動もやめてほしいと思っています。
4 今後,被告人が大麻栽培をしているのを見付けたらやめさせます。
この供述の要旨のみを記載することについては,訴訟関係人が同意した。
以上
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