9月2日火曜日。開廷は午後1時30分の予定だったが、予定時刻になっても検察官が現れず、いきなり暫時休廷となった。高橋朋検察官は25分ほど遅刻して入廷し、公判が始まった。
前回の公判では、高橋朋検察官の代理とかで、これまで傍聴席から新米検察官を監視するかのようだった前田和孝検察官が担当し、弁護側が提出した書証の採否について意見を留保した。また、前々回に高橋朋検察官が不同意とした書証の一部を、森山大樹弁護士が、「公務員の作成した書面」などを証拠とすることができるとした刑訴法323条の規定にもとづいて再提出する旨を告げたとき、手にしたペンをくるくると回しながら聞いていた前田和孝検察官は、「チェッ」と舌打ちした。
傍聴席にいた者たちに、前田和孝検察官のくるくるペン回しと舌打ちは強く印象に残り、公判後の話題となった。「くるくる検事」と呼ぶことにしよう。
★
高橋朋検察官が25分も遅刻してきて公判が再開され、冒頭、弁護人の申し入れによって、被告人の桂川さんが一言述べた。すでに裁判官宛の上申書を出してあったが、公判手続上、この段階での被告人による上申書の提出は受理できないとのことで、返却されていた。そこで、冒頭の発言を乞うこととなった。その内容は、不同意を連発してくる検察への抗議の意思と、重大な争点である大麻の有害性の程度について、まともな審理をして頂きたい、というものだった。
第6回公判での主題は「NPO法人医療大麻を考える会」理事長の前田耕一氏の証人尋問。弁護側が30分を使って、前田氏の経歴や医療大麻について、桂川さんとの関係についてなど、尋問した。裁判記録を入手したら全文を公開したい。
一方の高橋朋検察官は、予定では20分の尋問だったが、実際には5分で終わってしまった。25分も遅刻したから遠慮したのか、それとも最初から5分で済むと思っていたから25分も遅刻したのか、それは分からない。
前田氏の尋問が終わったあと、今回の公判に向けて提出した「証拠調請求書4」について、高橋朋検察官の意見が述べられた。大麻をめぐる海外の社会的現実を報道するニュース記事など、ことごとく不同意とされた書証をブツとして再提出したものも多い。
これまでに提出した書証のうち、採用されたモノと不同意とされたモノ、ブツとして採用されモノなど、改めて整理してお伝えしたいが、今回の特筆事項は、検察が異議アリとしていた、DVDで提出した証拠について、裁判官が、すべてを上映するとどのくらいの時間がかかるかと森山大樹弁護士に尋ねたことだろう。DVDは3本あり、合わせて1時間半を超えるだろう。
次回公判の期日を決める際、本間裁判長は、このDVD3本を上映する時間を含め、2時間半という審理時間を設定してくれた。裁判長は、このDVD3本を証拠採用すると明言はしなかったが、間違いないだろう。なぜなら、この翌日、私(白坂)の公判前整理手続が行われたのだが、このDVD3本、本間裁判官が採用してくれた。
弁第35号証
証拠の標目 「(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター取材音源 日本の公的大麻情報「ダメ。ゼッタイ。」について」と題するDVD(約23分)
作成者 大麻報道センター
作成日付 2014年6月16日
立証趣旨 理事が「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの内容が古いと認めていること
(※白坂補足 参照:
・ダメゼッタイ大麻情報見直し決定 2007.3.28
https://www.youtube.com/watch?v=V-Ozsa-4LuE
・年内に大麻情報見直し 2008年10月27日
https://www.youtube.com/watch?v=CD8lcEc8NlQ
・根拠を示すのは「イヤ」だとダメセン専務理事 2008.11.11
https://www.youtube.com/watch?v=Pn0p_5h6QPI )
弁第36号証
証拠の標目 「厚生労働省取材録音 なぜ大麻を医療目的で使ってはいけないのか?」と題するDVD(約41分)
作成者 大麻報道センター
作成日付 2014年6月18日
立証趣旨 大麻取締法で医療大麻が禁止された理由、厚生労働省が海外の医療大麻の情報を把握していないこと
(※白坂補足 参照
・[厚労省に取材/質問編]なぜ大麻を医療目的で使ってはいけないのか?2013年6月14日
https://www.youtube.com/watch?v=nIVJrL9qblk
・[厚労省取材/回答編1]なぜ大麻を医療目的で使ってはいけないのか? 2013年7月1日
https://www.youtube.com/watch?v=F35y3E1Mj3w
・[厚労省取材/回答編1-2] なぜ大麻を医療目的で使ってはいけないのか? 2013年7月5日
https://www.youtube.com/watch?v=HKiBgNCjcxk
弁第37号証
証拠の標目 「Medicinal Marijuana in Japan」と題するDVD(約27分)
作成者 VICE Japan
作成日付 2014年4月25日
立証趣旨 医療大麻の使用方法、被告人が栽培した大麻を使用した患者の存在、本件逮捕に至ったイベントの趣旨
(※白坂補足 参照:https://www.youtube.com/watch?v=RHKOOh01nhs )
次回、桂川裁判第7回公判は、10月22日(水)午後1時30分から午後4時まで開かれます。これまでに大麻報道センターが取材してきた録音や、VICEの医療大麻動画が法廷で上映されます。また、弁護側からは追加の書証や人証の請求があります。
ご都合のつく方の傍聴をお願いします。
|