嗜好薬:大麻 治癒と嗜好を切り離すわけにいかない理由 グリンスプーン博士語る

投稿日時 2014-09-24 | カテゴリ: 医療大麻の真実に迫る

2014年8月29日

レスター・グリンスプーン博士は1971年、ハーバード医学大学院精神科の名誉准教授を務めながら、記念碑的な学術研究、『マリファナ再考』を発表した。当時は過激だと捉えられたが、内容は、博士が、慢性疾患の治療薬・緩和薬として大麻を使用する患者を診た経験から生まれたものだ。


また、カール・セーガンをはじめ、大麻喫煙者で、大麻がもたらす創造性と知性の恩恵を絶賛していたハーバード・コミュニティの友人らからインスピレーションも取り入れた。

現在でも大麻の医学的なメリットの熱心な提唱者で、近年は、自身が言うところの『増進体験』に注目している。治療の域を越えて、私たち「人間の潜在能力」をサポートする大麻の主観的な効果だ。

医療大麻と嗜好大麻について、どのように定義し、どのような法律を制定するか、文化・教養面の議論が今だに交わされているが、グリンスプーン博士が勧めるのは、いい薬と増進体験が交わる、いわば『医療と嗜好の中間的な位置』(そして、私たちがあいまいに使っている『ウェルネス(wellness)』)を特別に認めることだ。

Soltice紙では、来月の9月中、私たちの「健康の月」に、その『中間的な位置』を検証し、記念する記事を取り上げる。その月を迎えるにあたり、医療大麻研究界の重鎮である博士に、カール・セーガン氏との大麻の喫煙について、また、大麻を支持する医師としての自身の進化について話を聞いた。

Q & A

B:今は何について研究していますか?

LG:大麻について問題の一つは、この植物が医療制度に取り込まれていないことだと思っています。それにより、医薬品の売り込みは難しくなりますが、大麻はそうあってはなりません。なぜなら、大麻は、医師が使用できる最も安全な薬物だからです。それがまず一つです。
これまで、大麻が原因で死んだ人はいません。アスピリンは安全な薬だと考えられていますが、米国では毎年1,000人以上がアスピリンで命を落としています。
イブプロフェンなど、非ステロイド系の抗炎症薬で亡くなる人は、数万人に上ります。 二つ目は、大麻が医療用で合法化されれば、それはつまり、1937年の大麻税法以来失っていた薬局方の大麻の位置が取り戻されれば、掲載される全医薬品・生薬の中で、最も安全な物質の一つだと認識されるようになります。さらに大麻は、代替となる医薬品よりも、はるかに安く提供できます。大麻禁制にはコストが掛かります。大麻の栽培と販売は、何れにせよ行なわれます。栽培者や販売者はリスクを冒すものなので、違法ならば、取締りのコストが上昇します。
三つ目は、毒性の高い薬物が少なくなることです。薬局方に載る薬物で、大麻ほど安全なものはありません。1913年の医学書には、大麻は(当時はチンキで使われることしかなかったのですが)、最も有効な偏頭痛薬だとされており、現在でもそうです。大麻には毒性がありません。偏頭痛を患っている方、またその兆候がある方は、大麻を2、3服吸えば治まりますよ!

 

B:逆症療法の医師に、大麻に対する拒否感が多くあるのはなぜですか?

LG:医学博士らは、薬物に関する教育を直接的または関節的に製薬会社から受けています。定評ある医学雑誌を手に取れば、多くの医薬品の広告が載っているのがわかります。また医学雑誌で公表される報告の多くは、製薬会社が製造する医薬品に関するものです。そして製薬会社は、食品医薬品局(FDA)に対して、その効能や安全性についての必要な基準をクリアするために大金を支払っています。
大麻の問題点は、それが植物で、特許を取得できないことです。成分であるTHCは、大麻草から抽出しても、それだけではいわゆる『アンサンブル効果』には叶いません。他のカンナビノイド、とりわけCBDは必須で、それらが無ければ同等の効果は得られないのです。

 

B:大手製薬会社がそのことを把握して、効果的な大麻ベースの製品を作る時が来ると思いますか?

