【書評】「大麻草と文明」(4)この地球から大麻消滅計画の中でぼくらにできること

投稿日時 2015-01-08 | カテゴリ: サルパラダイスの読み

サル・パラダイス

大麻草と文明
ジャック ヘラー (著), J.エリック イングリング (翻訳)
築地書館


現在、ぼくらが普通に生活していて大麻草を見ることはまず無い。
地図を広げて、麻布だの、麻植郡だの、大麻町といった地名を見ると、かつてそこは大麻草で覆われた大地だったのだなあと思うばかりである。日本だけでなく、そういった地名はアメリカにもある。ヘンプステッド、ヘンプヒル、ヘンプフィールド。おそらく、世界中に大麻草がかつて茂っていたという地名があるのだろう。バングラディッシュなどは、国名自体がバング(大麻)の土地の人々という意味である。

1937年のアメリカにおけるマリファナ課税法案、1961年の国連採択による麻薬単一条約等によって、ぼくらの住むこの地球の大地に大麻草を見ることは無くなった。その地名から、まるで古代遺跡や城跡を発掘するかのごとく、その地をかつて大麻草が生い茂っていたことを想像するしかないのである。

又、その種子等が残っているわずかな自生地である北海道のような場所では、毎年、自衛隊やボランティアが焼き払ったり駆除しており、やがて、その場所でも消えてしまうのかもしれない。


大麻草は、かつての恐竜や三葉虫、あるいは近年のドード鳥、バビルサといった種のように絶滅種として図鑑や博物館の標本でしか見ることはなくなるのだろうか。

そうして、この国の、この世界の支配者達は、大麻草の最後の一株まで執拗に追い詰めていき、その最後の一株を炎の中に投げ入れて、高級ワインで乾杯するのだろうか。
その時のスピーチはこんなだろうか。

「ついに、我々をずっと悩ませ続けていた大麻草が、この地球上から消滅しました。これで、我々の支配は完成するでしょう。」

大麻草が無くなったことで、皮肉なことに世界中の大麻取締に関する法律は無くなりました。大麻に関して逮捕される心配が無くなったことで、著名な学者をはじめとした知識人は大麻の真実を語りはじめました。

もし大麻がまだ存在したら、現在の資源枯渇の問題を解決できただろう。もし大麻が存在したら、もっと多くの患者が救われただろう。もし大麻が存在したら、この飢餓状態にある多くの人々が救えただろう。

著名人達が大麻の有用性を声高に語り始めた時には、大麻草はすでに地球上から消えていたのです。

なんだろう、この滑稽な状態は。むかしの寓話でこんな話がなかっただろうか。
そうか、ジャック・ヘラーが言っていた「裸の王様」とはこういうことだったのか。

大麻草が消滅した世界で年老いたぼくは、末期がんを患いながら病院のベッドにいる。3番目の抗がん剤の強い吐き気のため、食欲は極度に減りやせ細っている。ベッドのかたわらには先ほどから来ている孫が激しく咳込んでいる。喘息の発作が出たのだろうか。

あー、大麻があったなら。

ぼくは、孫を引き寄せ、大麻のことを話してやる。かつての地球を覆っていただろう大麻草。それがあれば、自分はもっと体力をつけ元気で、君も咳で苦しむこともなかった。

ベッド横のテレビでは、アマゾンの森林も無くなり、地球の最後の森林資源をどの分野に使うかで議論が行われている。中国等新興国の消費が予想以上に加速したため、石油等の化石燃料の残量はあと数年となり、日本でも2回目の大きな原発事故が起こったにもかかわらず、原子力発電所をさらに増設せざるを得ないと言っている。

大麻があれば、こんなことは起きなかった。

孫は聞く。どうして、大麻草は無くなってしまったの。

それは、ハリー・アンスリンガーによって、大麻を吸うと狂暴になると言われ、後に無気力になると訂正され、多くの嘘、がんの増加であるとか、脳の破壊であるとか、ハースト、デュポン。いや、人類が、きみたちの先輩であるわれわれ大人達がおろかだったからだ。ごめん、地球をこんな状態にしてしまって。

ぼくは、生きる気力も失ってしまったようにうなだれた。

ぼくらの未来はこうなってしまうのだろうか。もう間に合わないのだろうか。

ぼくは、はっと目覚める。
あいかわらず病院のベッドには寝ているが、そのほほを触ってみるとふっくらとしている。手も足も。そうか医療大麻を朝、昼、晩とることによって、気力も体力も充実しているのだ。

かたわらの孫を見る。彼は静かに微笑んでいる。目がちょっと赤く充血しているように見えるのは気のせいだろうか。

咳はどうだね。そう尋ねると、咳、何のこと。孫は逆に尋ねる。そうか、ここ数年大麻摂取により発作が出ることは無くなっているのだ。

テレビを見てみる。紙や建築資材、衣類等を大麻による製造に替えたことにより、森林の大部分が回復してきたと言っている。

大麻より産出されるバイオマスエネルギーにより第3国にも充分なエネルギーがいきわたり、アジアの大国にあった最後の原発も稼働を止め廃炉へ向かったと言っている。
そうか、飢饉も解決し、あの鳥たちも、動物たちも戻ってくるのだろう。

ぼくは孫を引き寄せ抱きしめる。

おじいちゃん、どうしたの?
気が付いたら、僕は両目から大粒の涙を流していた。
あっ、いや。

ぼくはひとり心の中で思っていた。
ありがとう、ありがとう、本当にありがとう。 逮捕されても大麻をあきらめなかった人々、社会的に抹殺されても大麻の有用性を説いてきた人々。
あの人、そしてあの人、あんな顔、そしてあんな顔。
君たちが大麻を守ったんだ、そして、この地球を救ったんだ。

1937年大麻取締法制定の年、アメリカの推計大麻喫煙者、6万人
1945年、ニューズウィークによるアメリカの大麻喫煙者、10万人以上
1967年、アメリカの日常的大麻喫煙者、数百万人
1977年、アメリカの日常的大麻喫煙者、1000万人に及ぶ、大麻草の自家栽培多数
2007年、アメリカの人口の3分の1以上の市民が大麻草を1度は経験

2014年現在、コロラド州、ワシントン州、オレゴン州、アラスカ州、ワシントンD.C.で嗜好大麻が合法化され、医療大麻は23州とワシントンD.C.で合法化されている。

ぼくらは負けない、絶対に。

もしあなたが、どこかで大麻草と出会ったなら、問いかけてみてほしい。君はいったいどういうものなんだ。そして、できれば体感して欲しい。

その時、気づいたならば、ぼくらと一緒に立ち上がろう。

大麻はいつかきっとあなたを助けてくれる、あなたの愛する家族を、そして、あなたの愛するこの地球を!





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