LG:製薬会社が、いわば黄金比を持つ天然の大麻草に優る製品、喫煙用であれ経口摂取用であれ、そのような製品を作るのにはまだ時間がかかると思います。
製薬業界では現在、食欲を増進する大麻とは真逆に作用する逆作動薬を開発していると思われます。大麻は食欲を増進させます。今のところ、どの会社も毒性のない食欲抑制剤の開発にはいたっていません。もし出来ていれば、富を築くことになるでしょう。製薬会社は、植物を販売することができないことはわかっています。ですので、大麻を分解し、私が今触れたような製品を作ることができるか、模索しています。
以前、そのような製品の開発を試みたフランスの企業がありました。大麻からダイエット薬を製造しましたが、全ての特性を織り込んだわけではありませんでした。大麻は優れた抗うつ薬です。もしその反対のものを作れば、そう、食欲を減退させる場合がありますが、同時に抗うつ特性も逆転します。その結果、多くの自殺者が生まれました。その後、その薬は回収せざるを得なくなりました。

 

B:大麻を研究し始めた頃のことをお聞かせください。

LG:大麻について研究を始めたのは、1967年でした。当時私は、ジョイントを吸ったことがなく、吸ったことがある人も知りませんでした。また、いくらか思い上がった若い医者で、大麻は有害で、使ってはならないものだと思い込んでいました。
当時、カール・セーガンは私の親友の一人でした。大麻を吸った彼が、ある時言いました。「レスター」(ジョイントを一服する仕草をして)「ほら、吸ってみて。害はないよ」(笑)。
私は、大麻が薬になるとは思ってませんでした。私は、『マリファナ再考』を1967年に発表し、当時他のプロジェクトも継続させていました。その本の調査をした'67年には、カール・セーガンを通じて多くの人に出会いました。彼らはみな大麻喫煙者でしたが、誰一人として怠け者でも、無教養でもありませんでした。それで、私は思ったのです。「大麻を禁止にしている科学的、医学的根拠は何なのか、調べ上げなくては」と。

 

B:医療大麻支持者の中には、大麻が、がんを含めて、どんな病気、慢性疾患にも有効な治療法だと触れて回る人がいます。そのことについて、どう思われますか?

LG:私が、『マリファナ ー禁じられた医薬品』の初版を書いた当時、大麻が有効だと考えられる病気のリストはまだまだ少ないものでした。みなさんには、それと比べて今のリストを見ていただきたい。今では、「私にはその症状がある」と言われることもしばしばで、その時は、「大麻には害はないので安心ですよ。適切な使い方を知れば、体を害することは決してありません」と言っています。
このことは、がんを除いた全ての病気に当てはまります。 私が思うに、がん治療を受けている患者が大麻を使用するのはよいことです。鬱を減らし、食欲を増やします。研究では、治療効果があることもわかっています。
私は以前、『注意書き』として記事を書きました。というのも、がんの診断を受けた人が、がん専門医に専門の治療を受けずに、大麻でがんが治ることを証明しようと決断することがあるからです。それは時間の無駄になります。いいですか。ボブ・マーリーは、がんで、スイスに行き、ヤブ医者の診察を受け、そこで亡くなりました。それを聞いた人々はとても怖がりました。つまり、がん専門の治療を受けながら、大麻を使用するべき例もあるということです。

 

B:法律面での最近の進展をどう思われますか?

LG:素晴らしいと思います!しかし、何よりも優先しなければならないことがあります。人々が自分で栽培する権利を持つようにすることです。大麻販売の独占権を獲得しようとする人たちがいます。もしそうなれば、どのようなことが起きるでしょうか?大麻の価格が跳ね上がります。
私たち一般市民が、政府や独占を目論む人たちの価格操作から身を守ることができるとすれば、それは、「私は自分で育てます」と言うことです。価格が高騰すれば、自分で育てる。一旦この権利を勝ち取ったら、守らなければなりません。大麻について、栽培権は絶対的な保護になります。

参考:http://cannabisstudyhouse.com/20_medical_cannabis/54_talk_with_grinspoon/talk_with_grinspoon.html

Source: NORML NEWS
RECREATIONAL MEDICINE: AN INTERVIEW WITH DR. LESTER GRINSPOON
POSTED BY BLAIR HOLT ON AUGUST 29, 2014

翻訳:bongyo





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